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【祝45000PV】転生悪役令嬢イザベラ、婚約破棄も魔法も筋肉で粉砕します!  作者: 月待ルフラン【第1回Nola原作大賞早期受賞】
第二章:悪役令嬢イザベラ、メインクエストも筋力で踏み潰しますわ!
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第七話:筋肉による王都平定

 国王陛下が、その場のノリと勢いで許可を出してしまった「ツェルバルク家の名誉を懸けた御前試合」は、数日後、王都の巨大な闘技場で、実際に開催されることとなりました。


 観客席は、超満員。噂を聞きつけた民衆、各騎士団の団員、そして、この世紀の茶番劇ショーを見届けんとする、全ての貴族たちで埋め尽くされています。

 兄ヴォルフ様は、胃痛のあまり、自室から出てこられませんでした。代わりに、エドワード王子が、貴賓席から、熱い視線をわたくしに送ってくださっています。


 そして、対面の席には、ライネスティア家の者たちが、余裕の笑みを浮かべて座しておりました。彼らの筋書きでは、わたくしがここで無様に敗れ、ツェルバルク家の名誉が完全に地に落ちる、ということなのでしょう。


 やがて、ファンファーレが鳴り響き、わたくしの最初の対戦相手が、闘技場へと姿を現しました。ライネスティア派閥に属する、高名な騎士です。


「始め!」


 開始の合図と共に、騎士が、凄まじい速度でわたくしへと突撃してくる。その剣筋に、一切の迷いはありません。

 ですが――


「遅いですわ」


 わたくしは、その全力の突撃を、半歩だけ動いてひらりとかわすと、彼の背中に、軽く、本当に軽く、掌底を叩き込みました。

 それだけで、屈強な騎士の体は、砂埃を上げて、闘技場の端まで、無様に転がっていきました。


 一瞬の、沈黙。

 そして、次の瞬間、観客席から、爆発のような歓声が沸き起こりました。


 そこから先は、もはや、試合と呼べるものではありませんでした。

 ライネスティア家が、次々と送り込んでくる手練れの騎士たち。その誰もが、わたくしの前では、赤子同然だったのです 。


 素早い動きが自慢の剣士は、わたくしの、それを上回る踏み込みの前に、剣を抜くことすらできずに、場外へ。

 鉄壁の防御を誇る重装騎士は、その自慢の大盾ごと、わたくしの拳の一撃で、くの字に折り曲げられて、気絶。

 小賢しい罠を仕掛けてくる、頭脳派の騎士は、その全ての罠を、わたくしが、正面から、力任せに踏み潰していくことで、心を折られて、戦意喪失。


 ですが、わたくしは、決して、礼節を忘れませんでした。

 倒した相手には、必ず、その手を差し伸べ、「素晴らしい踏み込みでしたわ。ですが、もう少し、ハムストリングスを鍛えれば、さらに伸びますわよ」と、的確なアドバイスを送ることを。


 その、あまりに正々堂々とした、そして、圧倒的すぎるわたくしの戦いぶりに、観客席の空気は、完全に変わっていました 。



 民衆は、小難しい政治の駆け引きではなく、ただ、分かりやすい「力」と「誇り」を示すわたくしに、熱狂的な声援を送る。騎士たちは、その、一点の曇りもない武人の魂に、心からの敬意を払う。


 ライネスティア家の者たちの顔が、余裕の笑みから、驚愕、苛立ち、そして、最後には、屈辱と怒りで、青ざめていくのが、手に取るように分かりました。

 彼らが、何週間もかけて、念入りに作り上げた、「ツェルバルク家は、卑劣で、野蛮だ」という噂。

 その、見えない壁は、今、この瞬間。

 わたくしの、たった一人の、圧倒的な「力」の前に、木っ端微塵に、吹き飛んでしまったのです 。


 最後の騎士が、白目を剥いて倒れた時、闘技場は、割れんばかりの「イザベラ」コールに包まれていました。

 わたくしは、その歓声に応えるように、天に、力強く、拳を突き上げたのです。

ご覧いただきありがとうございました。感想や評価、ブックマークで応援いただけますと幸いです。また、世界観を共有する作品もあるので、そちらもご覧いただけるとお楽しみいただけるかと存じます。HTMLリンクも貼ってあります。

次回は基本的に20時過ぎ、または不定期で公開予定です。

活動報告やX(旧Twitter)でも制作裏話を更新しています。(Xアカウント:@tukimatirefrain)

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