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D/L Arc 魔転生 ―召命を越える月虹― D_ / Luna Another world Reincarnation Calling …en Ciel  作者: 桜月 椛(サラ もみじ)
第1章 リ・バース編

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38.天使の証明


 「お前の無念は……俺がもらう」


 イフ・エル。という紫色の髪、服装をした美少年の天使が目を閉じて祈りを捧げるような仕草をした。

 そして、腕輪が紫色に光り輝いた。


 輝く宝石、紫水晶……【アメジスト】。

 『秘宝石』である【アメジスト】が、先程まで最悪魔邪神王が憑依(ひょうい)していた元司祭の悪魔から作られた灰を吸収していく。


 全ての灰を吸収した後、紫の美少年天使と赤の美女天使が映像先のシ・エルに向けて目を合わせた。


 「さて……ザドキ・エル。これでユーサが、事件の黒幕ではないという事がわかったと思うけど……無罪放免で良いかな?」

 

 シ・エルから自分の名前を呼ばれて思い出した。


 そうだ。

 自分が事件の黒幕と疑惑をかけられていた事を忘れていた。


 今の自分では太刀打ちできそうにない天使長達を紹介されて、自分の置かれている立場を忘れていたなんて、間抜けすぎる。


「な……!? くっ……! しかし……!! コ、、コイツ、、は、、!?」


 ザキヤミの中で最も地位のある最天使長サラキ・エルと目があった。

 先ほどまで、悪魔の頂点に立つ最悪魔邪神王とシ・エルの会話に入る事さえできずに固まっていたのに、シ・エルから声をかけられ我に帰ったのか……。

 恐ろしいほどにこちらを睨んでいるのが、仮面の下からでも伝わる。


「コイツは……悪魔だぞっ!!?」

「ジル氏の見解では、悪魔でも悪魔人でもない、秘魔(ひま)? 秘魔(アークま)? という存在なはずだよね?」

「シ・エル!!? 貴様っ!! 異教徒の言葉を信じるなど、どうかしているぞっ!! 貴様が天使を剥奪されるべきだ!!!」


 秘魔(アークま)


 そういえば、ギアドの上司である神主のジルさん、が言っていたな……。

 人間が持つ秘力を強く持つ魔族、秘魔(ひま)。またの名を……秘魔(アークま)


 でも、シ・エルに殺される時。

 確かシ・エルは……。


 ー ユーサ・フォレスト。君は()達の破壊神(はかいしん)デスト・L・アークシオン様の封印を解く為の条件である生贄(いけにえ)……人間の姿をした特殊な悪魔(・・・・・)だったのだよ ー


 ……って言っていたよな?


 特殊な悪魔=秘魔(アークま)

 という事か?

 シ・エルは何故。

 殺した僕を、助けようとしているんだ?


 「死刑だ!! 先ほどの魔王が言っていた黒冠位悪魔と関係があるのではないか!!? ユーサ・フォレストを処刑すべきだ!! 即刻排除すべきだ!! 若しくは、エル教会の研究機関に依頼をかけて拘束する!!」 

 

 ……シ・エルの事よりも先に、この最天使長の怒りをどうにかしないといけない。


 理由を作り、僕を死刑にしてくる状況。

 何故、彼女は僕をこんなにも殺したいのだ?

 恨みを買う事をした記憶が……ないんだけど……。

 初対面だよな……?


