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第三界と竜星剣

すると砂煙が晴れ、男の姿と飛来した物体が顕になった。男は地面に刺さった物体に手を掛け、その名を轟かした。

「激水竜星剣 ニライカナイ」

地面に突き刺さる刀身は見事な深い青色で海のように計り知れない雄大さを秘めている。とても美しい剣であるが隠しきることのできない竜の尊厳を感じさせるものであった。偉大な竜聖の御前で震えぬ者は一人を除き誰もいなかった。

カルノナウムが独りでに震え始める。自らが憧れた存在が自分に牙を向けている、普通では有り得ない状態に陥ったことに対する震えであり、また自分より遥かに勝っている存在を前にしたことに対する身震いでもあっただろう。

「一体どうしたのですか?カルノナウム!」

これまで何にも反応せず、敵を屠ってきた自分の剣が震え出したことに対して驚きが隠せない。

「あなたの剣は、かなり怯えているようにも見えますが、どうなさるおつもりで?退かれてはいかがですか?」

自分の身の丈ほどある剣を背中にしまい、剣聖に向け歩を進める。(このまま退いてくれればいいのだけれども)

「世迷い言を。私は誇り高き第47代目剣聖シェリエラ・アルムヘイム。このようなことで退いてよい訳がありません。必ずやあなたを処刑いたします。」

彼女の持つ瞳は、とてつもない光を放っていた。しかし男には、しがらみにからめとられた哀れな少女の見栄を張る鈍い光に見えた。「よく戦ってくれました。今はもう休んでください。」

自分の持った剣に労いの言葉を掛けると

「ゲート!」

また黒い空間ができ蒼く光る剣は、彼女の手から離れ黒い穴にすいこまれていった。丸腰となった剣聖は暫くの間、息を整え右手を天に向かい挙げた。そして声高に言い放った。

「第・3界!!」

すると空は瞬く間に黒雲に覆われ雷の轟音が鳴り響いた。そして、その黒雲から一つの稲妻が現れ剣聖目掛けて落ちていく。辺りは一瞬にして光に包まれた。光が消えた後、青く美しい女性は跡形もなく消えていた、しかしその場に居たのは、肩まで伸びた金髪に、片手には刀身が稲妻のような形をした剣を持つ、如何にも陽気そうな女性だった。皆、何が起こったのか理解できない状況だったが、そのようなことも気にせず彼女は剣を振り下ろし強気かつ陽気な口調で言い放った。

「雷っ界のっギルガゼクトぉっ!」

一瞬のことで呆気にとられていたが、エリトは、背中の剣を抜き、もう一度強く握り締める。

「あいつの剣の属性は見てわかる通り雷だ。オレじゃ相性が悪いが食い止めるぐらいならできるぞ」

ライカがやけに気が利く。

「この私に第3界を使わせるとは、恐れ入った。けどもうさっきのようには、いかせねぇよ。一瞬で片をつけるっていうのを見せてやる」

さっきまでとは思えない容貌と口調の変化、そして剣の構え方までも第2界を使っていたようでなく。身体をまるでボクシングのように軽やかな姿勢を保つようになっていた。両者、もう一度互いの得物を構えたところで彼女が仕掛けて来た、のだと思われる。第3界を手にした剣聖は、稲妻の如き速さで間合いを詰め一瞬にして三回もの攻撃を仕掛けた。エリトは、防ぐので手がいっぱいだった。攻撃をされていたことでさえ認識が遅れたのである。そしていつの間にか先程の場所に戻っている

「どうだわたしの剣筋は?見えなかっただろ?この状態をアルムヘイム家の人間は「ライトニングセイバー」って言って、戦いに終止符を打つ存在として代々崇めているんだぜ。他にもこの状態で駆け抜けた跡には、無数の落雷があったように見えることから「カウントレスサンダー」って呼ばれたりしてるんだぜ!」

(なんか子供の自慢話のように聞こえるな。というまだなのか?あいつは、今頃こっちに向かっているのか?)

「はい。たった今むかっているとのことです。もう暫く耐えましょう。」

「臨機応変な状況確認ありがとうございます。ナビィレさん」

「ん?何、独り言いってんだ?」

(ヤバっ無意識にやっちまった。)

「まぁ、いい。久しぶりに互角に戦えそうな奴がいるんだ。もう少し楽しませてくれよっ」

そう言うと猛スピードで錯乱してきた。目にも止まらぬ速さで駆け抜ける様は、まるで落雷での閃光を思わせるものだった。

(だめだ。今のままじゃ全然目で捉えられない、アリアの魔具解放時よりも数倍速い。)

エリトは、攻めることもできず一方的な攻撃をやっとの思いで防ぐことしか厭わなかった。闘技場に金属のぶつかり合う音が響く。皆息を飲みながら異次元の戦いを傍観する。防戦一方のエリトに剣が話しかける。

「おい、エリト。オレに魔力を込めろ!相手は剣聖だ。剣技においてこの帝国じゃ、右にでる者はいねぇ。広範囲魔法でけりをつける」

「わかった。残り全部注ぐよ!」

この戦いでかなりの魔力を消費したので残りも少なくなっていた。しかし魔力を注ぐ時間もそう短くない。シェリエラはつぎの一手を決めにくる。

「ヤバい。このままじゃあ本当に殺られる。今の状況で、できるか分かんないけどやるしかないな。アルティメットスキル ポッシヴィリタース!発動」

「ポッシヴィリタースの発動を確認。状況確認の上、自動でスキル選択を開始します。スキル 物理攻撃無効障壁(アタックプロテクトフィールド)を獲得、直ちに展開します!」

するとエリト周りに球形の障壁が展開されシェリエラの攻撃を弾いた。

「何だ、あれ?スキル ステータスディテクト」

少し距離をもったところで彼女は、障壁の効果をスキルで特定した。「ある一定の物理攻撃を無効化するスキルねぇ。じゃあぶっ壊れるまで切り刻むまでだぁ!」

なんというか、傍若無人、無謀というか先程までの理性そのものが何処かにいってしまっていた。まさに別人だと言わざるを得ないものだった。剣聖の怒涛の剣撃が障壁に向かう、段々と罅が目立つようになってくる。エリトは、苦し紛れに魔力を注ぐ。両者互いの目的が終わったところで相手に対して強力な一手を入れる。

「激水魔法 アクアニブルテン・・」

「雷界究極魔法 ケラノウスライト・・」両者の激しい魔法は、闘技場を吹き飛ばさんとするものだったが、ある一言がその場を一瞬にして制した。

「そこまでだよ二人とも!」

とても聞き覚えのある声が聞こえた。いや、聞き覚えがありすぎるようにも感じる。裁判関係者の皆が闘技場の入場口に目をやると、小さい男の子と双剣を持つメイドが二人ならんでいた。


気になることがございましたら質問をしてくださると幸いです。今後の改善点として、組み込ませていただきます。ご要望も可能な限り対応していきたいと思っておりますので、是非気兼ねなく送ってください。

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