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No.2 キャラクリエイト

あと2話投稿するって言っといて、しれっと3話目投稿していくスタイル。

<FoRにようこそ!>


 ダイブと初期起動設定が完了し、吸い込まれるような感覚の後に現れた白い空間。

 そこに、僕にしっかりと聞こえるぐらいの音量で女性の機械音声が語りかけてきた。


<これよりプレイアブルキャラクターの作成を行います。よろしいですか?>

「大丈夫です」

<では、名前と職業を選択してください>


 すると、僕の目の前にタッチパネルが出現した。様々な職業が説明とともに一覧で表示されている。


「名前はリズ、職業は……『念術士』でお願いします」


 念術士は、その名の通り念力で様々なものを操って戦う職業だ。職業レベルが上がると重い物も操れたり操作の精度に補正が掛かったりする。


 この職業を選んだ理由は単純明快、刀を投げた時の回収がし易そうだから。ただそれだけである。


 『気狂い』でもそうだったが、僕は遠距離攻撃の手段を確保するために、武器を投げては超速でインベントリから取り出す──通称『超投剣(刀マシンガン)』を行っていた。


 しかし、それはインベントリ内に大量に武器を持っていなければそもそもできないことだ。


 と言うか、僕の場合だいたいはプレイヤースキルでなんとかできるので、職業やら種族やらはサポート以上の役割を持たす必要はないのだ。


<了解しました。では種族を選択してください>


 さっきと同じようなウィンドウが出現した。変わり映えしないなと思いつつ、ウィンドウをスクロールしていく。

 新時代のゲームと言うだけあってなかなかの種類が存在するようだ。別にそれが売りのゲームというわけでもないのに手を抜かっていない。


 改めてこのゲームの力の入れ具合に驚嘆の意を示したが、全員同じことを考えていそうだな。


 しかし、本当にいろいろある。普通の人間はもちろんとして耳の生えた獣人、魔人、吸血鬼、天使や堕天使、更にはガイコツやオーガまでいる。

 気狂いでは人間しかなかったが故に少し新鮮な感じがする。せっかく始めたからには、人間以外にしたい所だ。


「それじゃ……『堕天使』でお願いします」

<その種族はデメリットも存在しますが、よろしいですか?>

「大丈夫です」


 この種族を選んだのも、サポートのためだ。堕天使は様々なデメリットの代わりに得られるステータス補正がどの種族よりも高い。

 しかも、肝心のデメリットが被ダメージ関連のものばかりなのだ。


 つまり、攻撃を食らいさえしなければ高ステータスを維持できる。


<了解しました。それでは武器を──>

「刀」


 即答した。めちゃめちゃ食い気味に言った自分が少し恥ずかしい。


<……了解しました。それではアバターの外見を設定してください>


 現実からあまり変えなくていいだろう。気狂いでも目の色を変えただけだったし。

 でも何も変えないのは勿体ない気もする。とりあえず目の色は変えておこうかな。


 気狂いでは碧眼にしていたのを赤色にしてみた。奇しくも雛那と同じ目の色だが、兄妹だし普通だろう。たぶん。


 最終的な見た目は、目以外全く変わってない。やたら女々しい華奢な身体に白髪赤目。良く言えば中性的、率直に言えばショタ顔だと良く言われる顔から伸びる前髪は目元まである。


 外見設定を終え、決定ボタンを押す。


<これでよろしいですか?>

「大丈夫です」

<了解しました。それでは……>


 先ほどまで淡々としていた<案内者>が一瞬だけ言い淀んだと思えば、すぐさま元の口調で語る。


<貴方の『言葉』を教えてください>


 ……事前に調べた情報の中に、『魂の言葉』という要素があるとは書いてあったが、これの事だったか。


 世界に溢れた魔素を制御し、超常的な現象を引き起こす「天使文字」の力を行使するための契約が『魂の言葉』であるというゲーム内の設定。


 天使文字を日本語に翻訳したキーワード群を組み合わせることで、のちのち様々な効力を発揮する……らしい。

 例えば『<執着>する<理想>が<破滅をもたらす>』……といった感じだ。この文章が何の意味を持つのかは全く解らないがしっくりくるものを探すとしよう。


 六枚のカードにイラストと共に文字が書かれていて、それが自分の周りを回っている。手にとることで『言葉(ワード)』が決定するようだ。


 今表示されているのは<叛逆>、<蛮勇>、<恐怖>などだ。その手のロールプレイに興味はないので再抽選。


 何回か繰り返したが、未だしっくりいくものは出てきていない。ロールプレイ用かと思うようなシリアスっぽいやつから明らかにネタに走ったものまで様々だった。


 もういい加減止めて適当に決めるかと半ば諦めかけてから再抽選ボタンを押すこと十数分。

 ついに「それ」が現れた。


 僕はカードを順番に手に取り、『魂の言葉』を完成させる。手に取ったカードと浮いていた残りのカードが光とともに消えた。

 そして、僕は<案内者>の質問に対して回答する。


「<迷走>する<衝動>が<向かう先に>」


 「言葉(ワード)」と自分自身を重ねている、などとヒロイックなことを言うつもりはない。

 ……だが、これ以外にない。そう思えた。


 根拠はない。ただそう思っただけ。

 もしかしたら、とんでもないハズレで今後足枷にしかならないかもしれない。

 他の人から馬鹿にされるだけかもしれない。

 ……でも。


<これが貴方の言葉(カタチ)なんですね?>


 でも、僕は間違っていない。理由もなくそう信じ、迷うことなく『YES』のボタンを押した。


 すると、自然と僕の腕が動き出した。同時に、作成された僕のアバターが鏡映しのように動き出す。

 鏡を介して僕達(・・)の手のひらが重なり、僕はその鏡に吸い込まれていく。


 僕とアバターが入れ替わるような演出なのだろうか。後ろには現実の僕が写し絵のように描かれている。


 僕が首を下に向け、手を動かしてみたりしていると、突然白い空間に亀裂が生じた。

 空間のヒビはどんどん広がり、僕はヒビ割れた球体の中にいるような構図だった。


 やがてヒビは球体全体に広がり、空間が音を立てて崩れ始める。

 そして球体が完全に崩れ去り、足場を失った身体が深い闇の中に落ちていく。


 次第に薄れていく意識の中、僕は何かに手を伸ばしていた気がした。

浮いてる剣とかカッコいいですよね。Ni◯Rみたいに。

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