 目元を隠している仮面のせいで、顔がわからない以上何も思い出せない。


 「なに見惚れてるような顔で我を見ている!! ユーサ・フォレスト!! 汚らわしい!!」

 「え? いや、そんな目で見てないし。僕は妻以外の女性に見惚れたことは無いし、興味が無いんだだけど……」

 「そうだよ! パパはママをせかいでいちばんすきなの!! マリアもまけないの!!」

 「__!? コイツッ!! クソガキッ!!」


 ディアに視線を送ると少し照れて嬉しそうに微笑んでいた。

 それが気に入らないのか、ギリギリギリギリッ。と聞こえそうなほどに歯を食いしばっているのを見せて怒りを向けて来るザドキ・エル。


 「やかましい!! 妻子がいても男は浮気する不純な生命だ!! 天使不敬罪も追加で処刑だ!」

 「ウルサイね……。サッキまでシ・エルと悪魔のトップが話している間に入れず、ビクビク震えていたザコ天使のクセに、何を言っているんダカ」


 やれやれ……と言いながら映像の先から無機質な女性の機械音声が聞こえた。

 誰も言えずにいた言葉を代弁したのは赤色の天使。アン・エルだった。


 __よく言ってくれた!!


 ……と、言わんばかりにその場にいた多くの市民が爽快な顔をして歓声を上げる。


 「なっ!!? ぐぐぐぐ、ごの!! 違う都市の天使長風情が!! 我はお前らより上の立場にいる最天使長であるぞ!! 言葉を慎め!!!」

 「敬ッテ欲しいのであれば、それ相応の態度と姿勢を示セヨ。アンは、お前のような口だけのカス上司の機嫌取りで働く気は……無イ」

 「き!!、!! 貴様、、、!!」


 ザドキ・エルはアン・エルの言葉に対して、仮面の下からでも分かるほどに、肌を真っ赤にしていた。

 今にも怒りの湯気が沸騰するかのような表情でアン・エルを睨み返す。


 「ふぃふぃ。落ち着いてくださいな、ザキヤミの最天使長さんよぉ。……あ、天使追放されたんだっけ? それなら、お前が俺達に敬語使えよ?」

 「!、? 何かの間違いだっ!! 我が、天使追放など!! シ・エルのデタラメだ!! 貴様を最天使長権限で始末するぞっ!!!!」

 

 各都市にいる、天使の中で最も位の高い存在というよりも、最下層のチンピラのような姿を見せるサラキ・エル。

 誰が見ても滑稽な姿。不毛な姿であった。


 「往生際が悪いというか、、見苦しい」

 「またなんか言っているよ……」

 「シ・エル最天使長がザキヤミのトップになってくれれば良いのに」


 その場にいる市民だけではなく、一部の信徒達からも不満の言葉が現れ、ザドキ・エルではなくシ・エルの肩を持つようになっていた。


 「聞こえているぞ!! 愚民共が!!!! 貴様ら全員処罰してくれる!!!」

 「ザドキ・エル。待ってくれ。君の()()は美しくない。何も生み出さない」


 怒りの声を上げるザドキ・エルをなだめるようにシ・エルが間に入った。

 シ・エルの言葉により、震えていた市民は、もういない。

 全ての視線がザドキ・エルに集中した。


 「よって、君には天使教皇様からの天使追放以外の命令に従ってもらう。因みに指令書も預かっている」


 シ・エルの軍服コートの内ポケットから、『エル』という文字と天使の羽が描かれたシーリングスタンプが押された一通の手紙を取り出した。


 「はい、どうぞ。ザドキ・エル。君の大好きな天使教皇様からのお手紙だ。不正はしていない。未開封である証明は、この天使教皇様の奇跡で封をされたシーリングスタンプを見ればわかるだろう?」


 シ・エルから奪うように手紙を取るザドキ・エル。

 乱暴に開けるかと思ったが、天使教皇という自分より上の立場にある人物からの受け取り物であるせいか、丁寧に開けていた。


 「コレは……まさか……そんな……!!」


 仮面の下からでも分かる、顔面蒼白な表情。

 目の前の真実を受け入れられないのか、小刻みに震える体。


 数分、時が立ちそうなほど時間が流れて、痺れを切らしたのか、シ・エルが手紙を取り何が書いてあるのかを読み上げた。


 「指令書には、三点。君への罰が記載されている。読み上げるよ」


 シ・エルの言葉を信じたくないのか天使教皇からの指令書を見たザドキ・エルが、親に酷く叱られた子供のように意気消沈する。

 

