表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
下剋上転生  作者: 社不帝
幼年期 平穏編
2/22

異世界転生

俺はビックリするほど重くなったまぶたを開ける。



目を開けるとそこには黒髪のきれいな女性が俺のことを優しい目で見ている。

この女性、驚くことにまるでモデルでもやっているのかと言うほどに整った顔立ちをしている。


だが男子高校生だからか自分と年齢の近い、駅で俺が転んだのを笑った女子高生の方が可愛いと思う。


(さすが看護師さんだ。

何処かで看護師さんは可愛い人が多いと聞いたことがある。)


だが俺の目は一瞬で黒髪の女性から隣の男に移った。


隣には黒い髪の若い男がいた。

男は筋肉ムキムキで怖そうな感じだ。

そしてこの男は額から顎の方まで目を通って大きな切り傷があり左目は開かないようだ。


(は?、、、、え?

いやいやいやいや。こんな怖い看護師さんいないでしょ?子供だったら見た瞬間ギャン泣きだよ。時代劇のメイクでもここまで怖くてやらないよ。傷もなんか生々しいし。)


(こういう人を見るのは現実じゃないから楽しいのであって、、、、もしかしたら俺は裏の世界の人に攫われてしまったのだろうか。)




「・・・・・・・・・・・・・・・。」

女性が俺に対してなのかこの男に対してなのか笑顔で何かを言ってくる。

俺は必死に聞こうとするが全然聞こえない。


「・・・・・・・・・。」

男も俺に向け必死に笑顔で変顔をして何かを言っている。


(いや怖いから。

片目が斬られた男が変顔しても恐怖しかないから。)


俺は全く持って何が起きているのか分からなかった。


だから声を出してみようと力んだところで

俺のエクスカリバーから水が出てしまっていた。


俺を見ていた男は大慌てで何処かへ去っていき、女性は俺の頭を撫でてくれた。


どうなっているんだ。


俺は夢でも見ているのか?


どこの世界で高校生がおもらししたのを優しく頭を撫でてくれるところがあるんだ?


俺は恥ずかしがりながらも今の状況を聞こうとする。


だが俺の口から出るのは


「あーうーあうー。」

と言った赤ん坊のような声しか出ない。


俺は刺されて脳までおかしくなってしまったのだと思った。

だがもしここが病室ならテレビでしか見たことないがベットの上に横になっているはずだ。

だが俺はおもらしした直後に俺は女性に抱き抱えられお腹あたりの布を脱がされる。


きっと今の俺は恥ずかしさで顔が真っ赤になっているだろう。


俺は必死に抵抗しようと腕をバタバタとさせるがどうもおかしい。

俺の腕がこの女性に当たっているはずなのに痛がる素振りもなく優しく微笑んでまた頭を撫でてくれる。


この女性、強すぎ!!


そう思ったのもつかの間、一瞬俺の目にまるで赤ちゃんのような腕が映る。


まさか、まさか、だよな。


そんな思いとは裏腹に握り上げた拳は間違いなく俺の手だ。


(確かに転生してみたいとは思ったよ。思ったけどさ転生して赤ちゃんスタート?いやないない。俺はきっと勘違いしてるだけだ。)


廊下からバタバタと早歩きする音が聞こえてきてさっきの男は扉を勢いよく開けて入ってきて後ろには老婆、うん老婆と言っても差し支えない女性が入ってきた。


老婆が俺のそばへ来て、慣れた手付きで俺の下を変え俺を抱っこした。

経験豊富な老婆だからかめちゃくちゃ居心地がいい。


(この老婆、看護師さんとしては年を取りすぎでは?絶対定年超えてるよ。けど、、、転生してたらあり得なくもない、、かもな。)


「・・・・・・・・・・・。」

男が女性と老婆になにか言っている。


老婆は仕方なさそうに首を振るが女性は立ち上がり男の顔の切り傷に指を当てて

「・・・・・・・・・・・。」

と言っている。


おそらくだが

「こんな傷大人が見ても怖いわよ」

と言っているのだろう。


そうして2人話していると老婆が

「・・・・・・・・・・。」

と何かをいうと俺は老婆から男に手渡されさっきまではすごく良い持ち方をされていたから良かったがこの男は力加減を知らないのか体が痛い。

きっと落とさないように落とさないようにと大事に力を入れて抱っこしているんだろうがその優しさが痛い。

それにしてもこの男の腕は体格に見合わないほどの筋肉がついている。


俺が

「うーあーうーあー。うーーーーー。」

と泣きじゃくると

すぐに老婆の手の中に戻され俺は安心する。


女性は男に

「・・・・・・。」と言うとこちらにまた笑顔を見せてくれた。


(認めたくない、認めたくないが逃げるのはよそう。俺はきっと最後に願ったように転生してしまったのだ。

神様、願いを叶えてくれたのはありがたい、ありがたいけど転生じゃなく欲を言えば転移が良かった。)


