11-1
テストから数日が経ち、記憶が戻って二回目のテスト返却の日が訪れた。
私はどきどきしながら、先生から結果の入った封筒を受け取る。薄目で順位を眺めると、そこには全体で35位と書かれていた。
(全然10位以内に届いてないですわ……!!)
私はがっくり肩を落とす。あれだけ勉強したのに、今回も目標達成には至らなかったみたいだ。
上がっているには上がっているけれど悔しい。ちなみに、前回ギリギリ10位に入っていた経営学は、9位に上がっていた。
私はため息を吐きながら、目標達成には至らなかったけれど、一応協力してくれたアベル様に報告しに行くことにした。
「アベル様―、この私が来てさしあげましたわよー」
「あっ、リリアーヌ!」
中等部校舎のアベル様の教室まで行くと、男子生徒たちに囲まれていたアベル様が、ぱっと笑顔になってこちらへ来た。
「テストの結果どうだった?」
「10位以内にはやっぱり入ってませんでしたわ……」
「そっか、それは残念だったね。何位だったの?」
「35位でしたわ」
「えっ、すごいじゃん!」
アベル様は驚いた顔をして言う。
「でも、全然10位に届いてませんわよ?」
「だって前回は65位だったんでしょ? その前は84位だったって。快挙だよ!」
「そうかしら?」
そう言われると、自分がすごいことをした気分になる。確かに、以前の92人中84位という結果から比べれば随分上がっている。
褒められると急にその気になって来た。
「そうですわね! 私はやればできる子だったのですわ!」
「うんうん。リリィは出来る子だよ」
アベル様はそう言いながら、子供にするみたいに私の頭を撫でる。私の方が年上なんだけど。
「ちなみにアベル様は何位でしたの?」
「僕はいつも通り1位だったよ。あ、でも魔法歴史学は2位に落ちちゃった。次回は巻き返さないと」
「アベル様、やっぱりムカつきますわ……!」
「え、なんで!?」
さらっと言うアベル様にイラついたのでバシバシ叩いてやった。アベル様は手でガードしながら、文句を言っている。
不機嫌になる私に、アベル様は気を取り直したように明るい声で言う。
「それよりリリアーヌ。せっかくテストも終わったことだし、また一緒にどこか行こうよ!」
「またですの? 私は目標に届かなかったので、早く次のテスト勉強に取り掛かりたいのですわ」
「っていっても、今日から次のテストまで毎日勉強漬けにするわけじゃないだろう?」
「まぁそうですけれど……」
私が曖昧に答えると、アベル様は笑顔になる。
「だよね! 気分転換も大事だよ!」
「そうですわね……。では、仕方ないので今回もつき合ってあげますわ」
私が答えると、アベル様は嬉しそうな顔をする。
「じゃあ、今回もリリィが喜びそうな場所探しておくね!」
「期待しておきますわ」
元気に言うアベル様に答え、私はアベル様の元を後にした。




