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下剋上転生  作者: 社不帝
幼年期 バイスの森編
9/22

奇襲作戦

俺は斬り取ってきたイノシシ魔獣の肉から血が流れ落ちるように紐で吊るして置きルークと一緒に建物の屋根に登り状況を確認する。


屋根に登って周りを見渡すと全部で11匹居て大きい魔獣と小さい魔獣が居るものの、全部の魔獣が最低3メートルほどだと思われる。大型の魔獣だからか群れでは居らずそれぞれが別種の魔獣だろう。


共食いを期待し数分屋根の上で待つも互いに傷を負うと分かっているからなのか威嚇程度で収まっている。


「どうする?まじやばいよ。どうする?どうする?」

これまである程度冷静だったルークにも焦りが見える。


「しっかりしろ!!英雄になるんだろ!!こんなところで死んでられないだろ!!」

「、、、当たり前だ!!」

一時的にだろうがルークの目から伝わる焦りや不安が落ち着いた。


(あの数の魔獣相手にどう戦う?今戦えば確実に囲まれて挟み撃ちに合う。今の俺達じゃ多数相手は無理だ。1対1でも急所を狙わなきゃ勝てないぐらいだし、正直今の俺達にはスタミナと決定力にかけるという欠点がある。俺には流点気があるがルークにはなく力が足りないし俺はシンプルに体格が恵まれないせいか力が足りない。)


「アル、策はあるのか?時間はあまりないぞ。」

「分かってる。」


(時間をかけ過ぎればルシアの食べ物もなくなってしまう。

短時間でより多くの魔獣を殺すには、、、、、ある!!

あるが俺達にも不利になる環境だ。)


「策は思いついたみたいだな。」

「ああ、だが下手すれば一瞬で俺達は死ぬぞ。」

「フッここで生き残ってこそ英雄ってもんだ。」

「じゃあ策をいうぞ。策は夜にってのが鍵だ。」

「夜?」

「ああ、まず第1段階として俺達は日が落ちる数分前に下に降りて魔獣を引き付け同時に威嚇させ合う。魔獣達は最初は誰が獲物を食うか威嚇し合うが恐らく早い者勝ちになる。そしたら俺達は逃げ隠れ日が落ちるのを待つ。

第2段階として暗くなって俺達を見失って寝る魔獣共に剣でちょっかいをかける。すると魔獣は鬱陶しくなって俺達を見つけて攻撃するんじゃなく大体ここだろってところに攻撃してくる。すると集まって近くで寝てた魔獣はちょっかいを掛けた魔獣の攻撃に当たって怒る。すると暗闇の中で魔獣同士の殺し合いになる。

第3段階として夜が明け起き始めで眠く夜の戦いで弱ってる魔獣達を殺しにいく。」


「な、なんて卑怯なことを考えつくんだ。」

「卑怯?弱い人間は頭使って戦わないといけないんだよ!それに英雄になるって言っててもここで死ねばただのダイス村の子供だ。英雄にはなれない。俺は一人でもやるぞ。」

「、、、、、、僕もやるさ。僕はこれから何十何百って人を救うんだ。こんなところで終われない!!」

「終われないのは俺もさ!!兄としての先に生まれたものとしての覚悟を見せてやる!!ルーク、お前の担当地域はあっちだ。道を暗闇でも目的地を見失わないくらい頭に叩き込め。」


真上にあった太陽が地平線に沈みかけ夕焼けになり作戦まであと数分になる。


「ルーク道は覚えたか?」

「うん、目を瞑っても建物に当たらないで走れそうだ。」

「フッなら行くぞ。この夕焼けみたいにこの村を奴らの血で真っ赤に染めてやる。」


そう言って俺は村の更地の方に、ルークはこの一番大きな集落の端に走っていく。



俺は全力の6割位のスピードで走っていると色々な種類の魔獣が目の色を変えて追いかけてくる。後ろをしっかり見なくても魔獣達が全力で追ってきているのが分かる。

俺は更地の隣りにある村で2番目に大きな集落につく。この集落は1番大きな集落に比べ高い建物が少なく高い建物は2階建てが2つしかない。


周りはもう薄暗くあと数分で真っ暗になるのが分かる。俺は平屋の家に一旦隠れ様子を見る、魔獣は4匹ついてきていて今もお互いに牽制し警戒し威嚇し合っている。

(予想通り。)


