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大坂城の女たち  作者: yukko
プロローグ
2/28

寧々(北政所)

寧々の大坂城での暮らしまでの歩みを大まかに……。


豊臣秀吉の正室・寧々は当時大変珍しい恋愛結婚でした。

当時の秀吉の名前は、木下藤吉郎です。

寧々の父親より身分は下でした。

身分の差から結婚に反対する人が多かったのです。

実母も反対したのですが、兄の家定が「自分も木下藤吉郎に養子縁組するから、二人を結婚させて欲しい。」と言ったことから、無事に結婚できたのです。

永禄4年(1561年)8月、木下藤吉郎と寧々は結婚しました。その結婚式は、藁と薄縁を敷いて行われたのです。周囲の反対があったためと藤吉郎の身分が低かったため質素な結婚式になりました。


この当時の武家は主婦権を持つ正室が武家の家政を執り行っていました。

寧々は木下家、そして名前が変わってからの羽柴家の家政を執り行ったのです。


この若い夫婦には残念なことに子が産まれませんでした。

それが、後の混乱の元なのかもしれません。

結婚して7年ほど経った頃、秀吉は信長に付き従い上洛していたのです。

その間に子どもを授かりました。

産んだのは、後の南殿。

秀吉の最初の側室です。

生まれた子供の名前は、石松丸秀勝。

この子は夭逝します。


その後、天正2年(1574年)、近江国長浜12万石の主となった秀吉に呼び寄せられ、秀吉の生母・なかとともに転居しました。

これから、寧々は姑との同居生活がスタートしたのです。

側室が居て、姑も居る生活です。

そして、本能寺の変が起き、秀吉が天下を取ったのです。


その後、秀吉とともに大坂城に移り、天正13年(1585年)、秀吉が関白に任官したことに伴い従三位に叙せられ、北政所の称号を許されました。

天下人の妻として北政所は朝廷との交渉を一手に引き受けたほか、人質として集められた諸大名の妻子を監督する役割を担ったのです。



さぁ、寧々、いいえ北政所となってからのお話です。

秀吉の寵愛が側室にあっても、北政所の立場は変わりませんでした。

何よりも一番は北政所でした。

秀吉は北政所と二人きりの時、尾張弁で話していたのです。

夫婦喧嘩も尾張弁でした。

秀吉が素を出せたのは北政所の前だけだったのかもしれません。


「太閤様は、このぼたもちがどえりゃぁ~好きで。」

「そうそう、藤吉郎はどえりゃぁ~好きだわね。」

「それも、どえりゃぁ~大きいのを。」


大政所・なかと共に秀吉のために牡丹餅を作る姿は、天下人の正室とは思えないほど庶民的な姿だったのです。

姑の大政所とも尾張弁で話すのでした。


そんな北政所ですが、数多居る側室を纏めるだけではなかったのです。

天正20年(1592年)、秀吉から所領を与えられており、平野荘に約2,370石、天王寺に3,980石、喜連村約1,405石、中川村約491石など、合計1万1石7斗もあったのです。

そして、文禄2年(1593年)から始まった文禄・慶長の役で秀吉は前線への補給物資輸送の円滑化を目的に交通の整備を行い、名護屋から大坂・京への交通には秀吉の朱印状が、京から名護屋への交通には豊臣秀次の朱印状が、そして大坂から名護屋への交通には北政所の黒印状を必要とする体制が築かれました。

北政所がただ居るだけの正室ではなかったことを示しています。


加藤清正、福島正則ら武将たちの母親代わりでもありました。


北政所がかつて信長に「夫、秀吉の女遊びについて相談した」のです。

信長は「…この前久しぶりに会ったがあなたはいっそう美しさが増している。藤吉郎(=秀吉)があなたに対し色々と不満を言っているようだが、言語道断である。あの『ハゲネズミ(=秀吉)』があなたほど良き女を他に得られるはずはないのだから、あなたも奥方らしく堂々として、嫉妬などしないように。この書状は秀吉にも見せてやりなさい…」という手紙を寧々に返したのです。

それ以来、北政所は嫉妬を封印したのでしょうか。

表立った嫉妬を見せたことが無いようでした。


大坂城の表の主・豊臣秀吉。

そして、奥の主・北政所。

奥を描いていきますので、先ずは主であった北政所の人となりをご理解いただき、次から、この大坂城の女たちを描いていきます。

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