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【祝45000PV】転生悪役令嬢イザベラ、婚約破棄も魔法も筋肉で粉砕します!  作者: 月待ルフラン【第1回Nola原作大賞早期受賞】
第一章:悪役令嬢イザベラ、ざまぁ婚約破棄を筋力で踏み潰しますわ!
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第四十三話:石版(攻略本)の導き

森の中へと足を踏み入れたわたくしたちは、他のチームのように手当たり次第に魔獣を探すことはしませんでした。わたくしには、この演習を完全勝利へと導く、絶対的な指針があるのですから。


「みなさん、こちらですわ」


わたくしは、懐から円形にくり抜いた石版の欠片――すなわち「究極攻略本」を取り出しました。そして、学園から支給された公式の地図と並べ、その二つを慎重に(わたくしなりに)照合します。


「ふむ…この攻略本によれば、最も高得点ハイレベルな魔獣は、この区画に集中しているようですわね」


わたくしは、石版の中央に描かれた、あの禍々しい魔獣の図が描かれているあたりを指し示しました。これが、このゲームにおける「隠しボス」の生息地に違いありませんわ。


すると、わたくしの後ろから、エリアーナがおずおずと声をかけてきました。

「あ、あの…イザベラ様…?学園から指定されたわたくしたちのルートは、あちらの道のはずですが…。そちらは、『未踏の古代遺跡』があるとかで、立ち入り禁止区域に…」


エリアーナが指差す公式地図には、確かに、わたくしが向かおうとしている方向に「危険・進入禁止」の文字が記されておりました。


「エリアーナ。あなたのその慎重さは美徳ですわ。ですが、甘いですわね」


わたくしは、にやりと笑って彼女に言いました。


「『立ち入り禁止』とは、ゲームの世界では何と翻訳されるかご存知?それは、『隠しダンジョン』、あるいは『高難易度クエスト』の入り口という意味ですのよ。凡百のプレイヤーを遠ざけ、真の強者のみを招き入れるための、開発者からの挑戦状ですわ!」


「そ、そうですの…?」


「ええ、そうですわ!この攻略本は、その挑戦を受けるための、いわば『招待状』。支給された地図よりも、遥かに高次元の情報が記されているのです。わたくしたちは、この superior intelligence(優れた情報)に従うまで!」


わたくしの完璧な解説に、クレメンティーナとダフネが「さすがですわ、イザベラ様!」「わたくしたちには見えない道が見えていらっしゃるのですね!」と、尊敬の眼差しを向けてきます。リョーコ殿も、静かにこくりと頷き、わたくしの判断に全幅の信頼を寄せてくれているようですわ。


「さあ、決まりですわね!これより、我々は正規ルートを外れ、隠しダンジョンへと向かいます!」


わたくしの号令一下、チーム・イザベラは、他の生徒たちが誰も踏み入れない、森の奥深くへと進路を取りました。進むにつれて、木々は鬱蒼と生い茂り、獣道すら途絶え、空気が重くなっていくのを感じます。


その、時でした。


グオォォォォォン…!


どこか遠くから、しかし、腹の底に響くような、凄まじい咆哮が聞こえてきたのです。それは、今までに聞いたこともない、凶悪で、混沌とした魔獣の鳴き声。


エリアーナが「ひぃっ」と悲鳴を上げ、クレメンティーナたちが緊張した面持ちで武器を構えます。


ですが、わたくしは、その咆哮を聞いて、歓喜に打ち震えておりました。


「聞こえましたか、みなさん!今の声!間違いありませんわ、あれこそが隠しボスの雄叫び!この攻略本の導きは、正しかったのですわ!」


わたくしは、大戦斧を担ぎ直し、声がした方向――すなわち、隠しボスが目覚めた遺跡の中心部を、まっすぐに見据えました。


「目標、補足!これより、我がチームは、全力で目標地点へと突入します!遅れないでくださいましよ!」


わたくしは、偶然にも、この森で最も危険な場所へと、仲間たちを導いていたのです。もちろん、そんなこととは露知らずに。

ご覧いただきありがとうございました。感想や評価、ブックマークで応援いただけますと幸いです。また、世界観を共有する作品もあるので、そちらもご覧いただけるとお楽しみいただけるかと存じます。HTMLリンクも貼ってあります。

次回は基本的に20時過ぎ、または不定期で公開予定です。

活動報告やX(旧Twitter)でも制作裏話を更新しています。(Xアカウント:@tukimatirefrain)

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