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魔法少女という年ではない。  作者: あるにゃとら


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第17話

 退院した。入院中は地獄かと思うほどに暇であった。

 なんせ何もない。テレビか外を見るしかない。スマホは戦闘中か移動中か、いつ落としたのか定かではないが無くしたみたいだ。まぁ結構激しい動きをしていた気はするので仕方ないことである。

 親にも友達にも本部の職員にも連絡が取れない以外、問題はない。


 そんなわけで移動中だ。大統領専用の車と間違えてしまうような重厚な車に乗って移動しているので外の人からの視線がすごい。

 でも仕方ない。普通に歩いて帰っていたらどんなことになるかわからない。テレビに顔が映っているので、変装でもしないと外には出られないだろう。それか話題が別の場所に行くか。有名な芸能人ってどうやって移動しているんだ。


 家に着くと、たった3日なのに懐かしい感じがする。今車を運転してくれた護衛の人たちは、私の家を護衛している人たちに報告し帰るらしい。私の家に護衛もいるの?と聞いたら「顔がわかるなら家程度簡単に特定できる。そしてやってくる」と言われて普通に怖かった。


 時刻は13時になったところ。ご飯を食べていないのでお腹が減って倒れてしまいそうだと、冷蔵庫を開けてみるが何もない。そういえば3日前は、練習したらご飯を買って帰ろうと思っていたのだった。

 ならほかには何かないかと探してみるが、あるのは調味料系統とお菓子だけ。これでは腹は膨れない。


「買いに行くか……」


 家に着いたばかりで面倒だが、近くのスーパーに買い出しに行くことにする。一応髪形は、普段おろしているところをポニーテールに結んでお気持ち変装。どうでもいいけど、ツインテールって子供じゃないと許されない髪型だと思っている。ポニーテールに比べて年齢を重ねると明らかな違和感が出てくる。私は子供ではないのでしない。


 スーパーについた。ちょっと離れたところでは家の護衛をしていた人の中から数人がわからない様についてきている。私に何かあったら出てくるのだと思う。


 なおその分からないようにという対象には私も含まれていると思われる。出かけることを伝えても「わかりました」しか言われていないので、何かしら気遣ってくれているのだろう。

 ただなんか、初めて戦ってからそういうのに敏感になっている。敵とか戦闘に関することになったら異様に頭が回るようになった。病院で流れてくる自分の戦闘シーンを見ていた時も、羞恥心とかそういうのは一切なくてただただ戦闘のことを考えていた。


 さて、到着したはいいが何を買おうか、なんて考えながらカップ麺のコーナーに向かっていると、3日前にもあっている明るい茶髪の人の後ろ姿があった。奏なんだけど。


「奏~」

「ん?…・・・えっ、心愛?本物?」

「この前は落ちちゃってごめん。あの後は無事に逃げれ……た?」


 唐突な衝撃!立派に魔法少女になった私に一撃入れるとは、などと意味不明な思考をしている。

 というのも、私の顔を見た奏が涙を浮かべ嗚咽を吐きながら抱き着いてきたからだ。


「も、もう会えないのかと思って!わっ私、心愛が倒れてそれで、」

「うん、一旦落ち着いて。わたしなら大丈夫だから。あ、護衛の方々大丈夫です友達です。」


 よもや襲撃かと殺気立ちながら向かってくる護衛の方々を落ち着かせながら同時に奏も落ち着かせる。

 これはもはや買い物ができる雰囲気ではないので、たしかこの中に併設されていたはずのフードコートに奏の手を引いて連れて向かう。


 奏を椅子に座らせてカフェでカフェラテを二つ注文して戻れば、奏は泣き止んで多少落ち着いたのかその後のことを教えてくれた。


「心愛が倒れたあと、上にいたテレビの人たちが病院に私と心愛を運んでくれたの。私は特に怪我もなくて大丈夫だったんだけど、心愛の方は病院の奥の方に運ばれて行って……心配でついて行こうと思ったら、『この先は一部の方以外はいることはできません』って言われて返されちゃって」


 病院で一部の方以外と言うと家族とかの血縁関係だろう。要するに私が運ばれたのは集中治療室か。もしや私、聞いてないだけで結構危ない状況だったりした?手と足を怪我していたくらいなのだけど。


「そのあとに電話かけても連絡しても既読すらつかないし、学校にも来てないし、もしかしたら心愛が死んじゃったんじゃないかと思って、私、私ッ……」

「あ~落ち着いて。大丈夫大丈夫。すごい元気だから。ぴんぴんしてる」


 再び泣き出してしまった奏を落ち着かせる。こんなに涙もろい人だったのか。普段の様子が元気いっぱいの陽キャなので、泣いている姿というものが想像できていなかった。


「ごめん……あ、そうだ!私、心愛にあったらお礼しなきゃって考えてたんだ。心愛、何か欲しいものとかない?」

「いや、特に……お礼とか考えなくてもいいよ。魔法少女なら助けるのは当然だから」


 むしろお礼するのは私の方だ。奏が命を預けてくれなかったら、私は未完成な魔法少女のまま死んでいた。

 私を魔法少女にしてくれたのは奏なのだ。


「それじゃ私の気が収まらない。なんでもいいから!」

「えぇ……あ、それなら」

「それなら?」


 そういえばここに来たのには目的があったのだった。驚いて吹き飛んでいたけど、私はいまだに腹が減っている。


「料理できる?ご飯作ってよ。おなか減ってるんだ」

「ご飯?料理はできるけど……それがお礼になるの?」

「なるなる」


 おごりとかでは駄目だ。ここのフードコートの食事は美味しくないからね。魔法少女の話を大っぴらにできるくらい、人がいないことからわかる通り。


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