37.その日が来るまで………
元司祭の悪魔が不気味な骸骨の悪魔に変貌し、その背中から無数の悪魔の羽が現れた。
「あんなに多くの悪魔の羽……見たことない……」
「嘘だろう……なんだよあの数……」
悪魔の階級と強さは羽の数でわかる。と言われている。
怯えながら言葉を発する信徒達の恐怖が市民にまで連鎖していった。
「哀れな人間諸君。悪魔神は、最悪魔邪神王、インキュ・B・アーク。悪魔の頂点に立つ者である」
その場にいる全員の視線を集めた悪魔の口が開き、自己紹介が始まった。
「インキュ・B・アーク……神様が言っていた。悪魔の黒幕」
ジャンヌから聞かされた最終目標の敵が、ユーサの目の前に現れた。
悪魔の頂点に立つ者。
今まで多くの悪魔を倒し自信のあったユーサでも倒せるか分からないほど、魔力の渦がオーラとして現れていた。
「ふぃふぃ。情報を聞き出さなくても、主犯が自ら現場に来てくれるのは有難い。……なめてんのか? 最悪魔邪神王さんよぉ?」
「シ・エル。コイツを叩きのめせばアン達は、天使の仕事から解放されるノカ?」
イフ・エルとアン・エルが睨みながら天使武器を構え戦闘態勢に入った。
言葉とは裏腹に、天使とは思えないほどの殺気を込めた二人の天使。
どちらが悪魔なのかわからないほどの圧力。
今にも、戦場と化しそうな一触即発な瞬間にシ・エルが口を開く。
「余の勘では……その悪魔は連絡係の使い魔だろうね。倒すのは一旦話を聞いてからにしてくれないかな?」
シ・エルの言葉により、二人の天使が殺気を抑えこむ。
しかし、武器を持っている手に一切の隙は無かった。
「シ・エル……か。エルの中でも、破壊神の……天使共か」
「インキュ・B・アーク。聖戦以来かな? 何故こんな事を?」
「嫌がらせ。だよ」
「嫌がらせ……とは、なんとも悪魔らしいね。具体的には?」
天使と悪魔。
相見えない存在の二人が、まるで久しぶりに会う友人同士のように会話を始める。
しかし、言葉では言い表わす事ができないほどに、お互いが慎重に相手の様子を見るほどに、緊張の糸が張り詰めている事を、市民達は感じ取っていた。
「予言しよう。今回の件をきっかけに、人間共は我々悪魔が介入しなくても破滅する。その種を蒔きに来たんだよ」
「悪魔が介入しなくても……とは?」
「シ・エル。貴様は気付いているのだろう? 人間共は哀れで下等な種族だ。それを今から証明しよう」
悪魔の神が、シ・エルではなく市民達に不気味な瞳を向けた。
「頭の悪い人間諸君にも分かるように伝えよう。寝ても覚めても消えない悪夢を見せる為に来た」
「悪夢……?」
ザキヤミの市民の一人が、恐る恐る小さく声を出した。
恐怖に怯えた声が聞こえて嬉しいのか、骸骨は厭らしい笑みを浮かべ始めた。
「そうだ。いかがだったかな? エル教会の警備を物ともせず、世界各都市の≪結界石≫を破壊し、悪魔神の黒冠位悪魔達が君達の生活圏内に現れた、告知無しの虐殺は?」
まるで、見世物が大好評だった事を喜ぶサーカスの座長のように嬉しそうに笑い始める悪魔。
「≪結界石≫が破壊されたのは、やはり悪魔達の仕業だったのか!!?」
「という事は……フォレストさんが黒幕ではないということか!」
「フォレスト? まぁ……良い」
ユーサは自分の疑いが晴れるのではないか、という期待と。
悪魔の親玉に目をつけられないか、という狭間の中で、早くなる鼓動を抑えようと呼吸を整えていた。
「我々悪魔だけが悪いのかな? どうだろうか人間諸君? 君達人間を守ると豪語している無能なエル教会の天使共の怠慢ではないかな?」
「確かにそうだ! 教会は何をやっているんだ!!!? 高い税金まで払っているのに!!」
