究極(アルティメット)スキルの真髄
伝説の竜との激戦?が終わり。1日の幕が降りる寸前のところでナビィレから究極スキルの真髄を告げられる。果たして男は、強大な力を知った上でどのように反応するのだろうか?
長い文章ではありますが。最後まで付き合って頂けると幸いです。改善していきたいと思っておりますのでどうぞ宜しくお願いします。
「ふへー疲れたぁー。」
満身創痍の身体から湧く本音を漏らしながらベッドへ倒れ掛かる。「おう、なかなか強いだろ俺。今は玉っころだけどよ。かつては、この王国も壊滅の寸前まで追い込んだこともあるからな。奇しくも壊滅までは行かんかったがな、あの時俺と一戦交えた剣聖なかなか腕が立っていたなぁ。まぁあんちゃんほどじゃなかったな。」
またお喋りモードに火がついた。
「あのねぇ玉があんまり喋ると他のメイドにバレるの、ちょっと黙ってくれる?」
10歳の小さい両手で抱えながら玉に説教する。
「オレが実際、疲れたのは応対なのよ。あの転移魔法の使用条件に女子のスカートをめくれだの。まぁあの時、結局めくったけどメイド服の下にスパッツみたいのをはいていたみたいで助かったからいいんだけど。あっそういえばナビィレ、アリアのスカートめくった時にそれ見て舌打ちしたろ?」
「はい?なんのことでしょうか」
「(とぼけやがって)まぁいいや。条件は満たしたとのことで難なく転移できたものの。まさか門番の目の前に転移して追われるとは思わなかった。その後なんとか撒いて元の姿に戻って、屋敷に帰った。すると、予想通り両親にこっぴどく叱られ5日間の出禁。不幸中の幸いとするのならばアリアに責任を問われなかったことかな。ってわけで疲れたの」
「えっオレとの一戦は、そこまで疲れなかったの?」
コップの上においた玉が喋る。
「まぁ誰かさんの魔神器に魔力込めて放っただけだから。そこまで?」
「うっそ酷い。昔は、オレ一人だけに各国の連合軍隊およそ500人が襲ってきたのに!」
「そういえば、ナビィレ。オレに備わったアルティメットスキル「ポッシヴィリタース」について聞きたいのだけれども」
玉の武勇伝は耳から耳へ通り抜ける。
「わかりました。お話しします。心してお聞きください。まずアルティメットスキルからお話しします。このスキルは、他のものとは大きく異なり強大な力を持ちます。この世で普通とされるスキルや魔法の大半はある程度の才能や努力で先天的にも後天的にも獲得する契機がございます。しかしアルティメットスキルの所持者の場合大半のスキル獲得は不可能となっています。しかしその代償にある一定の条件下であれば理さえも歪めることさえできる能力を所持しています。」「そのような言い草だとそのアルティメットスキルを持ってるヤツは他にも存在するって感じだな。」
ライカが鋭いところをつく
「よく、わかりましたね玉っころ」
「わっ返し酷っ!冷たい!」
なんだか見ていて和むような感じがする
「いることには、いるのですが。今のところその手の情報は薄く、所持人数、所持者名は未だ謎です。アルティメットスキルについてはこれくらいにして内容のポッシヴィリタースについてお話しします。スキル、ポッシヴィリタースはその名のとおり「可能」つまりあらゆる事象、事柄、森羅万象において全てを可能にする唯一無二のチートスキルです。」
「はぁ、へっ!?えっえええ!うわぁぁぁ!」
「そんっなっ力なのか!?」
ライカは、驚き過ぎてこれ以上言葉がでない。しかし二人の驚きようを制するように
「あっでも、そんな軽々できませんよ」
「んっどゆこと?」
いきなりの意味不明の言葉に動揺する。
「ですから、そんな簡単にチート能力、手にできるとお思いですか?あなたが、このスキルを活用するには言いました通り条件があるのです」
そう思い返してみれば
「あぁなんかアリアを呼び捨てで呼んだりとかナビィレに名前をつけるとかのやつ?」
「はい、それに関しては、特別処置というべきものですね。少し手の甲を見ていてください。」
「わかった」
じっと自分の手の甲を見ているとだんだんと算用数字の5が浮かび上がってきた
「なんだこれ?何の数字?」
「これは、あなたと深く関わり友情なり愛情、あなたにとって友好な関係になった人たちの数です。この数とスキルは連動しています。この数が多くなるにつれポッシヴィリタースの可能獲得範囲が拡大していきます。順調に数を増やしていけば、やがて、この世に存在するものを可能にするのみならず自分が思い描いた虚構の全てさえ自らの手中に収めるでしょう。」
とんでもない力だがあえて驚きを隠し
「コミュ障のオレには最大の試練だけどね。」
高々に言い放つ。少しだけ慮る言葉を求めていたが
「もちろんです。」
軽々と言ってのける彼女も彼女だ。
「そういえば、なんで五人なの?まぁ、アリアとナビィレ、父様、お母様ってことぐらいわかるけど、後一人は誰なんだ・・・まさかとは思うけど。まさかねぇ?」「残念ですがそこの玉っころもカウントされております。」
「はぁーー」
「おい!そのため息なんだ!?なんで残念ですがってなんだよ!オレって今、弄られてるの?」
突然何かが引っ掛かるような気がした。
「あっそういえば。ライカってナビィレの声が聞こえているのか?ナビィレはずっと頭の中で言っているのかなって思っていたからさ。」
