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魔法少女という年ではない。  作者: あるにゃとら


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第9話

 全員が比較的落ち着いたところで緊急会議が始まった。魔法少女100数名に職員さん10人程度とかなり大所帯での会議だ。椅子がないので私は立っている。


 なお職員さんたちの後ろでは、多くのモニターで避難する人々や建物を破壊する魔獣がたくさん映っている。


「皆さん、お集まりいただきありがとうございます。早速ですが本題に。30ほど前からこの町で魔獣が大量発生しています。等級としてはE級、D級と低いですが、発生数は全体で100体以上。これらを討伐するため、魔法少女の皆さんには一刻も早く出動していただくこととなります。指示はいつも通りインカムで行いますので、担当の方に受け取ってから出動してください。」

「は?」


 声を漏らしたのは私だ。

 だって、100体って。日本に1週間で発生する魔獣の数と同じくらいじゃないか。

 それにたった30人程度の魔法少女で対処しろって、いくら等級が低くても限度がある。

 

 魔獣にはそれぞれ等級というものがある。これは魔獣の持つ魔力量で決められていて、少なければ少ないほど弱い。

 E級やD級だと魔法少女一人でも大体何とかなるが、A級までいくと下手すれば100人くらいできっちり連携して戦わないといけないレベルだ。

 もっとも、A級が現れたのは日本では2体ほどだけだけど。


 しかし、等級が低いからとはいえ100体はシャレになってないぞ。魔法少女のみんなはいつものように戦えばいいのかと、インカムを受け取って出ていくけど事態をよく理解している大人たちの顔は真っ青だ。

 そして、多分私の顔も同じような色をしているだろう。


「さて、皆行ったから後は心愛さんだけなのだけど……魔法はもう使える?」

「まだ使えないですけど……私も行かなきゃまずいですよね?どう考えても人手が足りない」

「いえ、使えないなら大丈夫よ。それなら自衛隊の方々と一緒に市民の方々の避難誘導に尽力して頂戴」

「あ、それなら私でもできますか。わかりまし……」


 そう答えようとしたとき、モニターの一つに最近よく見る人が映った。

 明るい茶色の髪色に、可愛いからと選んだ高校の制服。最近友達になった奏が、小さな女の子と一緒に狼の魔獣から逃げていた。


「は……?」

「心愛さん?見ているのは……これ?知り合いですか?」

「私の高校の友達です。なんで……」


 いや、考えてみれば当然か。同じ高校にいるのだから、近くに住んでいるのは当たり前だ。

 制服を着ているのは高校から帰る途中だったのだろう。残って勉強すると言っていたし、私は魔法を練習するから先に帰っただけだ。


「あそこに向かっている魔法少女はいますか?」

「……いえ、少し離れているからまだいません」

「あの魔獣の等級は?」

「E級です。まさか行くつもりですか?」

「見殺しにはできないでしょう」

 

 やっとできた私のお友達。戦える力はあるのに見て見ぬふりはできない。私も命を張らなければ。ミモザちゃんたちと同じ魔法少女なのだから。


「さすがに許可できません。倒す手段がありません」

「二人を抱えて逃げるだけで戦闘は行いません。E程度なら私の魔力量と身体強化なら可能です」


 魔法少女によって魔力量は違う。魔獣もその魔力量によって等級と強さが変わるように。魔法少女に等級はないけど、それでも個人の魔力量は測っている。

 そして私の魔力量はかなり多い。等級で表すならB級はある。


「しかしリスクが……」

「リスクだけならほかの魔法少女も抱えています。お願いします。行かせてください。友達なんです」

「……」

「行っていいよ」


 私のお願いに答えてくれたのは、明坂さんではなくこの場で最も発言力のある人、すなわち所長さんだった。


「しかし所長」

「どちらにせよ人手が足りない。猫の手も借りたいくらいに。そんな状況で魔法は使えなくとも身体強化で人を運べる彼女の力は欲しい」

「それならわざわざここでなくとも……!」

「いや、ここだよ。本人が行きたいと行っているし、避難のほとんどは自衛隊の仕事だ。そして何より彼女は高校生で、他の魔法少女に比べて判断能力が高い。流石に言い出したのがほかの魔法少女なら、私も行っていいとは言わないさ」

「……わかりました」


 渋っていた明坂さんが所長さんの言葉で折れてくれた。話をしている間にも、どんどん奏と魔獣との距離が縮まっている。足が壊れない程度の身体強化だとギリギリな程度しか残っていない。


「心愛さん、インカムです。これをつけて向かってください」

「本当に、ありがとうございます」

「私の個人的な文句は帰ってきたら言います。では、無事に帰ってくるように」

「はい。いってきます」


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