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D/L Arc 魔転生 ―召命を越える月虹― D_ / Luna Another world Reincarnation Calling …en Ciel  作者: 桜月 椛(サラ もみじ)
第1章 リ・バース編

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21.【安楽死を運ぶ者《ユーサ・ネイジャー》】


 冠位悪魔(アーク・デーモン)が、声を失った瞬間。

 ユーサの神秘術【狂気的な凶器の扉(ルナティック・ゲート)】による攻撃は止まった。


「……………………………HAッ!!? やっと、、外に……出れ……グァア゛ア゛!!!!」


 冠位悪魔(アーク・デーモン)は先程まで自分がいた場所、ユーサの目の前。

 ザキヤミに戻ってきた。


 しかし、戻ってきた瞬間に、今までの痛みを思い出し。

 体中に無数の傷と怪我、出血をしながら絶命した冠位悪魔(アーク・デーモン)が『黒い灰』と化した。

 

 「アラアラ。お見事。本当、()()()ってどこからきているのかしら? なんとも(おぞ)ましい秘術ですこと。ワタクシが力の上限を上げたのに無意味だったわ」


 他人事のように、拍手をしながらユーサに賛辞(さんじ)を送るサキュ。


 「でも、【秘宝石』がなければ、またすぐに再生して貴方を襲う事になりますわよ? どうするのかしら?」

 「……SO……その……通りだ。ユーサ・フォレスト」


 灰から再生する速度が、先ほどよりも早く冠位悪魔(アーク・デーモン)の顔が再生する。

 上半身は、あと数秒で再生を終えそうな状態であった。

 それが自信につながったのか、悪魔が誇らしげに勝ち誇る。


 「先ほどの術。、、貴様は【神秘術】と言ったな? 秘術よりも強力な術である反面、消費する秘力、体力、精神力は桁外れな為、何度も唱える事は()()()()筈」


 二度殺されたにも関わらず、冠位悪魔(アーク・デーモン)はユーサを嘲笑(あざわら)いながら続ける。


 「確かに(おぞ)ましい術だ、何度もは喰らいたくない。しかし、貴様は何度も【神秘術】を呪文を詠唱できるのか?」 


 上半身が再生され、ユーサの身長を超えるほどの大きさになり、ユーサを見下ろす冠位悪魔(アーク・デーモン)


「貴様が呪文を詠唱できなくなり、ガス欠した時が我の勝ちだ!! AAAッHAッHAッHAッHAッHAッHAーーー!!!!!!!」


 体が完全に再生し終わる前に、勝ち誇る冠位悪魔(アーク・デーモン)


 「そうか。分かった。()()()()()()()。何度も喰らいたくないなら。()()()唱え続ければ良い」

 「AAAッHAッHAッHAッーーー!! …………は?」

 「【神秘術】は、何度も唱えられない。って()()()()()()()?」

 