「ああ、聞こえるぜ。いやそもそもの話、オレの声自体テレパシーみたいなもんで、あんたの頭ん中で話しかけているから。もしかしたら同じ媒介同士で聞こえるのかもしれないな」
「なるほど。ん、まてよ結論からしてこの会話自体他の人には聞こえないわけだよな。ってことは、オレ絶賛独り言?」「そういことだな、ですね。」
二人の冷静なコメントが逆に心に刺さる。
「まぁいいや。そのことは、置いといて。これからどうしようかなぁ?できることならオレはこのまま屋敷でのびのび、かつ、だらだらしてたいんだけど」
引きニート思考まっしぐらである。
「そうですね。できればの話ですが」
「ん?どゆこと?」
「そんなことより、お客様みたいですよ」
ナビィレが何か暗示するよう語る。すると、ドアをノックする音が聞こえ。また聞き慣れた声が聞こえた。
「入ってもよろしいですか?」
アリアだ。すかさず「どうぞ」と何故か緊張交じりで返事をした。自分のプライベート空間に異性を入れる行為など家族関係以外なかったからだろか。
「エドワード様お怪我はごさいませんか?」
「アリアこそ怪我はない?」
「まだ痛むところはありますが、かなりひきました。」
それもそうだ自分のためにあそこまで身を呈してくれたのだ。どさくさに紛れ異性に対し呼び捨てで名を呼んだが、それに気付かぬほど彼女を心配していたようだった。
「そのですね。一つお尋ねしたいのですが」
「はい!なんでしょう?」
相変わらず返事が固くなる。
「あの怪物は、どうなさったのでしょうか?」
「あぁ。ここにいるよ」
玉を指さしながら言う。
「へっ!?えぇっ!?」
(あっヤベ急に言っちゃった。まぁそうなるよね。)
「おう。正真正銘、激水竜 ニライカナイだぜ!」
なぜこんなにも、傷付けた相手に気さくに話せるのかわからないが、こいつの杜撰さコミュニケーション能力の高さは大体検討がついた。「で、どなたが激水竜をこのように追い詰めたのですか?」
「それは、そこにいる。坊っ」
「止めろ、皆まで言うな。少し黙ってろ!」
小さい声で大きい圧をかけ片手の握力で玉をおさえつける。
「やはり、あの方なのでしょうか?」
(ヨシっバレてない)
「そうそう、通りかかった強そうなお兄さんに助けて貰いました。驚きの強さだったな!アハハ」
「そうですか。ちなみにどちら様であったかお名前をお聞きしましたでしょうか?」
「そうだね。確か・・エリト。エリト・ヴォルターナって名乗っていたような」
(やっぱり本業ネームクリエイターなのかな?)
「エリトさんですね。あまりお顔をはっきりと覚えていませんが必ずお礼をしておきます。」
(よしっ上手く誤魔化した。)
「では失礼します。お身体を大事になさってください」
「アリアもね!」
「はい」
落ち着いた返事をして去っていってしまった。
「おい、玉っころさっきは何故それを言おうとした?」
玉を両手で抱え力を入れる
「えっ駄目だったの!?なんで?」
まだ、ことの重大さに気付いていないようだ。
「あのねぇ。あのまま正体がバレていたら間違いなくオレは、王様街道まっしぐらなわけだよ。さっきも言った通りオレはのびのび&だらだら生活が理想なの。冒険みたいなことができるなら是非ともしてみたいけど、王様になるなんてもっての他だ。しかも、オレはこの世界についてまだ知らなすぎる。身体の変化を自由自在に行えて、かつ強大な力を持っている者がいるなんて知られたら。何か良からぬ組織が、絡んできたりなんて可能性もなくはないんだ。だからこそあの姿自体を別の存在として置くことで不安要素を失くそうとしたんだ。よくもその計画を軽々しく踏みにじろうとしてくれたな!」
鋭い眼光が玉に向かって放たれる。
「素晴らしい考えだと思います。そこまで考えていらしたのですね。」
ナビィレに褒められるのは何故だかとても喜ばしくかんじる。
「まぁね常に最悪の展開を考えるってことは怠らないようにしているのだ。」
「そうですね。エドワード様がお察しの通りこの世界は、かなりの実力至上主義でありますね。身分という立場上はかなり固いもので変わるものではありませんが一定の身分範囲以内であれば、魔力、経験値、スキル、職業といった実力で優劣が決まります。ですから、もしエドワード様がそこの激水竜を事実上討伐したということが広まれば、王権を掴むことは間違いないでしょう。そして先ほど述べました通りこの世界は、実力至上主義です。いきなり、齢にして10才程度の者が一国の国王になること自体面白く感じない者が現れることでしょう。そうなれば、エドワード様の身柄が狙われるのは必然。エドワード様にとっての理想は叶うどころか、永久に閉ざされることでしょう。」
丁寧かつお堅い説明が終わった。
「まぁつまりそんなところだ。なので今後あの姿はエリトという人物としよう。そうすれば、冒険者をやれるし、スキルの特訓も強力な魔法行使も気兼ねなくできるだろう?」
「そうですね、だな」
「二人の了解も取れたということで今夜はもう寝るとするかぁ!」
この会話を最後にして、三人の今日という長い1日の幕はおりた。
気になることがございましたら質問をしてくださると幸いです。今後の改善点として、組み込ませていただきます。ご要望も可能な限り対応していきたいと思っておりますので、是非気兼ねなく送ってください。