一部のザキヤミ市民が怒りの声を上げた。
市民達の怒りの矛先が悪魔ではなく、教会の信徒と天使に向けられていた。
エル教会の信徒達は、突然の言葉の嵐に飲み込まれ慌てふためいた。
「AッHッHッHッHッHッHッ!!! やはり人間は、哀れで下等な生物だ。自分達の無力を棚に上げて、自分達を守っている教会に責任をなすりつけるとは………AッHッHッHッHッHッHッ!!!」
インキュ・B・アークの言葉に、市民が黙り始める。
正論を付きつけられた事により、怒りの声を上げていた市民達は苦い顔をした。
「そんな、哀れな下種共に真実……君達にとっては悪夢になるが、教えよう」
市民達だけではなく、教会の信徒達も悪魔の言葉に耳を傾けていた。
それ以降、悪魔の口から一方的に言葉の猛攻が始まった。
=====================================
一つ『天使と悪魔の聖戦は、エル教会の神が、悪魔神を召喚した事から始まった戦争である』
二つ『エル教会の中に、悪魔が潜んでいる』
三つ『禁術【世界平等の死】の完成が、間近である』
この三つを伝えに来た。
先ず、一つ目。
『天使と悪魔の聖戦は、エル教会の神が、悪魔神を召喚した事から始まった戦争である』
これについてだが。
聖戦は、人間を守る為に、Lの名前を持つ数多の神々が天使と共に、最悪魔邪神王である悪魔神を打ち倒す、神聖な戦い。
……と、人間共の歴史に残っているそうだが。
これは、Lーエルーの名前を持つ神々の茶番なのだよ。
どういう事かと言うと。
悪魔神を召喚したのは、数多の神の中でも、死と破壊の力を司る神デスト・L・アークシオン。
シ・エル、お前の大好きな破壊神が。
Lーエルーが、言ってたんだよ。
「インキュ・B・アーク。壊してよ。この世界を……」
……ってね。
天使の破壊神が、諸悪の根源ならぬ。
悪魔の根源なのだよ!!
クックックックックックッ!!
つまり、教会は。
自分達が犯した間違いを隠す為に、聖戦などというご立派な言葉で、人間を誤魔化していたのだよ!
哀れな人間達よ。覚えておくと良い。
__天使は、よく嘘をつく。
そんな信じる価値もない天使共に惑わされないよう、考えて行動するんだな、人間共よ!
AッHッHッHッHッHッHッHッHッHッHッHッHッHッHッHッHッ!!!
そして、二つ目。
『エル教会の中に、悪魔が潜んでいる』
についてだ。
一つ目の内容で教会に対する疑いがあるとは思うが、更に教会を信じられなくしてみせよう。
教会内には悪魔神と繋がっている部下の悪魔が潜んでいる。
何人潜んでいるかは言えないが……。
今回の事件。
中央都市にある≪結界石≫を破壊する事ができるぐらいの人数で潜んでいる。
つまり。
結界など、やろうと思えばいつでも壊せる。と言う事だ。
君達人間は、いつでも悪魔の手の平にある事を知っておいてくれ。
そして、何故悪魔がいるのかというと……。
『天使の試練』は、悪魔にもなり得る試練であるからだ。
この意味がわかるかな?
信徒諸君? 多額の寄付をした富裕層諸君?
この話を聞いて、不老不死になろう、天使になろうと思うかね?
多額の寄付をする気になるかね?
AッHッHッHッHッHッHッHッHッHッHッHッHッHッHッHッHッ!!!
この話を聞いて、本日より天使になりたいと思う者がいるだろうか!??
悪魔に対抗する戦力である天使は、減ったも同然だろう。
そして、寄付が減り、教会の私腹を肥やす天使になれなかった司教達はどうなるのか?
国家の王、貴族、政治家達が教会に対する疑惑はどうなるのか?
