第6話 はたらくって……なんだ?
はたらきたくない。
この一貫した主張だが、そもそも『はたらく』ってなんだ?
辞書で調べてみると『労働』がはたらくという言葉としてでてきた。
この労働というのを辞書で調べると『体を使って働くこと』と出てきた。
おい。
だから、そこの働くって言葉の意味はなんなんだよ。
さらに調べてみると
賃金・報酬を得るために、体力や知力を使って働くこと。
と、出てきた。
おい。
だから、そこに使われている『働く』ってのの意味を知りたいんだよ。禅問答か。
別の辞書で調べてみたら『はたらく』は、仕事する。とか、機能する。とかと出てきた。
イメージとしては『お金の為に体力か知力か時間を使うこと』が『はたらく』の指すところと取って良いだろう。
ふむ。
つまり私は、
お金の為に、体力や知力、時間を使いたくないでござる。
…………
……
…
う~ん、しっくりこないれす。
ぶっちゃけ仕事しないで、だらだら好きな事をしたいって意味で言ってますわ。
好きなことだけやって生きたい。的な感じで。
おっ?
こう書いてみた方が合ってる気がした。
そうや! 好きな事していきたいんや! 楽しく生きたいんや!
んっ?
と…………言うことは、ですよ?
『働きたくない』って漠然と思っていたけれど『やりたいこと』『好きな事』が、はっきりしてないと実はマズイんじゃないだろうか?
ただ単に『もう仕事したくない』という気持ちだけでアーリーリタイアをすると、その『後』が無い。
『仕事をしたくない』が叶えられた時点で、目標が消えてしまうことになり、それで終わり。
冷静にこの点を考えてみると『アーリーリタイアしてまでやりたいことがある』とか思ってないとヤバそう。
というか、かなり大事な気がしてきた。これが無いと、なんだかマズい。なんか生ける屍になる気がする。
とりあえずダラダラして、それを探す。というのもアリだろうけれど『何かをするには人生は短い』という。で、あればアーリーリタイアしてからやりたいことを、もうこの時点で決めておく必要があるんじゃないだろうか? そんな気がしてきた。
さて、では、やりたいこと……か。
やりたいこと……ね。
ぼんやりと、やりたいことはある。
物を書くのは好きだし物書きとか憧れる。物語やエッセイは書いたりしてみたし、ある程度のビジネス書も書けるだろう経験も積んだから、それも書いてみたい。
いや、でもコレ普通に今の生活の中でも書いてるよなぁ……アレ? う~ん……
山林買ってサバゲ―会場とか筋トレ会場、遊び場を作りたい……
なんか仕事っぽい。だめだ。
思いつかない。
あれ~? なんだ? やりたいことって……
悩む。
悩んでしまったので、
悩むのが嫌いな私は、とりあえず早急な解決を求めて逆説的に考えてみることにする。
逆に考え
『やりたくないと思っていることはなんだ』
と。
これは簡単に思いついた。
私は責任の重い仕事をしたくない。
そうか。
実は、私の『はたらきたくない』『アーリーリタイアしたい』という思いは、
単純に現状の重圧から逃げ出したいという気持ちの表れだったようだ。
あぁ。
すごく、しっくり来た。
しっくり来てしまった。
なっとく。
つまり、私は現状の責任から解放されたがっている。
この感情は、うっすらと感じていたし、心の中にはいつでもあったもので希薄ながらも認識していた。
だが、こうして文字に起こしてみると面白いほどに核心を掴んだような心持になる。
本当に核や心を、がっしりと鷲掴みにしたような感覚だ。
意図せずに、わかったつもりになっていた自分自身の心を、改めてしっかりと認識する良い機会になった。
なるほどな~。
要は私は、責任が嫌になったのだ。
現状、感じている重い責任が嫌になっているのだ。
そして責任の無い仕事であれば、多分どれだけでも働いても良いと思っている。
いや、むしろ飲食での調理アルバイトなどであっても調理師免許の取得ができる機会になるかもしれないとかポジティブに捉えられる程だ。
つまり私は実のところ労働に前向き。
はたらきたくないでござる! どころか、はたらくでござる! だった。
核心を掴んでしまうとと不思議なもので、自分の進むべき道が見えてきた気がした。
なるほどな。
これはもう具体的に動きだすしかないな。