水風船
僕は水風船。膨らむことが仕事。だけどいつかは割れてしまうらしい。
最初はみんなと一緒に膨らんでいた。たくさん膨らむと褒めてもらえるから僕はいっぱい膨らんだ。ちょっと苦しかったけど、たくさん褒めてもらえた。
膨らむのを止めちゃう子もいた。僕にはどうして止めちゃうのか分からなかったけど、何故だか彼らはすごく綺麗で楽しそうに見えた。
僕はまだまだ膨らんだ。一緒に膨らんでいた子が苦しそうにしていた。大丈夫?と声をかけると彼女の水は溢れてしまった。僕は溢れた分をもらってあげることにした。元気になった彼女はとても綺麗な青色だった。
僕はまだまだ膨らんだ。でも、前よりみんな褒めてくれなくなった。前よりずっと苦しい気がするけど、僕の水はもう誰にもあげられなかった。
それでも僕は膨らんだ。すごく苦しい。僕はいつになったら割れるんだろう。僕の風船は何色だったんだろう。