2.英雄物語
気が付いたら、ベットの上にいた。
あの後、わざわざ部屋まで運んでくれたのだろう。
外はもう真っ暗で、満月がよく見える。
満月を見ると、昔、お母様がよく話してくれた物語を思い出す。
--------
昔々あるところに、白銀の髪に瞳が月のような輝きを持つ月の女神リーティス、太陽のような色の髪に燃えるような瞳を持つ太陽の女神レリアナという2人の美しい女神様がいました。
2人はとても仲が良く、いつも一緒に過ごしていました。
ある日、太陽の女神レリアナは言いました。
いつも2人で楽しいけれど、もっとたくさんの者と過ごしてみたい、と。
月の女神リーティスはその考えに賛成しました。
そして、2人の女神様は「人間」をつくりました。
女神様と人間は共に遊んだり、物を作ったり、作物を育てたりと毎日楽しく過ごしました。
楽しい日々の中、1人の人間アベルは考えました。
他の人間がいなくなれば、女神様は自分だけを見ていてくれる、と。
アベルは人々を殺し始め、そのことに女神様は悲しみました。
女神様はアベルから人々を守るため、1人の人間に【言霊】という女神様の力を分け与えました。
力を与えられた人間はアベルを倒し、人々に英雄と呼ばれるようになりました。
その後、女神様はもう二度とこのようなことが起こらないように天から人々を見守ることにし、英雄と人々は国をつくり、そこで幸せに暮らしました。
めでたし、めでたし。
ーーーーーーーー
物語の英雄達がつくったとされる国は、ここ、《リンランド王国》とされている。
この国の人々は英雄の血を引き継いでいるとされていて、リンランド国民は【言霊】の能力が派生した、【魔法】を使うことができる。
元々【言霊】の能力とは、声に出したことが現実になるという中々恐ろしい能力で、「一か月、雨がふらなければいい」と冗談を言って本当に一か月雨が降らなくなった、という英雄の逸話まで残っているらしい。それに英雄以外に【言霊】を使えた人はいない。
派生した【魔法】という能力は、声に魔力を流すことで現実に起こすことができるというもので、魔法の大きさは魔力に比例しているらしい。
ちなみに、お父様はかなり魔法が強く王国で5本の指に入るらしい(ゼンから聞いた)
それに比べて継母は魔力が低く、ほとんど魔法が使えない。私は1歳のときに魔法を使えたので、私の方が魔力量が多い。
私の声が出れば、継母を追い出せるのに.....
ーーーーーーーー
トントン
「お嬢様失礼いたします。お食事をお持ちいたしました。お体はいかがでしょうか?」
体中が痛いけど、元気だよ。
サラが食事を持ってきてくれた。
あまりお腹は空いていないが、少しでも食べよう。
「今日はあれに見つからなかったので、色々用意することができました。どれにいたしましょう?」
トマトリゾットとサラダと野菜スープ。
どれもとても美味しいそう。
「明日は、あれが一日おでかけに行かれるのでお庭でもお散歩いたしましょう」
サラの提案はとてもうれしい。
明日晴れるといいな。
お読みいただきありがとうございました。
設定はこんな感じです。
リーナは長年声を出していないため、自分の特殊能力をよく知りません。
次は義弟を登場させます。