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第十三話「能力」
「ふー、だいぶ能力をつかいこなせるようになったな」
地霊殿に住みはじめて一週間。俺はだいぶ地霊殿の生活に
なれてきた。そういえばみんなの能力をまだ聞いてなかったな。
「ということで…」
こいしとさとりさんに聞いてみた。
「能力ー?無意識を操る程度の能力だよー?」
「無意識を操る程度の能力、か…」
俺の頭にさとりさんの言葉が流れた。
「私はさとり妖怪で心がよめるのよ」
と言っていた。でもこいしはさとりさんの
妹のはず…なぜ心がよめないんだ?
ついでにさとりさんに聞いてみるか。
「こいしのことね…」
「どうかしたんですか?」
「こいしもね昔は心が読めたのよ。でも心を読むことでみんなに嫌われるのを
知って心を読む第三の目『サードアイ』を閉じて能力を封印して、同時に自分の心も閉ざして
感情が薄くなったのよ。そして心を読む能力の代わりに無意識を操る程度の能力を手に入れて、
無意識に行動するようになって夢も希望もない毎日をくりかえしているのよ」
「こいしにもそんなに辛い過去があったのか…」
「にも?」
「実は俺の両親はすでに交通事故で亡くなっているんだ」