教会の内部崩壊だけではない。
悪魔が手を下さなくても、人間は人間同士で争いを始めて滅びる。
それも、時間の問題だ。
とある神の声を辿り、一つの戦争を終わらせた者の話を知っているかな?
その者は戦争が終幕を迎えたある日、権力を持つ支配者、人間共に手の平を返されて始末されたそうだ。
シ・エル。貴様は、よく知っているよな?
AッHッHッHッHッHッHッHッHッHッHッHッHッHッHッHッHッ!!!
そして、三つ目。
『禁術【世界平等の死】が、完成間近である』
この禁術【世界平等の死】を唱えた者は、世界を無に還し、新しい神になれるという術だ。
悪魔神が、君達の前に現れた最大の理由がコレだ。
人間同士で滅びる結末を防げたとしても無駄である事も伝えに来た。
唱える条件の一つ。今回の件で探していた、創造神の生まれ変わりである依代を悪魔神が手に入れば、禁術は完成する。
その一歩手前まで、術式は完成間近である。
つまり、悪魔の勝利は、目前という事だ。
シ・エル……この意味が分かるよな?
貴様ら人間と天使の絶望した顔が見たくて、現れたまでだ。
AッHッHッHッHッHッHッHッHッHッHッHッHッHッHッHッHッ!!!
いつ死んでもおかしくない。
今が、起きている現実なのか。
それとも、眠っている中での悪い夢なのか。
知らぬ間に殺されて、目覚めぬ地獄を彷徨うのか。
最悪魔邪神王が、断言する。
世界に等しく死の時が、いつ訪れるのか。
震えてその時を待て。
その瞬間が落ちてくるのを待て。
最悪魔邪神王が、望む。全ての死を。
君達の悪夢は……終わらない。
AッHッHッHッHッHッHッAッHッHッHッHッHッHッAッHッHッHッHッHッHッAッHッHッHッHッHッHッAッHッHッHッHッHッHッAッHッHッHッHッHッHッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
=====================================
インキュ・B・アークの一方的な言葉が終わり、数分間。
まるで時が止まったかのような空気に支配されていた。
「そんな……こんなの……終わりだ……俺たちは知らぬ間に死ぬのか?」
誰もが言葉を飲み込んでいた所で、一人の青年が声を出した。
一人の言葉を皮切りに、多くの人間が胸に秘めた思いを言葉にしていた。
不安、不満、恐怖、あらゆる負の感情が人々を混乱に陥れていた。
その時__。
「フッ! フハハッ!! アッハッハッハッハッハハッハッハッハッハッハッハッハッハハッハッハッハッハッハッハッハッハハッハッハッハッハッハッハッハッハハッハッハッハッ!!」
突然、笑い声の三段活用。
少しずつ笑い声が大きくなった。
「あぁ……すまない。先ほどから聞いていれば……最悪魔? 邪神王? というのはインキュ。君が、自分で名づけたのかい? フフハッ!! アッハッハッハ!!!」
その笑い声は、『最高』の最天使長と言われているシ・エルのものだった。
誰も笑っていられない空気の中。
シ・エルの笑い声だけが木霊する。
「ユーサ。なんだっけ? 【ぼくがかんがえた、さいきょうのなんたら】みたいなネーミングセンスじゃないか? 自分を強く見せる為に!? 自分を偉い立場の者だと勘違いする為に!? まるで社長、エリートという肩書がないと満足できない器が小さい弱者のように聞こえるのは余だけかな!? 皆さん、凄いな。何故笑わないのか? アッハッハッハッハッハハッハッハッハッハッハッハッハッハハッハッハッハッハッハッハッハッハハッハッハッハッハッハッハッハッハハッハッハッハッ!!」
インキュ・B・アークの言葉により、恐怖で言葉だけではなく生気も失っていた市民と信徒達が顔を上げる。
「あ、コホン……。市民の皆様。教会の同胞達よ。天使である、余がついている」
