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下剋上転生  作者: 社不帝
幼年期 平穏編
4/22

ダイス村

アルテナートの母であるアリットは少しずつ膨らんできたお腹を擦りながら村を見て過去の村を思い出すのだった。


この村はかつて鬼人達の故郷のダイス村と呼ばれるほど強い男たちの多い村だった。その頃は男たちは戦争ばかりではなく儲かる指名護衛依頼や指名探索依頼、この帝国の近衛騎士団に入る者も居た。

だからこそ村の家はレンガで作られているし補強のため黒塗りにもされ屈強な村だった。


だが私が一六歳くらいになった頃にこの村は衰退していった。

この村の特産は強い人、だからこそ人がいなければ意味が無い。農業を特産がしている村が干ばつなどで収穫量が減るのと同じでこの帝国で一度大きな感染症が流行った。それは大人も子供もかかりその被害はもちろんこの村にも及んだ。


毎日のように村のどこの家の人が息を引き取ったという話を聞き、感染症が収まりを見せる頃には剣を教えられる強い人間は皆が感染症で息を引き取ってしまっていた。


当時はこの村だけの伝統剣術があるほどの強い剣が、今では誰も教えることが出来なくなり今まで指名護衛依頼や指名探索依頼ばかりやって稼いでいた村の男たちは今までやったことのない農業、畜産、女性に教わりながらやるも村が裕福になりはしなかった。


だから私は一度村を出た。

この村にいれば夢もない希望もないただただ衰退していくのを見ているだけ、それが嫌で自分でもなにかできないかと帝国という国をしっかり見に行こうと思ったのだ。


私達の住む帝国という国は周辺諸国に比べ比較的豊かで格差の少ない国だと言われていた。

戦争はしょっちゅうあるものの大敗などはあまり起きず現状維持が一番強いとされていた。

だからあまり求めるものも多くない。私は帝国であまり栽培されていないものや希少なものがないかと探したが帝国からは求められていないのだ。


私はやることもなくなり各地の街を転々としながらいろんな男の家に潜り込んでつまらない日常を送った。


結局は途中でこのままではいけないと思って村に戻り幼馴染のルーラーと結婚した。


久しぶりに見たダイス村は前回一六歳のときに見たときより衰退していて村にある家々のお金も減っていて家によってはその日暮らしの生活をしなければならないほどにお金がなくなっていた。


この村は数十年後にはなくなってしまっているかも知れないなそう思っていた。


だがその考えは最近になって少しずつ変わってきている。

理由は我が子アルテナートだ。


最初は泣かないし笑いもしないし、いつも真顔、感情の起伏が小さい気の弱い子だと思った。いつも外を見てボーッとしているし、だから小さい頃は凄い甘やかしたし元々いい子だったから私は可愛がった。


だが私が洗濯物で外に居るときにアルテナートがイノシシに襲われたときからまだ幼いのに強さを求めるようになった。

本人に聞けば強くなりたいとは言わないが死にたくないとばかり言う。だがあくまで死なないためだけにあれだけ努力ができるのかと思う。


万変球をいつも触っては別室に走っていき私が見に行くと気絶しているなんてこともあった。こんな小さい子が気絶してまで毎日やるのかと正直、この小さい子に尊敬を持った。

最近では私達両親に隠れて剣の修行までもしている。


期待せずには居られないのだ。


気づけば日が暮れており私のお腹にいるこの子達に何かあったらいけないと家の中に戻る。





アルテナート視点。


最近俺がこっそり家を出て木の枝を剣の代わりに素振りしていたら朝起きたら家の一階に木刀が置いており母に隠し事は出来ないなと思った。


そう思いながらいつも素振りをする場所である謎の更地へと行く。この更地は本当に謎に作られている。村から歩いて数分ほどでつくから農地にでもすればいいのにと何度思ったことか。

(素振りの場所にはちょうどいいから良いんだけどね。)


更地につくと珍しく人影がある。

思えばこの世界に来て家族と生まれた時のお婆さんしかあったことがないためいつの間にかコミュ障になってしまったのかしれない。


俺はコソコソ行こうと思ったが逆に堂々といったほうが話しかけられないのでは?と思って堂々と更地の中に入る。


「あれ?君はルーラーの家の子かい?」

喋りかけられてしまった。

この人はもちろん見たことのない人だ。片手に木剣を持っているし俺と同じ素振りをしている人なのだろう。


「あ、はい!ルーラーの子アルテナートです!!」

「やっぱりそうかい。それにしても君の持っているのは木剣だね?」

「はい。ここに素振りに来ました。」

「そうかそうか。その年で素振りとは見どころがあるね。てっきりこの更地に鬼ごっこでも、しに来たのかと思ってしまったよ。」

と目の前の人は笑う。


「あ、私の自己紹介がまだだったね。私の名前はガント、この村の守備隊長をしている者さ。よろしく。」

ガントさんは金髪に近い茶髪をしており西洋風のイケメンだ。素振りをしているからなのか腕と太ももにちょうどよく筋肉がついている。

「よろしくお願いします。」

「アルリア君、君、、、、、、、良い筋肉しているね!!まだ素振りを始めたばっかりだろうけどちょうど良くついてるね。」

「あ、はい。」

「筋肉はいいぞ!!筋肉があればモテる!!強くなれる!!良いことしかない!!、、、、、昔は良い筋肉を持っている大人達が多かったんだけどね。私は生まれる時代を間違えてしまったんだろう。、、あ、、もう仕事の時間だ。素振り仲間としてまた会おう。」