「一、この場で教会の最天使長が悪魔ではない証拠を民衆の前で証明する事。

 二、シ・エルがザキヤミの最天使長代理として一時的にザキヤミを統括する事。

 三、ザドキ・エルに罰を与えてから、天使教皇様の間に連れてくるように。尚、罰はシ・エルに一存する」


 シ・エルの読み上げた言葉に市民達が歓喜し、ザドキ・エルは()使()()()()()、という言葉を聞き、まるで極寒の中にいるかの如くガクガク、と音が聞こえるほどに震えが止まらずにいた。


 「まず一つ目なんだが……コレには方法がある。ジル氏の悪魔を消滅させるという神秘術を使う」

 「!? シ・エル!? 何を!!? 離せっ!!!!」


 シ・エルは、ザドキ・エルと肩を組んだ。

 気持ちが悪いのかシ・エルから逃げようとするも、シ・エルは土星型の鐘を見せてザドキ・エルを黙らせていた。

 まるで、拳銃を突きつけられたかのようにザドキ・エルは大人しくなった。


 「まぁまぁ。ザドキ・エル。都市を任されている最天使長同士仲良く一緒に受けて見ようじゃないか。先ずは、上の立場にある者が率先して疑いを晴らそうじゃないか」

 「あ………あ…………」

 

 シ・エルの時を止める事ができる土星型の鐘。

 それを見て、ザドキ・エルが大量の冷や汗を流しているように見えた。

 言葉にならないような、絶対絶命のような表情。


 「では……よろしいのですね。シ・エル最天使長」

 「ジルさん!? 体は……」

 「大丈夫ですよ、ユーサ君。ナザ院長のおかげで、あと一回は唱える事ができる筈」

 「申し訳ないジル氏。今度必ず埋め合わせはしますので……」

 「その言葉、信じますぞ。シ・エル最天使長」


 ジルさんは、立ち上がっても足元がまだおぼつかないような状態でシ・エル達の方を向いて、指先を向けた。

 そして、ジルさんが呪文を唱えると、オレンジ色のオーラが集まり強力な秘力が指先に集まっていくのを目のあたりにした。


 「ふぃふぃ。これでシ・エルが消えたら、お笑いモノだな。フッハッハッハ」

 「大変魅力的ナ結末だけど、何ヲ言っているんダ、ドチビ? それだとアン達も疑われて面倒な仕事が増えるだけな気がスルガ?」

 「んん? イフ・エル? アン・エル? それは酷くないかい?」


 映像越しに、天使冗句だ。とイフ・エルがシ・エルに向けて言っていた。


 シ・エルの仲間からの扱いが雑だった事も含めて、その場にいる市民達が笑っていた。

 僕も笑ってしまったが、シ・エルが悪魔であるはずがない。

 疑いの余地がない程に市民達は絶対的な信頼をシ・エルに向けている。

 だからこそ、その場にいる全員が笑える冗談の成立を見せられていた。


 そんな中で、一人だけ笑っていない人物がいた。

 ザドキ・エルだ。


 「では、いきますぞ。 ≪ 【神秘術(ディー・アーク)】 ≫  ≪ 【生きる意味を照らす(シャイニング・)心の光(レイ)】 ≫」


 ジル氏の指先から、目で追う事ができないほど眩しいオレンジ色の太陽光線が現れた。


 「あ、、ア、、、A、、、あああああああああああああーーーー!!!!!!!!!!!!」


 その光に包まれながら、女性の断末魔が聞こえた。


 そして、ジルさんの神秘術の光が無くなり、目を開けた時だった。


 「……え?」



ずっとあった文章を

半年ぶりの投稿なんて、、、

今日、夢を諦めない事の大事さを教えてもらったので

続けたいと思います。年内にせめて一章は終わらせ…たい。24.12.12

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