22.【召命④】『君を生き返らせたのは、ジャンヌ・D・アークと、誰にも教えてはならない』
今更なんだが。
君が生き返る時は、土葬された棺桶の中からの再スタートだ。
因みに人間というのは死んだ後、細胞も死に、死後硬直が起きて腐敗が始まる。
そして体内から腐敗ガスが発生してそこから……。
ん？
「僕の身体は大丈夫なんですか？」
って？
大丈夫だ。問題ない。
ん？
「一番良い安全な復活を頼みたい」
って？
どうした？ そんな弱気で大丈夫か？
ん？
「前世にあったゲームで、聞いた事がある似たような会話のやりとりをしてる気がする」
って？
……。なにを言っているんだ君は？
まぁ、棺桶に入れられての土葬で寧ろ良かったろ？
火葬だと骨だけになっていたと思うぞ。
生き返ったら骨人間になってたなんて、辛いぞ？
天使達に、動く死体アンデッドとして一瞬で狩られるだろうね。
それに君の体が腐らないよう、手筈は整っている。
だから、大丈夫だ。問題ない。
……話を召命に戻すぞ。
◎四
『君を生き返らせたのは、神、ジャンヌ・D・アークと、誰にも教えてはならない』
この事についてだか。
名前を口にしなければ良い。
……というのは簡単そうな内容だが、君が思っているよりも大変だと思うぞ。
ん？
「何故、名前を言ってはいけないのですか？」
だって？
すまんが、詳しくは教えてやれない。
……そんな顔をするな。
……わかった。できる範囲で答えよう。
強いて、言うのであれば、物語とかでよくある、敵側の中ボス的なヤツが言う。
「あのお方の……」みたいに、なんかこう……黒幕？ みたいな感じにしてみたい。
という理由もある。
物語では、だいたい敵側の黒幕だったりするんだが。
君の主観側の方にあっても良いんじゃなかろうか？ みたいな感じかな？ キリッ！！
……。
ん？
「神様って誤魔化すのと、嘘をつくのが下手って言われませんか？」
だと？
な、なにを、いって、るんだ君は？
天使はよく嘘をつくが、神様は嘘つかないよ？ ンフフ。
冗談だ……そんな顔をしないでおくれよユーサ。
因みに、生き返って命の危険に晒された時、神の名を問われる機会に出くわすと思うが、言わない方が『吉』だ。
絶対に言うな。
まぁ言いたくても言えない状況になるだろうけどね。
君には黙るしか選択肢はないよ。
沈黙。それが答えなんだ。
アッハッハッハ！！
ん？
「名前を呼ぶ事を許さない神様に、どうやって信徒は祈りを捧げてるんですか？」
って？
名前はなくても、神のお告げは聞ける。大丈夫だ。
まぁ、神の名前なんていうのは、そもそも原初の神が、自分以外の神を沢山生んだのが事の始まりだしな。
無宗教の君にこんな話をするのはどうかと思うけど。
この世界は、多神教すぎて、ある意味下界の人間が被害を受けているようなもんだ。
唯一神になりたいが為に、【神の奇跡：世界平等の死】を完成させようと考える愚か者がいるせいで、被害を受ける者が多くなるのもねぇ。
神が最初から一柱だけなら、世界共通認識にできたのに。
ん？
「神様は唯一神になりたくないんですか？」
って？
何を言ってるんだ君は？
神は、今のままで充分だ。
新世界の女神になる気はサラサラ無い。
今のままで満足なのだよ。
まぁ、それも、君が神を満足させる結果にしてくれればの話だがな。
ユーサ。君には期待しているよ。
因みに、神の名前を言おうとした瞬間に。
召命無視として見なす。
君が死ぬだけだから絶対にいうんじゃないぞ。
いいか。絶対だぞ！
絶対だからな！！
