第3話 ステータス
スマートウォッチ、略してスマウォはタッチスクリーンとCPUを搭載した腕時計型のウェアラブルデバイスのことだ。
その最新版であろうスマウォを拾った俺は、家に着くなりネットの情報と照らし合わせて本物かどうかを確かめた。
その結果――
「偽物かよっ」
俺が期待していたUウォッチではないことが判明した。
だがしかし、デザインは悪くない。
最悪、時計としては機能するし、これはこれでいいかもしれない。
「どうせ捨ててあったものだしな」
自分に言い聞かすようにつぶやくと俺はスマウォの画面に指で触れてみる。
すると、
『名前と生年月日を登録してください』
機械的な女性の声がスマウォから発せられた。
「へー、喋るのかこれ。面白いな」
『名前と生年月日を登録してください』
「名前と生年月日か……」
『名前と生年月日を登録してください』
「わかったから、ちょっと待ってくれ」
機械音声に急かされつつ俺は自分の名前と生年月日を入力していく。
スマウォなど初めて手にしたので期待と興奮で若干指が震える。
『霧矢秀作さま。登録完了しました』
少しもたついたものの登録とやらを済ませた俺。
説明書がないので適当に画面にタッチしてみると、
*************************************
・霧矢秀作:十六歳
・レベル:1
・スキル:なし
*************************************
スマウォの画面に何やらステータスらしきものが表示された。
「へー、ゲームみたいだな」
とそんな時、
「秀作、早くお風呂入っちゃいなさいっ!」
下の階にいる母さんが怒声を張り上げた。
俺が遅く帰ってきたため、今朝以上に機嫌が悪そうだ。
「わかった、すぐ入るっ」
一家の大黒柱には逆らえない。
俺は着替えを用意するとすぐさま風呂場へと直行した。
ブクマや評価、ありがとうございます。
とても嬉しいです。