表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【祝45000PV】転生悪役令嬢イザベラ、婚約破棄も魔法も筋肉で粉砕します!  作者: 月待ルフラン【第1回Nola原作大賞早期受賞】
第二章:悪役令嬢イザベラ、メインクエストも筋力で踏み潰しますわ!
74/118

第二十四話:ボーナスステージ③

 白氷城を目前に控えた広大な雪原。わたくしたちの行軍を遮るものは、もはや何も無いように思われました。その、油断が生まれた一瞬を突くかのように、斥候から鋭い声が上がります。


「イザベラ様! 前方、地平線上に人影多数!」


 わたくしは、馬上で身を起こし、その方向を睨みました。

 雪と氷しかない、真っ白な世界。その地平線上に、黒い染みのような一団が、静かに、こちらを待ち構えておりました。その数、およそ五十。全員が、禍々しい文様の入った黒いローブを身にまとっています。


「ふふん。歩兵や騎兵では歯が立たないとみて、ついに魔術師部隊を投入してきましたのね、律章復興派も」


 わたくしの言葉に、兵士たちは、しかし、一切動じません。むしろ、その瞳には、新たなトレーニングへの期待とも言うべき、好戦的な光が宿っていました。


 敵の魔術師部隊は、完璧な陣形を組み、一斉に、詠唱を開始しました。

 大気が、ビリビリと震え、色とりどりの、殺意に満ちた魔力の光が、彼らの手のひらに、集束していく。

 炎の矢、氷の槍、雷の礫。数百もの、死の呪文が、一斉に、わたくしたちへと、放たれました。


 だが、わたくしの「筋肉信者」たちは、誰一人として、盾を構えようとはしませんでした。


「いいですわね、皆々様!」

 わたくしは、味方に、檄を飛ばします。

「魔法など、ただの、少し速いだけの、ボールですわ! よく見て、タイミングを合わせれば、避けることなど、造作もありません! 気合で魔法は避けられますわ!」


「「「ハイル・マッスル!!」」」


 雄叫びと共に、兵士たちは、一斉に、駆け出したのです。

 降り注ぐ、魔法の豪雨の中を。


 信じがたい光景が、その雪原で、繰り広げられました。

 一人の兵士の顔面に、灼熱の火球が迫る。彼は、しかし、慌てることなく、上半身をブリッジのように反らし、紙一重でそれを回避。そのままの勢いで、地面を蹴って、さらに加速する。

 別の兵士の頭上から、鋭い氷の槍が降り注ぐ。彼は、落下地点を完璧に予測し、スライディングでその下を潜り抜けた。


 敵の魔術師たちは、呆然としておりました。

 自分たちの、必殺の魔法が、まるで、子供の雪合戦のように、次々と、避けられていく。

 彼らが、次の詠唱の準備をする前に、わたくしたちの軍勢は、既に、その懐へと、飛び込んでいました。


 そこから先は、もはや、一方的な、蹂躙でした。

 魔法を撃ち尽くし、無防備になった魔術師たちを、わたくしたちの、鋼鉄の拳が、次々と、雪原へと、沈めていく。


 数分後。

 雪原には、美しいまでに、完璧な、人型の穴が、数十個、出来上がっておりました。

 わたくしは、その光景に、満足げに、頷きました。

「ボーナスステージ③、クリアですわね。さあ、皆々様。最終決戦の地は、もう、目前ですわよ!」

ご覧いただきありがとうございました。感想や評価、ブックマークで応援いただけますと幸いです。また、世界観を共有する作品もあるので、そちらもご覧いただけるとお楽しみいただけるかと存じます。HTMLリンクも貼ってあります。

次回は基本的に20時過ぎ、または不定期で公開予定です。

活動報告やX(旧Twitter)でも制作裏話を更新しています。(Xアカウント:@tukimatirefrain)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