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第5話 クエスト

ピピピピピピッ、ピピピピピピッ!

ピピピピピピッ、ピピピピピピッ!

ピピピピピピッ、ピピピピピピッ!


「ぅん……うるさいなぁ……ったく」


俺はスマウォのアラーム音によって目を覚ます。

スマウォのアラームをセットした記憶はないが、俺はスマウォの画面を何度かタッチしてアラームを解除した。


「ふわぁ~、今何時だ……っておい、まだ五時じゃないか。勘弁してくれよ」


昨日拾ったスマウォのもとの持ち主はよほど早起きだったらしい。

俺はいつもより二時間も早く目覚めてしまった。


一度起きるとなかなか寝付けない体質の俺は、起き上がり洗面所へと向かった。

顔を洗ってから一口だけ水を飲む。

その後部屋に戻り、椅子に腰かけスマウォを操作する。



*************************************


・霧矢秀作:十六歳

・レベル:2

・スキル:力5%補正

    :投擲


*************************************



何気なくステータス画面を見ると、昨日とは違う文字と数字が表示されていた。

レベルが1から2に上がっていて、スキルも二つに増えている。


「あれか……昨日クエストってやつをクリアしたからか……?」


スキルの欄に書かれている《力5%補正》ってのは5%分、俺の力が強くなったってことだろう。

もちろん、あくまでも設定上だが。


「投擲ってのはなんだ?」

口にしながら《投擲》の文字に触る。

すると画面が切り替わり、スキル《投擲》の説明文が映し出された。



*************************************


投擲――投げた物体を物理的に可能な範囲内で狙った場所に正確に当てることが出来る。


*************************************


「ふーん、よくわからんけど凝ってるなぁ……あ、そうだ。アラームを七時にしておくか」


毎朝五時に起こされるのは御免なので、俺はアラームの設定時間を変更しようとスマウォに指を伸ばした。

その矢先、

『クエスト発動! 十分以内に篠崎ミクに愛の告白をしろ』

スマウォが新たな《クエスト》を告げた。


「し、篠崎ミクに愛の告白って、なんだそれ……っていうかなんで篠崎さんのことを知ってるんだよっ」


蚊の一件でも不思議に思ったが、さすがにこれは看過できない。

高性能とかいう次元の問題ではない。篠崎さんの存在をスマウォが認知しているのは明らかにおかしい。

どうやっても外れないことといい、このスマウォは常識を逸脱している。


「こ、こいつは早いとこ壊して外した方がよさそうだな」


そう結論付け俺は庭にある物置に向かった。



☆ ☆ ☆



物置から引っ張り出した電気のこぎりを前につばをごくりと飲み込む。

少々怖いが背に腹は代えられない。

薄気味悪いスマウォをさっさと手放したいという思いから、俺は電気のこぎりでスマウォを真っ二つにしてしまうことにしたのだった。


スイッチを入れ電気のこぎりを作動させる。

ギィィィーンという音が辺りに響き渡る。


俺は意を決して左腕を前に伸ばし――


『制限時間終了。クエスト失敗!』


――たところでスマウォが声を上げた。

さらに続けてスマウォは驚くべきことを口にした。


『霧矢秀作は毒によって死亡』


「は? ど、毒で死亡……? お、俺が……?」


と次の瞬間、


ちくっ。


スマウォの内側から針のようなものが飛び出て、手首に刺さった感触がした。


「な、なんだったんだ今の、ぅぐあぁっ……!!」


すると突如として肺を鷲掴みにされているかのような息苦しさが襲ってきた。

次いで心臓を直接殴られたかのような激しい痛みも押し寄せてくる。


「んぐあぁぁぁーーーーっ!!」


今までに体験したことのない苦痛で、今にも気が狂いそうになる。


「ぅぎぎぃぃ……うがああああぁぁぁぁーーーっ……!!!」




死。


その言葉が脳裏をよぎった。

まさにその時だった。


俺の意識はそこでぷっつりと途切れた。

ブクマと評価ありがとうございます。

とてもやる気が出ます!(^^)!

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