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魔法少女という年ではない。  作者: あるにゃとら


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第14話

「ん……ここは……」


 目を覚ました私の目に映るのは白を基調とした天井だった。

 あたりを見渡せば、どうやら私はベッドにいるらしい。ベッドの横には手すりがあり、他のベッドには誰もいない。恐らく病院だろう。


「どれだけ寝てたんだろ……それに奏は無事?」


 外を見れば、戦っていた時は既に隠れようとしていた太陽が窓の外から燦燦と輝いている。壁に掛けられた時計は午後の三時を指していて、少なくとも半日以上は寝ていたことになる。


 いろいろ気になることがあるが、とりあえず人を呼ばなければどうにもならない。が、病院に入院したことがないのでナースコールの存在は知っていても場所がわからない。


 仕方ないので歩くことにした。激しく動いたせいか、筋肉痛で体がギシギシ鳴っている。病室の扉を開ける動作すら一苦労だ。


「あ、明坂さん。どもです」

「……?」


 扉を開けると目の前に明坂さんがいた。どうやらちょうどこの病室に入ろうとしていたところらしい。


「……!」

「あの、聞きたいこと沢山あるんですけど、いま時間は大丈夫ですか?」

「大丈夫かが問題になるのは私ではなくあなたの方です!」


 そこから先はてんやわんや。明坂さんが私をその細身のどこに蓄えていたのかわからない膂力でベッドに運び、そのままその足でお医者様を呼びに走り去ってしまった。


 そしてすぐに戻ってきた明坂さんと額から汗を垂らしながら息も絶え絶えで私の診察を始めるお医者様と女性看護師。

 さらっと女性看護師も汗をかいていない。強い。


 そこから先は1時間くらい診察を受けた。私は3日寝ていたらしい。

 体に異常や違和感はないか、手はちゃんと動くか、自分の取った行動は覚えているかなどを聞かれたほか、実際に手に触れてみての診察とか。


 なお骨がむき出しになっていたはずの手は無事に完治していて普通に動いた。話に聞けば、さすがにこれはまずいと回復魔法ができる魔法少女を応援に呼んだらしい。


 すごいな魔法少女。空間に影響を及ぼす魔力で人の体すら治せるのか。より一層魔力のことがわからなくなってしまった。

 もともとはただでさえわからない謎の力だったのに、謎は深まるばかりである。


 診察の結果は異状なしだった。普通に学校にも行っていいそうだ。ただ、それはそれで問題は起こるだろうとは言われたがそこは詳しく聞けなかった。診察が終われば明坂さんが説明してくれるらしい。

 明坂さんには「覚悟の準備をしておいてください」とおかしい日本語で忠告された。なんだか怖い。


 そうして診察が終わり、病室の中にいるのは明坂さんと私だけ。やっと聞きたいことが聞ける。のだが、まず私に待っていたのは説教である。


「反省してください。……と、あなたが会議室を出て行ったときは説教する予定だったのですが、結果的には心愛さんの判断が正解でした。あなたが動かなければ、少なくともあの二人は殺されていた。判断も間違っていませんでした。一撃をいれてあとは離脱。心愛さんの能力なら可能でした。イレギュラーさえなければ」

「そうだ、あれ何だったんですか?急に魔獣が強化……進化したんですけど」


 魔獣の進化などという現象を私は聞いたことが無い。そんなことがおこるなら一大事だ。これまでの判断基準のすべてが無意味になってしまう。

 ただ私は魔法少女になって1か月、勉強も1か月。もしかしたら私が知らないだけでそういった事象はあるのかと思ったが、明坂さんが言うにはそうではないらしい。


「我々にもわかりません。世界のどこに聞いても魔獣が進化したといいう事例はなく今回が初です。これまでのデータの多くが無意味になってしまうような特大のイレギュラー……本当に無事でよかった」

「私も死ななくてよかったですよ。本当に」


 本当にギリギリの戦いだった。ずれが治らなかったらまず勝てなかった。ずれが治ったからこそ賭けをしなくてもよくなったのだ。治らなければ、ずっと分の悪い賭けを続けるしかなかった。


「さて、他にもお話を聞きたいのですが、それを話すためにはまず心愛さんが知っておかなければならないことがあります。覚悟のほどは?」

「そんなに覚悟がいるものなんですか?」

「必要だと思います。今の心愛さんに対する日本国民の印象は、物語で謡われる『英雄』や主人公そのものなのですから」

「は……?」


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