第5話
ゴールデンウィーク明けて初めての学校である。家から学校まではそこそこ遠いので早めに家を出なければ間に合わない。朝が弱いからそれでもギリなんだけどね。
ん、昨日あの後どうなったって?別に何もないヨ。そもそも昨日の目的は私が変身することだけなのでほかにすることもないのだ。
本当なら注意点とか危険性とかそういうのを説明するらしいけど、私は高校生で最低限の判断能力はあるだろうって簡単なことしか説明されなかった。
まぁ来週からは本部に行って座学が始まるんだけどね。魔力に関することとか魔獣に関すること、それに現場に一般人がいたときの対処法とか簡単な応急処置の方法とかも学ぶことになる。高校の勉強に加えてである。
しかも魔法の使い方とか戦い方も勉強しなきゃならないし、これは時間がないぞと。友達いないからそう意味では暇だけどね。バイトも50万円もらえるならいいかと思ってやめてきたし。
1か月で辞めちゃったから、店長は私のこと「なんだこいつ」って思っているだろうな。
あぁそれと、変身に使う杖は呼べば体から出てくるみたい。変身を解除したら杖がなくなってびっくりしたんだけど、ミモザちゃんに教えてもらって「こいこい」って念じたらおなかから出てきた。
持ち歩く必要がないのはいいね。
ただね、私できれば変身したくないの。衣装がちょっとダサいのは自分のせいだからいいとして、なんかずれてる気がするんだよね。
なんていうの、存在?在り方?よくわかんないけど、魔法少女になると私のそれがずれてる気がして気持ち悪い。
一応明坂さんに伝えたけど初めて聞いたって言っていたし、ミモザちゃんもよくわからないって言っていた。
どっかに無理があるかもしれないから、他の魔法少女に話を聞いてみるって言っていたけど。それに伴って私もなるべく変身しない様にってさ。
まぁそんなことは今はいいよ。問題は学校だよ。私、入学式から数日熱を出して休んでいたせいで友達いないんだよ。私の居ない間にグループができちゃっていたから。
そこまでコミュ力あるわけじゃないから自分から行くのも怖いし、でもせっかくの高校生活を友達なしで行くのもね……。せめてお隣さんとは友達になりたい。
もっともそのお隣さんは休み時間ごとに友達が集まってくる人気者なんだけどね……!話しかける暇がないわ。授業で隣の人とうんたらかんたらとかない?
「はい、本日の授業は隣の人とグループになって行ってもらいます。簡単なゲームをしながら学んでいきましょう」
勝ちか?思っていたら来たぞ。運が向いてきた。
「よろしくね~。えっと、ごめん名前教えてもらっていい?」
「あ、神威心愛です」
「えっすご!私も苗字神威だよ!神威奏!よろしくね!」
おんなじ苗字だったのか。マジで運が向いてきているぞ。めちゃくちゃ簡単な共通の話題ができた。
これをきっかけに話を……話をどう広げればいいんだ?苗字が共通でも話題まで共通するわけじゃないが?習字で威が書きにくかった話でもする?
「えと、奏さんでいいですか?」
「奏でいいよ!私も心愛って呼ぶし。いい?」
「はい。よろしく、奏」
「よろしく。あ、カニちゃんって呼んでもいいよ!かむいかなでの頭文字をとって、カニちゃんって昔言われてたから」
【急募】最適な返し方
カニちゃん呼びは絶対距離詰めすぎだ……。けどお願いを聞かないのも違うか……。
「……もう少し仲良くなってから……」
「あはは!なんそれ、私振られたみたいじゃん!よ~し、いっぱい距離詰めちゃうからね!」
これは正解判定でよろしいか?