 何も動じないユーサ。

 両手の指をパチ! パチ! パチ! パチン!! と鳴らし始め。

 ユーサの両掌に、先ほどと同じ禍々(まがまが)しい黒色のオーラが現れた。


 「A、、A、、キ、、貴様、、本当に、、人間か?」

 「人間の……一児(いちじ)の父親だよ」

 「k、こ……子供の前で……教育上良くないだろ?」

 「何を言っているんだお前は? 子供は寝る時間で……」


 ユーサは、一瞬マリアに視線を向けて、冠位悪魔(アーク・デーモン)に視線を戻した。


 「(いま)は、大人(ぼくたち)の時間だろ?」


 黒色のオーラが衰退(すいたい)するどころか、威力が増している状況。

 ……と肌で感じた冠位悪魔(アーク・デーモン)が言葉を失いかける。


 「僕の【神秘術】は、(ひと)つだけではないからね。そのおかげで何度でも唱えられる」

 「じょ、、冗談を言うな! 人間で【神秘術】を(ひと)つ以上持っている者など……ありえんッ!! やはり貴様……」

 「そうらしいね。普通の人間には、複数の【神秘術】は耐えられないそうだね」


 ユーサの全身から()()のオーラが現れた。


 「さっきも言ったが、僕は()()だ。ちょっと普通の人間と違うだけでね」


 その赤色のオーラは、冠位悪魔(アーク・デーモン)が想像する人間の力を遥かに凌駕(りょうが)する量だった。

 赤と黒のオーラが重なり合い、先ほど以上の拷問(ごうもん)が始まる。

 冠位悪魔(アーク・デーモン)には、ユーサがまるで魔王に見えた。


 「ま、、待ってくれ!! A、、A、、あった!!! 」


 冠位悪魔(アーク・デーモン)は再生しきれていない足で地面を這いつくばり、慌てて何かを探し始めた。


 その手には、先ほどユーサに倒された召喚悪魔の灰が握られていた。

 ユーサが持つ黒曜石の収穫範囲を外れた分の灰が、冠位悪魔の近くにある地面に落ちていた。


 それを、冠位悪魔(アーク・デーモン)は自分の顔に塗りたくり。


「《  ー 〇 呪文スペル ●魔法マジック ◎ 真実をねじ曲げる(かみさまの)灰化粧(アリバイ) ー  》」


 呪文を唱え、悪魔の顔が()()()()()()()に変化した。

 その顔を見てユーサの表情が変わる。


 ユーサにとって、見覚えのある顔。


 「この顔を見ろ!」

 「……。」

 「貴様も! やはり! 我々と同じ……」


 それはまるで、鏡を見ているかのような感覚がユーサを襲い。

 そして、ユーサは()()()()()


 「それ以上、喋るな」

 「ヒッ!! グヘッ!!!?」

 「何となく察していたが、やはり()()か。()()だったのか」


 冠位悪魔(アーク・デーモン)の言葉を、遮るユーサ。

 そして、冠位悪魔(アーク・デーモン)の下半身を足だけで払いのけ、巨体の冠位悪魔(アーク・デーモン)を転がし。

 その後、冠位悪魔(アーク・デーモン)の後頭部を思い切り踏みつけた。

 

 「僕の顔で、マリアに「産まれてきちゃダメな子供」と言ったのは」

 「GGGUUUAAAAーーー!!!!!」


 ギチギチギチギチギチ……!!!!


 地面と冠位悪魔(アーク・デーモン)の頭が割れそうになる、大きな音がした。

 ユーサは、冠位悪魔(アーク・デーモン)が逃げられないよう、コンクリートの地面にヒビが入るほど足に力を入れた。


 「神様から、僕の黒曜石では吸収できない悪魔がいて何度も再生する。と聞いた時に、思ったんだ」


 ユーサは少しだけ足元をずらし、冠位悪魔(アーク・デーモン)にしか見えない角度で、自分の顔を見せた。


 「悪魔がどれだけ死ぬ体験に耐えられるのか? どれだけ攻撃すれば人間に危害を加えた事を後悔するのか? ってね」


 人間とは思えない程、怒りに満ち溢れた悪鬼の表情。

 悪魔が恐れるほどの憤怒の圧力。


 「僕の家族に、仲間に、そしてこの都市に住む方達に手を出したんだ……」

 「A、、A、、、」

 「(やす) ら か に (らく) に 」


 バチ! バチ!! バチッ!!!!!!!


 黒色のオーラから怒りが伝わってくるほどに、黒い火花と稲妻(いなづま)が、先ほどよりも強く鳴り響く。



  「() ね る と 思 う な よ 」



 ユーサの二度目の【神秘術】が解き放たれる、その時。ユーサの指が悪魔の肌に触れた瞬間。



 ー 「悪魔になるなんて、聞いてない」 -


 「__!?」


 ユーサの脳内で、知らない誰かの記憶が流れた。教会の信徒が、喋っていた。


 ー 「自分を 忘れたくない 天使に なりたかった」 ー


 目の前の悪魔が、そう泣いていた。

 ユーサは、神秘術の発動を躊躇した。


 「……そんな悪魔に、巨大な力を使う必要はありませんよ。ユーサ・フォレスト」


 刹那。


 「__!? 斬撃!?」


 ユーサは咄嗟(とっさ)に呪文の発動を中断し、冠位悪魔(アーク・デーモン)から離れた。


 ザシュ!! ザシュ!! ザシュッ!!!


 「AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAーーーーーーーー!!!!!!!!!!」


 突然。

 複数の風の刃が、ユーサと冠位悪魔(アーク・デーモン)を襲った。

 ユーサは肌に感じた風の圧力により、危機感知能力を刺激されたのか、(なん)を逃れた。


 「A……s……死……死神……」


 しかし、冠位悪魔(アーク・デーモン)は見るも無惨な姿に変わり、切られて残った顔で『大鎌』を持つ人影を見た。

  

 「……いえ、()()ではありません。()使()です」


 ザシュ!! ……シュー。


 大鎌の刃が悪魔の顔を食べるかのように、完全に息の根を止めた。


 「……エル教会の破壊神の側近部隊(セブンス・ヘブン)。金星の加護を持つ、第三星天の天使。ク・エルです」


 不気味なハエの刻印がされている巨大な『大鎌』を持つ、緑色の着物を着た女性。

 自らを天使と名乗る女性が、事の顛末(てんまつ)を終わらせるかのように現れた。


25/3/17 大事なシーンを追加。

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