俺はこの日、転生したことを自覚した。




あれから半年。


やはり転生に間違いないと確証に至った。


俺のエクスカリバーは前世のかけらもないほど小さくなっているしトイレも一切我慢できない。

そして抱えられたときにみる自分の細く短い腕。


転生。


俺はたしかに一度は夢見たことだ。

俺は前世の記憶も何故かしっかりとあるしちょっと嬉しかったが正直面倒くさいと思った。

異世界転生なら現代チートとかで無双できるんだろうがただの転生。


しかも、家の中を見てもらえれば分かるようにテレビはない。電球もない。それどころか蝋燭もない。だから両親は日が出たら動き出し日が沈めば寝る、ほんと規則的な生活だ。

そして大問題が一つ。


皿、コップが殆ど無い。殆ど無いと言うのはこの家には皿が二枚、大きなコップが一つあるのだが基本ご飯のとき料理は皿に乗せるのではなく何処から取ってきたかもわからない葉っぱに乗せているのだ。大きなコップも口をつけ飲むのではなく大きなコップから手に移して飲むという衛生的に明らかに問題がある生活だった。


とんでもない貧乏な家に生まれたのだと悟った。



さらに半年。

俺はこれがただの転生ではなく異世界転生だということに気付いた。

きっかけは沢山あった。

まず言語だ。俺はインドの辺境にでも生まれ変わったのかと思ったがそこまで勉強できない俺でも分かる単語、例えばYESとかNOとかも言わない。


服も違った。いくら辺境とは言え自分たちで服を作っているとも思えない。だが、俺の母と父だと思われる人は日本で見た世界の民族衣装に似た服を着ていた。

俺はどこかの民族に生まれ変わったのかと思った。


だが違った。

俺はこの一年でこの民族?の言葉をある程度理解した。

だからこそここはインドの辺境の民族なんかではなく異世界だとわかった。

その理由はしょっちゅう、父親がどこの村が襲われただの近頃は森に魔獣がいるのさらにはあの国とこの国が戦争するらしいと言っているからだ。


地球で今そんなにも戦争は起きていないし村が熊に襲われたところで銃で一発のはずなのにいつも何人も負傷者がでたと言っている。


だがもし異世界だと仮定すれば全ての辻褄が合う。


異世界なら戦争していてもおかしくないし異世界なら火薬もないし魔獣なんかが居るのかもしれない。


俺は一年も経ったからかハイハイができるようになった。


そしてこの家の歪さに気付いた。

家の作り、置いてある物はどう考えても中世ヨーロッパの時代のような感じなのにもかかわらず何故か竈があるのだ。

まるでそこだけ後付して日本の物を置いたような、、、おかしい。

料理もだ。

白米のご飯が出てくるのにも関わらず漬物や日本の昔の料理なんかは出てこない。


(可能性としてあり得るのは日本人が俺の前にこの世界に来たってことだよな。

でも竈の作り方を知ってるのは現代人ではどう考えてもおかしい。となれば考えられるのは大正時代の人がこの世界に来たということだろう。)


そして最近俺は窓の外を眺めるのにはまっている。


この家はかなり高所に建てられているからなのか村を見渡すことが出来る。

家はThe、中世ヨーロッパという感じでここは1つの村をいうよりかは10軒ほどある集落を8個ほど集めたといった感じだ。そして一番大きな集落は30軒ほどが集まっていて多分、村長の村や商人が集まるのはその集落なのだろう。


この家の生活では極貧村のはずなのになぜかすべての家がレンガでできており耐久性抜群だ。家は謎に黒で塗られておりどれが見ても不気味だ。


この家だけ貧乏なのかと思うが俺や母が来ている服は村の人と一緒だし外でご飯を食べているときもやはり素手で食べている。


何故極貧村にも関わらずすべての家がレンガで出来ているかを考える。


一番可能性が多いのはこの村に特産品があるのかもしれないということだ、だが特産品がありお金があるなら家の中がこんなに貧乏な訳がない、ということは昔はお金があってレンガの家を建てれたがお金が最近なくなってきているのだろう。


村並みは高い建物もなく景色がいいが村を見ているともちろん電柱や車などもなく井戸や馬車が走っている。



あと数日前に父が家を出ていってから何故か最近、父が帰ってこない。


父はおそらく普段、猟師のようなことをしているのだと思われる。いつも帰ってくると鳥を食べるわけでもないのに何匹も取ってくるしイノシシなんかも取って来た。


そして父が帰ってこなくなったあの日はいつものような民族衣装で出かけていったのではなくグレーの皮で出来た服で黒の帽子を被って出て行った。


(おそらく、戦争だろうと思う。子供だからか俺にあまり言わないが雰囲気的にそうだろう。俺は前世から雰囲気を読むのは得意なんだ。)


しかし、親のミスとしては俺はもうある程度聞き取ることは出来るので隠し通すのは無理だ。


戦争、、、、、、落ち込む俺だった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