第8話 休んでみよう
感じる負担の軽減の為に行動を始めたが、やはり他人の絡むことは、なかなか即時にというのは難しく、とりあえず12月に入ってから3~4日程連休を取ることを決めて段取りを進めている。
年末なので、初旬の内に取ることになるが自主的な休みを取るのは何年振りだろうか。
よくよく思い出してみると、1日くらい遠い記憶の向こうで風邪で休んだことがあったような気もするが、働き始めて以来、初な気がしないでもない。
休もうと思っていることを伝えた時の周りの『ええ休んでください』という生暖かい反応が有難かった。そして、理解を示してくれる人が多くいるというのに頼っていなかったことが分かり、自分が今更そのことを理解したことに少し恥ずかしさが感じられた。
また、休むことを決めてみると気持ちの余裕ができるのか、どうにも『自分がやらなくてはならない』という意識が強すぎた事にも気が付いた。もっと『周りに頼る必要がある』と。
頼ることは『甘え』ではなく『信頼』という言葉があるように、相手を信じているから頼ることができるということ。
つまり、誰にも頼らずにいた私は『誰も信じていなかった』と言える。
自分が頼られた時、嫌と思いつつも少し嬉しいように『頼られる』という行為には頼られた側が存在意義のような物を感じるし、それを通じて信頼関係が生まれる。もちろん頼られる内容にも寄るが。頼って、頼られて、そして信頼関係は生まれるのかもしれない。
漢字を見て、知った気になっていたが、ようやく理解できた気がする。
私はもっと他人を信頼すべきだったのだろう。
とりあえずは気を抜こう。
色々な事に気付けるように余裕を持とう。
日常の中で気を抜く。
ガス抜き。
ある程度うまくできていると思っていたけれど、実際の所、うまくできていなかったが為に、アーリーリタイアしたいと思ったはずだ。
もしくはできていたけれど、残渣が積み重なった可能性もあるが、どちらにしろ改めて自分を客観視する良い機会になったように思う。
さて、本気のガス抜きの為に連休を取ることになったので、思い切って普段は絶対しないようなことでもしようかと思う。
思って見れば、キャンプをしたくて寝袋や道具を買ったけれど、結局しまい込んでいた。
それも引っ張り出してみようと思う。
でもクマが怖いので海沿いで車中泊なんかにしよう。
ボーっと冬の海でも眺めながら美味しいコーヒーを飲んで過ごすのも良さそうだ。
寒さで日和ってどっかに素泊まりしそうな気もするけれど、それはそれで良い気がする。
何も決めずにブラっと出かけて過ごしてみよう。
やってみなかったことをやってみるのは見えていなかったことを見せてくれる気がする。
東京に行って古い友人を訪ねるのも楽しそうだ。
昔やったバックパッカーの真似事も改めてやってみるのもいいかもしれない。
台風に揺られる船旅も楽しかった記憶があるから、船に乗ってみても良いかもしれない。
なんだかやりたいことが結構でてきた。
そして多分、これらは無意識に封じ込めていたような気もする。
多分普段している小説を書くという行為も、その残渣が発散の場を求めた故に手が動いたのではないだろうか。
なるほど。
人生には適度に本気の休みが必要なようだ。
再来週の休みに向けて、ほどほどに仕事をすることにする。もちろん周りにいる人たちを頼って。