第四十一話:魔獣討伐演習、開始!
わたくしたちが演習の開始地点である森の入り口に到着すると、そこには既に数十ものチームが集い、今か今かと開始の合図を待っておりました。生徒たちの緊張と興奮が入り混じった熱気が、朝の冷たい空気を温めています。
他のチームが仲間と最後の作戦確認をしたり、軽口を叩き合ったりしている中、わたくしたちチーム・イザベラは、静かにその時を待っていました。わたくしの周りを、リョーコ殿、クレメンティーナ、ダフネが固め、そしてその後ろに、エリアーナが固唾を飲んで控えています。
わたくしは、集った他の生徒たちへと視線を向けました。
きらびやかな装備に身を包んだ、エドワード王子殿下のチーム。殿下はこちらに気づくと、心配そうな、それでいてどこか期待するような眼差しを向けてきましたわ。わたくしが、先日いただいたプロテインへの感謝を込めて、力強く頷き返すと、殿下は少し驚いたように、しかし嬉しそうに微笑んでくださいました。
その隣には、知将エーベルハルトのチームがおります。彼は、まるで難解な数式を解くかのように、わたくしたちの陣形をじっと観察しておりました。ええ、ええ、存分に分析なさいな。わたくしの筋肉戦略は、あなたの想像を遥かに超えますわよ。
そして――少し離れた場所に、ラザルスの姿を見つけました。
目が合った瞬間、彼が向けてきたのは、隠すことのない純粋な憎悪の視線。ふふ、よろしいですわ。最高の好敵手からの、最高の宣戦布告と受け取りました!わたくしは、彼に負けないくらい、不敵な笑みを返して差し上げました。
やがて、号砲役の教官が、高らかに声を張り上げます。
「これより、魔獣討伐演習を開始する!各チーム、所定のルートに従い、目標ポイントの達成を目指せ!健闘を祈る!」
その言葉と共に、空高く、開始を告げる魔法の光弾が打ち上げられました。
「「「おおおおおっ!!」」」
地鳴りのような雄叫びと共に、全チームが一斉に駆け出します。各々が、割り当てられた区域を目指し、鬱蒼とした森の中へと吸い込まれていきました。
「行きますわよ、みなさん!」
わたくしは、先頭に立ち、チームに号令をかけました。
わたくしたちは、他のチームのように闇雲に突進はしません。鍛え上げた連携で、一つのユニットとして、静かに、しかし迅速に森の中へと足を踏み入れます。
わたくしの手には、愛用の大戦斧。そして、懐には、勝利への道標たる石版の欠片(攻略本)。
「まずは、この『地図』が示す場所へと向かいますわ」
わたくしたちの戦いが、今、幕を開けたのです。
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