ー カラーン ー
シ・エルは一度冷静になり咳払いをしてから、持っていた土星型の鐘が蒼と黒のオーラを纏い、輝きながら鐘の音を鳴らした。
「先程、なんちゃら悪魔が口にした三つの件に関して、何も恐れる事はない。問題ではない」
シ・エルの言葉と鐘の音により、正気を失っていた一人一人の顔色が良くなり、意識を取り戻していった。
「聖戦の件は、教会の上層部が隠していた事実だ。間違っていない」
「なんだって!!? それはやはり、隠蔽していたって事かっ!!?」
「教会も悪魔とグルになっていたって事!!?」
シ・エルの言葉に、市民達が率直な意見として、批判的な言葉を次々と口にしていた。
「だが、余は隠すつもりはなかった。寧ろ、公表すべき事だと考えていた。しかし、最天使長という立場にいても、その事実を皆様に伝えられなかった。それは、天使内での派閥や天使教皇様の考えあっての事であり、余一人ではどうする事もできなかった。大変申し訳ない」
「最天使長が……俺達に頭を!?」
シ・エルは、市民達に頭を下げて謝罪の言葉を口にした。
悪魔だけではなく、一部の天使も、人よりも優れているという立場から傲慢な天使が多い。
その天使の中でも、一つの国家、都市を任されている最天使長が一般市民に頭を下げている姿を始めた見た市民達は動揺していた。
「ただ、死と破壊を司る破壊神であるデスト・L・アークシオンは、インキュ・B・アークを召喚した事を後悔している」
シ・エルは頭を上げて、市民達に感情を高めて熱弁し始めた。
「だからこそ、余の神である破壊神様は、数多の神々達から【封印】される運命を受け入れて、今もまだ教会の中で【封印】されている。その為、破壊神様は自らの手で悪魔を倒す事ができない」
教会が隠している秘匿情報を市民達に告げるシ・エル。
そして、初めて聞く教会の事情に信徒達もうろたえていた。
「だからこそ、余達、七天使を選定し、力を与え、悪魔を倒す召命を行った。『インキュ・B・アークを倒せば、悪魔の存在は全て破壊される』と、破壊神様はおっしゃっていた。そして、倒した後は、償いとして破壊神様は【封印】ではなく自らの存在を『破壊』すると宣言した。コレは余達、七天使を【封印】した状態で選定する為の契約だ」
神様が、自らの過ち罪を認め、死という罰を受ける。
そのような言葉は信じられない話だ、と分かっていながら、まるで洗脳されているかのように、市民達はシ・エルの言葉に耳を傾けていた。
ー カラーン ー
「誰だって間違いはある。しかし、間違い自体が罪ではなく、間違えたまま何もしない事が罪なのだ」
シ・エルが持つ土星型の鐘の音とシ・エルの言葉により。
市民達の一部からドス黒いオーラが現れ、少しずつ消えていく光景が続いた。
「神様だって間違いを犯す。もし、今までに、間違いや失敗を経験した事がない者がいれば、反論していただいても構わない」
ユーサは脳内で、イエス・キリストの『罪のない者だけが石を投げよ』という話を思い出していた。
その話と同じように抗議の声は上がらず、市民達は、シ・エルの言葉を神の代弁と受け取り、ただ黙って聞いていた。
「皆さんも経験あるでしょう? 間違ったとしても、その後どうすればよいか後悔や反省を繰り返し、やり直したいという気持ちが生まれる事を……。余達も天使になる前は、その経験があった。その中で、運が良く天使として使命を全うする、というやり直しの機会をいただき、今、皆さんの前にいる」
「シ・エル……」
ユーサも、前世の事を考えていたのかシ・エルの言葉に耳を傾けていた。
「で、、でも、、!! あんなに巨大な力を得る事ができるのであれば、俺だって天使になりたい!!」
「そ、、そうだ!! 後悔する事すらできずにそのまま死んでいったヤツもいるんだぞ!!」