俺は平屋の家から飛び出しこの集落で比較的拓けていながら建物に近い噴水みたいなのがある広場に行く。その頃には周囲がほぼ真っ暗で何も見えなくなるのも時間の問題だった。


俺は記憶を頼りに走って平屋の家に入り外がどうなっているのか音だけに集中する。


数分間、魔獣同士で威嚇し合っていたが諦めたのか疲れたのか寝始める。


俺は絶対に音を立てずに平屋の家から抜け出し魔獣の中で最もしっぽが長く攻撃範囲の広いやつのところへ行く。


「すう、すう、すう、すう。」と自分の呼吸の音が聞こえる。

俺は息を殺してそ~と近づくと目の前に何かがいるのが感覚でわかる。見えないし音もない、匂いもないが何かいるのだ。

(こいつだ!!)


俺は剣を上段に構えいつもよりもゆっくりとしっかりと強く流点気を腕に流し足にグッと力を入れて踏み込み全力で刀を地面に向って振る。

すると途中で硬く、斬れない、でも生物のなにかに当たって魔獣が

「ブルオオオオオオオオオオーーーーー!!」

と叫ぶ。

「ヒュッ」と音がして咄嗟にしゃがむと近くにあるであろう噴水が壊される。


俺は全力で元々居た平屋の家に戻る。


外では

「グルウウウウウウウウウウーーーーー!!!!」

「ブルオオオオオオオオオオーーーー!!」

「シーーーーーーーーー!!!」

「シャーーシャーーシャーーシャーー!!」

と魔獣達の方から互いに威嚇し牽制し合っている音が聞こえてくる。その場にいなく見えていなくても魔獣達がどのようにお互いが牽制し合っているのかが目に浮かぶ。


数十秒待つといつもの夜の静寂さが戻り音が聞こえなくなる。作戦失敗という言葉が頭をよぎり逃走手段を考えていると地面の揺れとともに「ドカアアーーーン!!」という建物が崩れたであろう音がする。


それをきに魔獣達の方の戦闘は始まり威嚇、牽制し合っている音から互いに殺し合う、喜びや楽しみ、嬉しさの籠もったような魔獣の鳴き声が聞こえる。建物の崩壊も留まらず数十メートル先の建物から音がしたと思えばギリギリ視認できる数メートル先の建物が魔獣によってバラバラに倒壊する。


(作戦成功して嬉しいけど、、俺のせいで建物がこんなに壊れていると思うと良心が痛むな。


、、、、ま!仕方ないか、こんな世界ルークみたいに他人を救いたいとか助けたいとか思っていきていけるほど簡単な世界じゃない。ルシアという妹を守るためならなんだってやるくらいの気持ちじゃないと人1人守るのだって簡単じゃない。


なんだかこの世界に来てから剣術や流点気で頑張りすぎているせいか俺という存在の考え方が変わっている気がする。元々普通で高望みしないのが俺の生き方のはずだ。ルシアを守りたいなら他人なんて気にしていられない。)


そんなことを思いながら休憩する。



夜が明け朝日が登ってくる。

俺は真っ暗闇から薄暗闇になったぐらいで今居る平屋の家の屋根に上る。


徐々に日が出てきて魔獣達の様子が見えるようになってくると、、、


作戦は上手く行ったのか魔獣4体共に体中に傷痕があり1体は首と胴が切断されていてもうすでに絶命しているようだった。


残った3体のうち1体である大きなライオンみたいなやつは首元に大きく切り傷と穴があって血が滝のように流れ出ていて一向に止まらない、あれはもう闘えないだろう。


傷はあるが致命傷ではないであろう2体はサイみたいなやつとデカいカマキリみたいなやつだ。


大きなライオンは恐らく首をカマキリの鎌に斬られサイのツノで突きぬかれたのだろう。

鋭利で鋭さに優れた鎌を持つカマキリと勢いで貫くツノと頑丈な皮膚を持つサイ。

(多分だけどカマキリの鎌を刀で受けたらそのまま刀ごと両断されて死ぬな。防御不可の攻撃ってやつだ。逆にサイのあの皮膚は俺の刀じゃ斬れない。攻撃不可ってやつだ。、、、、まるで最強の矛と最強の盾みたいだ。


、、、、どう戦うか。やはり、、、最強の矛と最強の盾を戦わせるしかないな。)


俺は日がしっかり上り目が冴え頭が冴えた状態にしてカマキリの魔獣のそばに駆け寄っていく。カマキリの魔獣は昨日の戦いの後緊張が抜けなかったのか立った?まま鎌を前方に構え止まっている。


