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【祝45000PV】転生悪役令嬢イザベラ、婚約破棄も魔法も筋肉で粉砕します!  作者: 月待ルフラン【第1回Nola原作大賞早期受賞】
第三章:悪役令嬢イザベラ、王国の危機も筋力で踏み潰しますわ!
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第八話:バグらない判断

わたくしは、その、あまりに完璧な、一連の攻防に、ただ感嘆の息を漏らしました。


セレスティーナ様が、ハッと我に返り、リリアの元へと駆け寄ります。その所作に、貴族としての誇りがなせる冷静さはあれど、瞳の奥には隠しきれない動揺と、リリアを案じる深い色が浮かんでおりました。彼女は自らのドレスの裾を躊躇なく引き裂くと、それで、リリアの腕の傷口を、強く、しかし、どこまでも丁寧な手つきで縛り上げ始めます。


わたくしは、まず、床に伸びている刺客の急所を、つま先で軽く突いて、完全に意識がないことを確認いたしました。ええ、後処理も、クエストクリアの重要な一部ですわ。


そして、改めて、リリアへと視線を向けました。

腕から血を流しながらも、彼女は、ただ、静かに立っている。痛みを感じていないのか、あるいは、感じていても、それを表に出すという発想すらないのか。その人形のような瞳は、ただ、主であるセレスティーナ様が、ご無事であることだけを確認しているようでした。


(素晴らしい…!)


わたくしの魂が、打ち震えておりました。

あれは、ただの自己犠牲などでは断じてない。

普通の人間であれば、あの奇襲を前に、恐怖という、最悪の感情デバフによって、体が硬直するか、無意味な悲鳴を上げるだけで終わっていたでしょう。ですが、彼女は違った。


(一切の、バグがありませんでしたわ…!)


思考に、一切の無駄がない。行動に、一切の躊躇がない。

最小の損害で、最大の戦果を上げる。自らの腕一本を犠牲にすることで、主君の命と、敵の無力化という、二つの目的を、同時に達成してみせた。

なんと、完璧な戦術理論ロジック


(ほう…ただのメイドではございませんわね。これは…戦士の目。恐怖を知らぬ、完璧な戦士の素質…!)


わたくしは、内心で、彼女を、正式に、わたくしのパーティーメンバーとして、認めました。

ええ、ええ。この逸材、このわたくしが、預かるにふさわしい。


「ご安心なさい、セレスティーナ様」


わたくしは、立ち上がると、白氷城の女王に、絶対的な自信に満ちた笑みを、向けて差し上げたのです。

「この程度の傷、わたくしにかかれば、むしろ、好機チャンスですわよ」

ご覧いただきありがとうございました。感想や評価、ブックマークで応援いただけますと幸いです。また、世界観を共有する作品もあるので、そちらもご覧いただけるとお楽しみいただけるかと存じます。HTMLリンクも貼ってあります。

次回は基本的に20時過ぎ、または不定期で公開予定です。

活動報告やX(旧Twitter)でも制作裏話を更新しています。(Xアカウント:@tukimatirefrain)

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