「ご指摘ありがとう。余の話を聞いてくれたということだね」
シ・エルの言葉に、何か引っかかる点があったのか、一部の市民が声を上げた。
しかし、シ・エルは仮面の下からでも分かるように満面の笑みで答えた。
「余達七天使は、力を得た代償として、破壊神の名において、余達はインキュ・B・アークを倒せば死亡するという契約になっている。そして、契約を無視できないように一定以上の召命を果たさなければ、若しくは戦死した場合は、悪魔達が言う地獄に落ちる契約になっている」
悪魔達が言う。地獄。
天使として最後の使命、魔王討伐終了後に死ぬ。
「インキュが言っていたね。一つの戦争を終わらせた者が、権力を持つ支配者に始末される。過剰な力は、また違う争いを生む種になる。そうなる前に神が余達に与えた慈悲だ」
シ・エルの言葉により、羨ましがる声を上げていた市民達は言葉を失った。
市民達の驚いた顔を見て、シ・エルは悲しそうな表情を一瞬だけしたのをユーサは見逃さなかった。
「アンは。この条件については、後で知った。破壊神の【封印】が解けたら先ずアンだけどうにかできないか直談判スル」
「ふぃふぃ。働く時は、契約書をよく読め。という事を学んだと思えよポンコツ機械」
「ドチビ。今の時代、契約書を最初か最後まで目を通す奴は希少種ダ。アンは間違ってイナイ」
「ふぃふぃわかったよ。というか……シ・エル。そこまで教えて良いのかよ? ペナルティを受けても知らねえからな」
「イフ・エル。大丈夫だ。破壊神様は、このぐらいは許してくれるほどに器が大きい」
シ・エルの話を聞いていた赤と紫の天使が横やりを入れた。
天使達は、ブラックすぎる使命と天使になる条件を、まるで他愛のない世間話をするかのように話していた。
その異常な空気の中、誰もがシ・エルの言う事を疑わずに聞いていた。
「ですので……どうか市民の皆さん……教会に対して疑いや不信な思いをされるかもしれませんが。どうか、余達、七天使だけでも信じていただけないだろうか? 文字通り、命をかけて、貴方達を悪魔からお守りいたします」
「シ・エル……最天使長様……」
シ・エルの言葉に市民達だけではなく、信徒達も尊敬と信頼の声を上げていた。
「シ・エル……。何故貴様がここに来たのか……コレが………派閥の件が、狙いだったのか……」
誰にも聞こえないように、ザキヤミの最天使長である、ザドキ・エルが呟いた。
話術だけで、人々の心を動かす統率力。人を魅了する素質。
悪魔の言葉に揺れ動いていた市民と信徒は、まるで神様に救われたかのように、シ・エルに尊敬の眼差しを向けていた。
「インキュ。いや、最悪魔邪神王君? わざわざ現れてきてくれてありがとう。おかげで今後の仕事もやりやすくなった。ユーサは、冤罪だと分かったし、禁術の対策を練ることができそうだ」
「対策……だと? 何ができる」
「逆転の発想だよ。創造神の生まれ変わりさえ死守すれば、禁術は完成しない。という事だろう?」
シ・エルの言葉を聞き、悪魔は不愉快な顔をした。
「君は、聖戦の時もそうだったが。爪が甘いようだね。勝ち誇るというのは、勝った後にする事だよ? だから……待っていてくれ」
「待つ……?」
ー カラーン ー
シ・エルが持っていた土星型の鐘を鳴らした。
その鐘の音に反応したのか、イフ・エルとアン・エルのオーラが、数倍に膨れ上がるのをユーサは見た。
「破壊する」
「破壊スル」
イフ・エルがマモンの書を悪魔目掛けて振り下ろし。
アン・エルは銃の引き金を引いた。
耳が痛くなるような鈍器による殴打と発砲音。
悪魔の肉片一つ一つが砕かれ、灰となり、イフ・エル達は灰を回収した。
「本当の君が、余達と共に__そうなる日まで」
久しぶりの投稿です。この話はプロットにはなく前倒しにしたので構成で時間がかかりました。




