表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【祝45000PV】転生悪役令嬢イザベラ、婚約破棄も魔法も筋肉で粉砕します!  作者: 月待ルフラン【第1回Nola原作大賞早期受賞】
第二章:悪役令嬢イザベラ、メインクエストも筋力で踏み潰しますわ!
73/118

第二十三話:ボーナスステージ②

 最初の罠を、最高のトレーニングに変えて突破したわたくしたちは、その日の夕方、次の宿場町へと到着いたしました。

 ですが、その町の雰囲気は、どこか、よそよそしく、そして、敵意に満ちておりました。


「イザベラ様、申し上げます! 町の商人たちが、皆、口を揃えて、我々への食料の提供を、拒否しております!」

「兵糧を買い占められたようです! おそらくは、先回りした、敵の工作かと!」


 副官からの報告に、わたくしは、ふん、と鼻を鳴らしました。

「なるほど。物理的な障害が、筋肉の前には無力だと悟り、今度は、兵站を断つ、という、古典的な手に来ましたのね」


 兵士たちの間に、わずかな、動揺が走ります。

 これだけの、大軍です。補給がなければ、どれほど鍛え上げられた肉体も、いずれは、その輝きを失ってしまう。

 敵の、その、陰湿な狙いは、兵士たちの、士気そのものを、内側から、削り取ろうというものでした。


 ですが、残念でしたわね。

 わたくしの軍団は、もはや、ただの軍隊では、ありませんのよ。


 わたくしは、動揺する兵士たちに向かって、高らかに、宣言しました。

「うろたえるではありません、我が愛すべき、筋肉信者たちよ! あなた方は、忘れたのですか! 我々には、神(エドワード王子)からの、祝福プロテインがあるということを!」

そうです。わたくしたちの荷馬車には、まだ、山のような、最高級プロテインが、積まれているのです。


「それに」と、わたくしは、懐から、エリアーナからの、あの、小さな手紙を取り出しました。

「わたくしの、優秀な保護対象ブレーンからの情報によれば、この辺りの山で採れる月芋と岩塩を組み合わせれば、最高の回復食カーボローディングになる、とのこと。あなた方の、その、素晴らしい筋肉があれば、山の幸など、あっという間に、確保できますわよね?」


 わたくしの、その、完璧な解説に、兵士たちの顔から、動揺の色は、完全に、消え失せていました。

 そうだ、俺たちには、筋肉があるじゃないか! そして、何より、プロテインが!

 彼らの目に、再び、狂信的な光が宿ります。


 ですが、わたくしは、これで、終わりにはしませんでした。

 やられたら、やり返す。それも、筋肉で。それが、ツェルバルク家の流儀ですわ。


「斥候に、命じなさい」

 わたくしは、副官に、氷のように、冷たい声で、命じました。

「この町の、どこかに、敵が、我々から買い占めた食料を、隠しているはずです。その、備蓄倉庫を、探し出しなさい、と」


 数時間後。

 斥候は、いとも容易く、町の外れにある、巨大な倉庫を、発見しました。

 その夜。わたくしたち、ツェルバルク軍は、電光石火の、奇襲作戦を、敢行したのです。


 倉庫を守っていた、数人の、哀れな見張りなど、わたくしたちの、敵ではありませんでした。

 彼らが、気づいた時には、既に、倉庫の扉は、物理的に、破壊され、中にある、全ての食料が、わたくしたちの、屈強な兵士たちの手によって、完璧に、運び出された後でした。


 わたくしたちは、敵の兵糧を、そっくりそのまま、奪い取り、その夜、盛大な、栄養補給の宴を開いたのです。


 翌朝。

 もぬけの殻となった倉庫と、置き手紙――『ごちそうさまでしたわ。イザベラ』――を発見した、律章復興派の残党が、血の涙を流して、悔しがったことは、言うまでもありません。

ご覧いただきありがとうございました。感想や評価、ブックマークで応援いただけますと幸いです。また、世界観を共有する作品もあるので、そちらもご覧いただけるとお楽しみいただけるかと存じます。HTMLリンクも貼ってあります。

次回は基本的に20時過ぎ、または不定期で公開予定です。

活動報告やX(旧Twitter)でも制作裏話を更新しています。(Xアカウント:@tukimatirefrain)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