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わがままな婚約者はお嫌いらしいので婚約解消を提案してあげたのに、反応が思っていたのと違うんですが  作者: 水谷繭
5.できるかしら

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5-6

 そんな風に問題と格闘しているうちに、その日のテストは全て終了した。


 私はぐったりと机に上半身を倒す。



「つ、疲れた……!」


 頭をたくさん使ったので本当に疲れた。


 けれどその分達成感もある。リリアーヌの人生でこんなに努力したのは初めてなんじゃないだろうか。


 まだテストは数日間残っているけれど、明日以降もがんばろう。


 私はそんなことを考えながら体を起こす。


 すると、予想外の声が飛んできた。



「リリアーヌ! テスト終わった? お疲れ様!」


「ちょっとアベル様! なんでここにいるんですの!」


 達成感に浸っていたところで、急に廊下側の窓の向こうからアベル様に声をかけられた。


 なぜ中等部のアベル様がまた高等部校舎にいるのだ。


 突然現れた第二王子に、周りの生徒たち、主に女子生徒たちがきゃあきゃあ騒ぎ始める。



「リリアーヌに会いに来たに決まってるじゃん。中等部のテストは早めに終わったから、高等部の方が終わるのを待ってたんだ」


「待たなくていいのに……。何か用でもあるんですか?」


「ううん。ただリリィに会いたかっただけ」


 アベル様は少し首を傾げて、甘ったるい笑みを浮かべながら言う。


 後ろで女子生徒たちが黄色い悲鳴を上げるのが聞こえてきた。



「そうですか。私は明日からのテスト勉強があるので、失礼させていただきますわ」


「えっ、一緒に帰ろうよ! 今日も馬車に乗せてあげるよ? この間、王宮の馬車を椅子がふかふかだって気に入ってたじゃん。僕の方に寄りかかって眠りこけるくらい寛いで!」


 アベル様は不満そうに言う。


 私はこの前馬車で寝ていたのだろうか。うとうとした覚えはあるけれど、眠っていた自覚はなかった。


 周りできゃっきゃと騒いでいた女生徒たちが、「どういうことかしら」「リリアーヌ様、まさかアベル様に心変わりを……?」なんてざわめき出す。


 私はその声をかき消すようにアベル様に向かって言った。



「いりませんわ! 今日は一人で帰ります!」


「えー! 待ってよ、リリィ!」


 私は鞄に荷物を詰めて席を立った。


 アベル様が後ろから追いかけてきたけれど、今日は振り切ってそのまま自分の家の馬車に乗り込んだ。



***


 そんな風にして、ニノンやオデットに勉強の邪魔をされたり、アベル様に放課後待ち構えられたりと色々あったけれど、どうにか無事にテスト期間を終えた。


 今日はテストの返却日だ。


 どきどきしながら、結果が返されるのを待つ。


 王立学園のテストは、全ての答案用紙と、全教科の得点と順位の書かれた票が封筒に入れられて、まとめて返されるようになっている。


 私は担任教師から封筒を受け取った。


 大きく深呼吸してから封筒を開ける。


 それから得点表を取り出して、順位を確認した。

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