首は無防備になっているため斬ってしまおうかと思ったが立ったまま寝ているカマキリの首元は俺の身長では跳んでも全く届かず周りを見て踏み台になるものを探すが魔獣達の戦いによってか近くの数メートル付近の建物はすべて崩壊していて瓦礫の山になっている。



カマキリの首は諦め最初の予定通りカマキリとサイを戦わせるため刀を抜く。俺は刀を下段に構え流点気を腕にゆっくりと流して踏み込んで跳び上がりカマキリの首めがけて振り上げる。跳び上がって切ったからか斬込みは浅くカマキリの首は30センチメートルくらいだったが5センチ程度しか斬れなかった。


カマキリは一瞬で起きて俺を相手に鎌を振るってくる。

攻撃は2本の鎌で行い右から大ぶりの薙ぎ払いをしてくる。

俺はしゃがんで避けてサイの魔獣に向かって走り出す。


カマキリの攻撃は基本単調で右で大ぶりの薙ぎ払いをして今度は左で大ぶりの薙ぎ払いをするのを繰り返しているため俺はタイミングを合わせしゃがんで身体を傾けるだけで良かった。


前方10メートル程からサイの魔獣は俺達の気配に気づいたのか角を突き出して突進してくる。俺はイノシシのときと同じようにサイの前足と前足の間に入って突進を避ける。


サイがそのままカマキリに激突してくれればよかったが謎に警戒しているのかギリギリで止まって2体同時に並んで俺に向かってくる。

(やはりサイもカマキリの鎌は警戒しているんだ。)


俺は勢いよく走って跳び上がりサイのツノに左手で捕まって遠心力を遣いそのまま勢いよく跳び上がり右手に持っていた刀を再度カマキリに向けて振り下ろす。

空中で踏ん張りも効かず勢い任せだった刀はカマキリの鎌に止められ地面に降り立ち俺は意図して2体の魔獣に挟まれる。


俺とサイ、カマキリの距離は1メートルも離れておらず手?の長いカマキリの攻撃は届くがサイはこの距離だと突進が出来ず攻撃手段を失っている。


カマキリはさっきと同じように鎌を大ぶりに右、左、右、左、右、左と単調に振るってくる。俺は左右に少しずれるだけで避けられている。


俺は単調なカマキリの鎌を避けてサイに当てようとするがなかなか当たらない。俺に向けては最初大ぶりで勢いよく振るってくるのにサイに近くなると鎌のスピードは落ちて慎重に振るっている。


カマキリにしてみれば敵は俺ではなくサイであり俺という部外者を片手間で攻撃しながらサイの様子を見ているといったところだろう。


(こいつ、俺を敵として認識してない。)


さっきまでのように左からくる大振りの鎌を右に避けようとすると視界の端にサイのツノが見える。咄嗟に体をひねるが右側の脇腹がツノで抉られ血が出る。


サイは俺に突進が当たらないと考えツノでつつく攻撃に変えたのだ。俺達人間の体は鋭いサイのツノがかすっただけでもダメージになる。


サイの攻撃に気を取られているとカマキリの右薙ぎ払いを肩に受けて肉が切り取られる。さらに後ろからサイのつつきが太ももにかすり少し穴が穴が開く。

(やばい!!あと避けられるのも数撃!!)

俺は咄嗟にカマキリの目に向けて刀を投げ片目を潰す。


「ギャアアアア!!!」

と叫んでカマキリは半狂乱になって勢いに任せ斬り込んでくる。

右薙ぎ払いを避けると前に進んですぐに左薙ぎ払いが来て今度は上から鎌を振り下ろしてくる。咄嗟に後ろに向かって走りサイの下に潜るとカマキリの鎌はサイにあたり皮膚が切り裂かれる。


「ブオオオーー!!」

サイは怒り狂ってカマキリに突進する。


俺はこっそり抜け出して近くにある2階建ての建物の屋根に行って剣を構える。


下での戦いは距離が攻撃範囲にあっていたカマキリが制した。サイは突進もさせてもらえなかったようだ。

今も見えないながらに鎌を振り続けていて危ないが俺は仕留めに行く。


屋根を走って勢いをつけて跳んでカマキリの頭めがけて剣を突き刺す。


「グシュッ」という感触とともにカマキリは動かなくなり絶命し倒れた。


「疲れたーーーー!!」

俺はやっとの思いで魔獣4体を仕留めた。

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