そう言って走り去っていった。


(何だったんだろうあの人は、、、筋肉がそんなに好きなのかな?変わった人だ。)


俺は切り替え、素振りを始める。


万変球によって気づけた流点気を使って素振りをする。


お腹の下に力を入れ胸に力を入れ頭に力を入れ肩に力を入れ腕に力を入れて一気に木刀を振る。

流点気を使っているからか子供の力でもブンッと良い音がする。


それから何回素振りすればいいかわからないため一回一回を大切に100回素振りをして俺は帰路につく。


その次の日も素振りに更地へと行く。

昨日は謎の警備員に絡まれたから今日はいないでほしいと思いながら更地へと行く。


コソコソと更地を覗くと素振りをする人影が見える。

(うわー、、、また筋肉男かなー?)

俺は憂鬱になりながら更地に入る。


どうやら今日は昨日の人とは違う人で俺と同じくらいの身長だ。


「あれ?君がアルテナート君かい?」

早速話しかけられてしまった。この少年は俺と同じくらいの年齢で金色の目をした金髪に近い茶髪の少年だ。

「うん、そうだけど。」

「やっぱりそうだ!!父に聞いてこの更地に来たんだよ!僕は僕は!!ガントの子ルークだ!!よろしく!!将来の夢はこの大陸に名を轟かせる英雄だ!!」


(俺の苦手なタイプだー。まず君の将来の夢なんて聞いてないし言っては何だがアホそうだ。いや、俺見た目で判断しちゃだめだ。)


「よろしく。いつから素振り始めたの?」

よし、ここは世間話でもして仲良くなろう。


「アルは知っているかい?この村はかつて帝国近衛騎士団隊長を排出した村なんだ。なのにこのままでは剣が廃れてしまうと父さんが言っていた。だから僕は英雄になってこのダイス村のことを帝国中に世界中に知らしめてやる。」


(馴れ馴れしいし会話が通じない。しかも英雄になってもダイス村が有名になることはないだろうに、、、まさかライトノベルみたいにダイス村のルークって名乗るつもりか。)


「ルークはどうやって英雄になるか知ってるの?」

「英雄になるにはまず近衛騎士団に入るのが早いって父が言っていたから王都で開かれる天剣祭に出るのが一番早いらしい。」

(この村のの為にこの少年には頑張ってもらおう。)


「じゃあ、頑張れよ。俺も応援してる。」

「え?君も王都の天剣祭に行くんだよ?」

「いつ俺が出たいって言った?」

「僕が勝手に決めた!!」


俺がどう伝えればこの村から出ないですむかを考えていると後ろの方から

「ルークーー!!ちゃんと素振りしてるー?」と金髪の女の子が走ってくる。


「あれ?この子誰?」

と俺のことを指さしルークに聞く。

「アルだよ。俺と一緒に天剣祭に出るんだ!」

「そうなの?すごいね。あ、私はディオナ、よろしくね」

この少女は俺よりも10センチメートルほど身長が高く金髪の髪を二つ結びにし青い目をしている。

「うん、よろしく。」

俺がそう言うとディオナは俺の横を素通りしルークの前に行って

「ルーク、またこんなに素振りしたの?やり過ぎは良くないって言ったよね?」

そう言ってリアムの手を取って手のひらを見る。

「なんで知ってんだよ?」

「幼馴染の私が気づかないとでも思った?」

「ごめん、アリシア。」

「分かればいいの分かれば。私はいっつもリアムのこと見てるからね。」

「じゃあ、しっかりと僕が英雄になるところも見といてくれよな!!」


(何だこの二人。絶対将来幼馴染同士で結婚するだろうな。前世では彼女も居ないし童貞だった俺からすると羨ましいと思うものの結婚はしたくないのに彼女は欲しいというのもなんかおかしいな。うんやっぱり童貞のままでいいや。ていうか俺この二人にとってめちゃめちゃ邪魔な存在なんじゃ?きっといつもは二人で仲良くいるのに俺が邪魔になっているだろう。帰ろ。家でこれから素振りしよう。)


俺はそう思ってすごい慎重にこっそりこっそりと更地から出て行く。更地に三人でいて一人居なくなったら気づくと思ったが上手く抜け出せた。


俺は家に帰りいつものように100回素振りして家に入り寝室へ行く。


今日会った2人将来絶対結婚するなと確信して寝た。

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