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全て無に…
秀吉は秀次の居城であった聚楽第を取り壊しました。
秀次に関する建物までも無にしたのです。
それは、豊臣秀次の存在自体を無にする行為とも取れます。
歴史は勝者が作ります。
勝った者が負けた者のことを正しく残すはずがありません。
勝者にとって不都合な内容は変えるのです。
それは豊臣秀次様にとっても同じでございます。
天下一の悪人というのも事実ではございません。
確かに側室が多うございました。
なれど、伝えられていること全てが太閤殿下の命を受けたか、若しくは忖度したか……
そのような者によって記し残されているのだとご承知おきくださいませ。
このことは我が家だけに……門外不出として書き残しておきます。
その後のことは……また、書き残しましょう。
それは表に出せるかどうか、その時の権力者がどのお方なのかで決まって参ります。
秀次様、それから共に刑に処せられた多くの方々のこと、忘れなきよう記し残すのです。
この書物の存在は誰にも知られてはなりませぬ。
特に太閤殿下のお耳に入れば、我が家の者も全て命がないものと覚悟の上、しっかりと残して欲しいのです。
頼みましたよ。
母の言葉に嫡男は両手をついて「承知しました。」と応えたのです。




