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【祝45000PV】転生悪役令嬢イザベラ、婚約破棄も魔法も筋肉で粉砕します!  作者: 月待ルフラン【第1回Nola原作大賞早期受賞】
第二章:悪役令嬢イザベラ、メインクエストも筋力で踏み潰しますわ!
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第一話:英雄への褒賞は、最高級プロテインですわ!

第2章の裏の「メインクエスト」で何が起きていたかは、『祝・推し発見!――推し活メイドの聖戦録:銀髪令嬢の処刑を阻止せよ、転生者の執念』で語られていますので、ご興味ある方は、お読みいただけますと幸いです。

 グリフォン討伐という、予期せぬ「隠しボスイベント」をクリアしたわたくしは、今、王都の王城で開かれている夜会に、英雄として招かれておりました 。


(なるほど、ここが次のステージ、『王都編』ですのね!)


 シャンデリアの光が乱反射する、きらびやかな大広間 。美しいドレスや軍服に身を包んだ貴族たち。その一人一人が、学園の生徒たちとは比べ物にならないほど、高いステータスとレアなアイテムを装備しているように見えますわ。


「おお、あなたが、かの『赤き戦姫』殿か!」

「素晴らしいご活躍、我が家も感銘を受けた!」


 次々と挨拶に来る貴族たちに、わたくしは完璧な淑女の笑みで応じます。

(ふむ、NPCからの情報収集イベントですわね。今後のクエストのヒントが隠されているかもしれませんわ)

 内心でそう分析しながら、当たり障りのない会話をこなし、着実に情報を集めていく。悪役令嬢の嗜みとして、こういう地道なレベル上げも、もちろん怠りません。


 その時、会場の空気が一変しました。さざめきが止み、全ての視線が一人の人物へと注がれます。

 陽光を弾く金髪、澄み切った空色の瞳。エドワード・フォン・アルビオン第二王子殿下でした。


 彼は、他の貴族には目もくれず、まっすぐに、わたくしの元へと歩み寄ってきます。

(来ましたわね…好感度MAX後の特殊イベントが!)


 わたくしは、内心で身構えました。第1巻の学園編で、わたくしは数々のイベントをこなし、彼の好感度を(意図せずして)最高値まで上げてしまったはず。ここで、彼から特別な褒賞が与えられるのは、ゲームのシナリオとして当然の流れですわ。


「イザベラ嬢。今宵の君は、月にも勝るほど美しい」

 王子は、熱のこもった瞳でわたくしを見つめ、その手を取りました。そして、侍従が運んできた銀の盆を、恭しくわたくしの前に差し出します。

「我が国の英雄である君に、心からの敬意と、そして…私の、個人的な賞賛の気持ちを込めて」


 盆の上には、王家の紋章が刻まれた、宝石のように美しいプチフールや、最高級のチョコレートが、芸術品のように並べられていました。周囲の令嬢たちから、ため息のような声が漏れます。


 わたくしは、その高級菓子を、ゲーマーとしての冷静な目つきで分析しました。

(アイテム名:王家の特製プティフール。効果:一時的な幸福感の上昇。ステータス変化:【糖質:極大】【脂質:極大】【タンパク質:微量】…)


 分析を終えたわたくしは、王子に向き直り、きっぱりと言い放ちました。


「殿下、お気持ちは嬉しいのですが、このような高糖質・高脂質のアイテムは、アスリートの身体を内側から破壊する毒に等しいですわ」


「……え?」


 固まる王子と、静まり返る大広間。わたくしは、続けます。


「もし、わたくしの健闘を本当に称えてくださるのであれば、次は、最高級のホエイプロテイン(チョコレートファッジ風味)をお願いいたします。BCAA(分岐鎖アミノ酸)が豊富に含まれているとなおよろしいですわね」


 わたくしの、あまりに実直な要求。

 それは、英雄に捧げられるべき、甘いロマンスの空気を、一瞬にして、プロテインの匂いがしそうなトレーニングジムの空気へと変えてしまったのです。

 呆然とする王子と、ドン引きしている貴族たちに囲まれながら、わたくしは、自分の要求が、英雄への褒賞として、あまりに的確で、合理的であると、一人、満足しておりました。

ご覧いただきありがとうございました。感想や評価、ブックマークで応援いただけますと幸いです。また、世界観を共有する作品もあるので、そちらもご覧いただけるとお楽しみいただけるかと存じます。HTMLリンクも貼ってあります。

次回は基本的に20時過ぎ、または不定期で公開予定です。

活動報告やX(旧Twitter)でも制作裏話を更新しています。(Xアカウント:@tukimatirefrain)

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