自然な関西弁を作る方法~レッツ・ホンマモン!~
活字において、キャラの個性を出す為。
特徴的な口調を採用する、というのはよくある事。
その中でも関西弁というのは、かなりメジャーだと思われる。
だがしかし悲しいかな。
なろうに多く見られるのは、関西弁ではない。
ただ終助詞の『や』を付けてるだけである。
これでは『パチもん』である。
ランキング上位に上るような作品ですら、このようなパチもんは散見される。
中には『怪しい関西弁』と自分で予防線を張り、指摘されるのを避けようとする場合もある。
そのような見苦しい真似は、もうやめにしようじゃないか。
立派な『ホンマもん』になろうじゃないか。
そういった意図により、ただの標準語を元に、関西弁を作る方法論を紹介しようと思う。
といっても付け焼き刃なので、どうしても限界はあるが。
それでもややややうるさい、パチもんよりは上等だろう。
①関西弁特有の表現にする
②『ない』を『へん』にする
③『だ』を『や』にする
④『ではない』を『やない』にする
⑤『もの』を『もん』にする
⑥相手のことを『自分』と呼ぶ
⑦語尾を『で』にする
⑧『いる』を『おる』にする
個人的に①②③を意識すれば、かなりの改善ができると思っている。
他はより自然な表現のための、余裕があれば程度の項目になる。
なお先に断っておくが、筆者は言語学者ではないし、語学を専攻したこともない。
その為このレクチャーに、学術的根拠は存在しない。
また画一的な方法論に終始するので、
「そもそもなんでこうなの?」
という、疑問には答えられないかと思う。
繰り返すがそのようなことに答える知見はない。
同様の理由によって、
「おおきに」
「おっちん」
「ほかす」
「せやかて工藤」
等の関西弁ならではの表現であっても、利用が難しそうなものも省いている。
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①関西弁特有の表現にする
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●例文
「いい感じ」
「本当か?」
「それいくら?」
「早くして」
「違う」
「そんなによく食うなあ」
「ダメ」
●関西弁訳
「ええ感じ」
「ホンマか?」
「それなんぼ?」
「早よして」
「ちゃう」
「そんなによお食うなあ」
「あかん」
●ポイント
暗記教科。
『良い』『本当』『いくら』『早く』『違う』『よく』『ダメ』はそれぞれ、
『ええ』『ホンマ』『なんぼ』『早よ』『ちゃう』『よお』『あかん』になる。
この辺がサラッと出てくるようになると、それだけでにわか卒業。
ちなみに『沢山』を『仰山』ともいう。
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②『ない』を『へん』にする
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●例文
「やらない」
「知らない」
●関西弁訳
「~やらへん」
「~知らへん」
●ポイント
『ない』を『へん』に置き換えるだけで、グッと関西弁っぽくなる。
ただし『ではない』は『ではへん』にならないので注意。
●応用例文
「構わない」
「出ない」
「来ない」
「~しないか?」
●応用関西弁訳
「構へん」
「出えへん」
「来いへん」
「~せーへんか?」」
●応用ポイント
『へん』の使い方に関わる特殊な例。
何故か『構わない』からは、『わ』がなくなる。
逆に『出る』は『え』が増えて、音が伸びる。
『来ない』は音が伸びた上に、読みが『き』に変わる(ちなみに発音はほぼ「来いひん」)。
更に『する』の活用が、関西弁ではかなり特殊。
『しろ』は『せーや』、『しなければ』は『せな』、『するな』は『すんな』だったり。
完全に活用形をマスターしたら、最早ネイティブレベル。
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③『だ』を『や』にする
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●例文
「俺だ」
「そうだな」
「なんなんだ?」
●関西弁訳
「俺や」
「そうやな(せやな)」
「なんなんや?」
●ポイント
まずは標準語で台詞を考えて、それから『だ』を『や』に置き換えてみる方法を、筆者は提唱する。
おそらく「~だ」と断定的に話す機会は、それほど多くないと思う。
例えば自然な口語で話すと、「使うんだ」ではなく、「使えば」「使ったら」になると気付くはずだ。
これなら過剰なパチもん表現を、避けられるのではないかと思う。
●応用例文
「使うんだよ」
「何するんだよ!」
●応用関西弁訳
「使うねん」
「何すんねん!」
●応用ポイント
『のだよ』『んだよ』は更に、『ねん』に置き換えられる。
有名な『なんでやねん』は、標準語では『なんでなんだよ』に該当する。
これが使えると途端に、かなり関西弁っぽくなる。
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④『ではない』を『やない』にする
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●例文
「只者ではないな」
●関西弁訳
「只者やないな」
●ポイント
『では』を『や』にするのではなく、『ない』とセットで置き換える。
なぜなら「こっちでは普通」は「こっちや普通」にならないからだ。
●応用例文
「良いではないか」
「偽物ではないか」
●応用関西弁訳
「ええやんか(ええやんけ)」
「バッタ物やんか(バッタ物やんけ)」
●応用ポイント
更に『ではないか』を『やんか』『やんけ』にする。
ちなみに『バッタ物』は関西弁の『偽物』のこと。
ここまで使いこなしたら、もうパチもん卒業。
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⑤『もの』を『もん』にする
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●例文
「こんなもの」
「悪者」
●関西弁訳
「こんなもん」
「ワルモン」
●ポイント
実はこれに限らず、『ん』に変わる瞬間が、関西弁には多い。
しかし条件とともに網羅すると、覚えるのが大変なので、とりあえず『もの』を覚えておく。
ちなみに関西弁に於いて、ヒーローや正義の味方は、『イイモン』と表現する。無論意味は『良い者』。
更にちなみに『パチもん』は、パクるの過去形を関西弁にした『パチった』+『物』を略した言葉。
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⑥相手のことを『自分』と呼ぶ
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●例文
「お前さぁ」
「アンタなぁ」
●関西弁訳
「自分さぁ」
「自分なぁ」
●ポイント
関西弁の不思議、相手のことを『自分』と呼ぶ。
ちなみに一人称で『わい』というのは、一般的ではない。
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⑦語尾を『で』にする
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●例文
「お前、後悔するぞ?」
「泣ける」
「使わない」
●関西弁訳
「自分、後悔するで?」
「泣けるで」
「(よお)使わへんで」
●ポイント
主に聞く相手がいる場合に、説明的なニュアンスで使用する。
更にうまく『よお』を使えると、かなり関西弁っぽい言葉づかいになる。
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⑧『いる』を『おる』にする
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●例文
「何かいるな」
「誰かいたか?」
「誰かいるのか?」」
「終わってるなぁ・・・」
「良い物持ってるじゃないか」
●関西弁訳
「何かおるな」
「誰かおったか?」
「誰かおるんか?」
「終わっとんなぁ・・・」
「ええもん持っとるやんか(ええもん持っとるやんけ)」
●ポイント
『いる』以外にも全般的に、『~している』は『~しとる』と活用することになる。
他にも『~してやる』は『~したる』になる。「しばいたる」「どついたる」「いてもうたる」等。
『する』『おる』『やる』の後は、『の』が『ん』になるのも注意。
この辺をしっかり覚えようと思うと、相当な量の暗記が必要になるので割愛。
興味があるなら専門的な学習がオススメ。
使いこなせるなら、間違いなくネイティブレベル。