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【祝45000PV】転生悪役令嬢イザベラ、婚約破棄も魔法も筋肉で粉砕します!  作者: 月待ルフラン【第1回Nola原作大賞早期受賞】
第一章:悪役令嬢イザベラ、ざまぁ婚約破棄を筋力で踏み潰しますわ!
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第二十八話:学園祭の共同作業

兄様がわたくしの戦い(という名の破滅フラグ回避活動)を認め、兄妹の絆を再確認した感動的な一幕は、学園の教官の登場によって無粋にも中断されました。


「――ヴォルフガング・フォン・ツェルバルク殿、及びイザベラ・フォン・ツェルバルク嬢。学園長がお呼びです」


どこから話が漏れたのか、兄様の来訪と、それに伴うわたくしとの「感動の再会」が、どういうわけか「兄妹喧嘩による大騒動」として学園長の耳に入ってしまったようですの。まったく、噂というものは尾ひれがつくのが早いですわね。


学園長室に赴くと、白髪の物分りが良さそうな学園長が、ひどく疲れた顔でわたくしたちを迎えてくれました。彼の机の上には、わたくしが提出した「単騎殲滅作戦案」、遺跡の管理担当者からの「備品(石版)破損報告書」、そして昨夜の当直からの「不審者(刺客殿)目撃報告」が山と積まれており、それらを交互に見比べては深いため息をついております。


「……うむ。事情は、まぁ、大体、その、理解した、つもりだ」


学園長はこめかみを揉みながら、言葉を選びように言いました。


「ツェルバルク家のご子息たちが、有り余る活力を建設的な方向へ向けたいと願う、その熱意は買う。だが、やり方が少々…いや、かなり過激だ。特にイザベラ嬢。君の行動は、もはや天災の域に達しておる」


「お褒めにあずかり光栄ですわ」


「褒めてはおらん!」


学園長の血管が数本切れそうな声が響きます。隣で兄様が、また胃薬の小瓶に手を伸ばしているのが見えました。


「そこでだ」と学園長は咳払いを一つ。

「君たち兄妹には、その有り余るエネルギーと、素晴らしい兄妹愛を、学園全体のために役立ててもらうことにした。これは罰ではない。名誉ある特別任務だ」


そう言って彼が示したのは、一枚の巨大な設計図でした。


「来る学園祭の、メインゲートを制作してもらいたい」


そこに描かれていたのは、城門にも匹敵するほどの、荘厳で巨大なアーチ門でした。竜の彫刻が施され、両脇には巨大な騎士像が立つ、実に壮大なデザインです。


「これを、二人で…?」と兄様が呆然と呟きます。


ええ、ええ、分かりますわ、その気持ち。罰ではなく名誉ある任務。素晴らしい響きではありませんか。つまり、わたくしたちの力を公的に認め、その建設的な活用法を学園が直々に提示してくれたということですのね!


「まあ!なんて素晴らしい課題なのでしょう!」


わたくしは設計図を受け取り、目を輝かせました。


「巨大な門の制作!つまり、これは大規模な建造物における、実践的な構造力学と、高負荷状況下での筋力維持および連携能力を試す、最高のトレーニングではありませんか!」


この門を造り上げる過程で得られるであろう筋力、持久力、そしてチームワーク!想像しただけで、全身の筋肉が喜びに打ち震えますわ!


「兄様!見てくださいまし!この主柱の設計、実に甘いですわ!わたくしたちツェルバルク家に伝わる『三点荷重分散方式』を採用すれば、強度は三倍、工期は半分に短縮できますわよ!」


「いや、待て、イザベラ。設計図通りに…」


「それとこの騎士像!ただの石膏では芸がありませんわ!わたくしが自ら鉄を鍛え、鋼の騎士像を打ち立ててご覧にいれますわ!もちろん、中空構造にして、内部にトレーニング用の器具を仕込めるようにいたします!」


わたくしの完璧な改善案に、兄様はとうとう頭を抱えてしまいました。感動のあまり、言葉も出ないのでしょう。


こうして、わたくしたち兄妹は、学園祭の門を制作するという共同作業を命じられたのです。

資材置き場に山と積まれた木材や石材を前に、兄様は遠い目をしておりましたが、わたくしの心は希望に満ち溢れていました。


さあ、始まりますわ!血と汗と筋肉の、学園祭準備が!









ご覧いただきありがとうございました。感想や評価、ブックマークで応援いただけますと幸いです。また、世界観を共有する作品もあるので、そちらもご覧いただけるとお楽しみいただけるかと存じます。HTMLリンクも貼ってあります。

次回は基本的に20時過ぎ、または不定期で公開予定です。

活動報告やX(旧Twitter)でも制作裏話を更新しています。(Xアカウント:@tukimatirefrain)

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