第4話 ミドルリスク
ローリスクはアホらしくなる程ローリターン。
ハイリスクは喪失の恐怖を覚えるが利益はハイリターン。
利益の少なさにウンザリもしたくないし、手持ちの資産を失うような怖い思いもしたくない。
そんな場合、そのどちらにも属さないような言わばミドルリスク、ミドルリターンを選択する他ないと思う。そして私はミドルリスク、ミドルリターンな投資が不動産投資だと確信している。
もちろん不動産取引もハイリスクになりうる物が多い。
私が考えるハイリスクな不動産は、建築してから年月が長く過ぎた建物などだ。
例えば、満室になっているアパートが5千万円で買えるとして、そのアパートは10室あり1室あたり5万円の賃貸収入があるとすれば、月で50万円の収入になり、5千万円を銀行などから借りて購入しても、その5千万円は、100ヶ月で返済できる計算になる。
100ヶ月といえば8年と少し。それ以降は完全に収入となりバラ色のように思える。
だが、順調にその通りになる可能性は限りなく低いはずだ。
まず分かりやすい事に『売りに出る』ということは、なにかしらの『理由がある』はず。
自分がその立場に立ってみれば分かりやすいが、借金をして手に入れた利益を生み出し続ける物を、そう簡単に手放すだろうか?
中には付加価値を付けて高値にして売り、資金を回収して、さらに価値を生むよう投資するというプロもいるだろう。だけれど、大半の人は、そうは思わない。そのまま持ち続けて限界まで旨味を貪ろうとするはずだ。
つまりソレを手放す場合というのは、例外的な、もう自身が老い先短くなっての整理や故人からの相続など以外の場合『旨味がなくなった』か『(下がっていくことが見えているから)高く売れるだろううちに売り切りたい』という意思があると解釈して良いはず。
つまり、老朽化などで満室にならず利益を生みにくくなっていたり、建物の改修が必要になったとかメンテナンスが高頻度で発生するなどのマイナス面が大きい可能性が高い。
建物は手を入れなければ風化し痛む。頑丈なビルなんかであっても、当然のことながら対応が必要だ。
外壁、屋上、天井、水回り、エレベータなどがあれば当然その保守管理は毎月。
外壁を塗るだけにしても足場を組む必要がある。街を歩いていて建物の周りに足場を組んでいるのを見たことがある人は多いだろうが、あの足場を組むのに、どれだけ費用が発生するかを考えたことがある人は少ないだろう。
もちろんネットなどで安めの試算はできるが、ネット上で見る事の出来る費用は大体客寄せパンダ的な値付け。実際に依頼した場合、少なくとも、その倍額以上になると見積もっておく方が賢い。運んだり人を入れれば、もっともっとかかるだろう。結局、足場だけでもかなりの費用になる。
その他、家賃の場合、回収作業も問題になるだろうし居住者に問題があるころもありうるなど運営の点で問題が発生しているかもしれない。
つまり、高い利回りが見込めるのに売りに出るということは当然ながら、そういった問題がある可能性が高い。
なので、そういった物件を買えば『収入が無いのに出ていくお金が多い』という本末転倒な自体にもなりかねない。
とてつもないハイリスクだ。
不動産投資、とんでもないハイリスク。
だが中には比較するとローリスクな物件もある。
私は20代の時、近所の土地が売りに出ていて、なんやかんやあって、その土地を購入する機会に恵まれた。
当時は将来的に何か建てるかもしれないし、ただ、目的もなくお金をため続けるのもなんだろうと思って購入したのだが、運のよいことに、その土地を『駐車場』として貸して欲しいという人が現れてくれた為、アスファルトを引いて貸し出すことにした。
幸いな事に、その収入が固定資産税の支払いや返済の一助になってくれる収入になった。
このことが土地が『収入を生む』ということを学ばせてくれた。
この駐車場というのは建物もいらないしメンテナンスは驚くほど少ない。気が向いた時に草むしりをする程度で収入を生んでくれる。
もちろん適当に土地を買って駐車場にしても収入につながるわけではない。
借りる人がいそうな場所を狙って駐車場にする方が良い。
私の経験からは、沢山の職員が務めるような公的機関の側にある土地は、まず人気のある駐車場になると思う。その他、お店系の入っているビルの付近も良いと思う。
人通りの多い土地であれば、駐車場運営会社が一括借り上げしてくれるところもあるだろうから、そういう会社に打診しても良いと思う。
土地購入は大きな金額が動き、その手数料の額も大きい。
買うのも難しいし、売るのも難しい。
リスクはそれなりにある。
でも売れないということはない。ミドルリスクだ。
利益についても、そんなに悪くない。
例えば土地を購入したが同じ額を銀行に預けていると年で0.001%だったかの利子しか当たらないが、現状、土地投資額を銀行に当てはめてみると、年おおよそ3.5%の利子を与えてくれている計算ができる。
銀行の利息の3500倍の価値だ。
ハイリターンという程ではないが、貰えてうれしいと感じるミドルリターンにはなっている。
そのミドルリターンで固定資産税なども払っているが、先の話で生活費の家賃にあげた数字がそれだ。
さて、話は戻るが、不労所得は少ないがある。
だが現状、一助としては使えるが、アーリーリタイアをした結果発生するだろう支出予測と不労所得分を差し引きしても、とてもじゃないが完全に不足する額にしかならない。
つまり私はアーリーリタイアをしても、その不足分をなんとか補わなくてはならないことになる。
やはり今のところ、アーリーリタイアしたとしても働かなくてはならないようだ。
老齢年金を当てにしても、現在65歳からだが、将来的に70歳に引き上げられるとも聞くし、当てにするには頼りない。
なかなか厳しい現実だ。
とはいえ、私がアーリーリタイアを目指す場合、やるべきことは見えてきた。
・とりあえず働いて老齢年金の支給に至るまでの間を賄える貯蓄を蓄える。
・とりあえず働いて土地を買って不労所得を増やす。
・アーリーリタイア生活できる必要最低限だけ稼げる仕事を見つける。
う~ん。
はたらきたくないでござる。
はたらきたくないでござる。
はたらきたくないでござる精神を一番叶えるのは、多分『不労所得を増やす』になるんだろうなぁ……はぁ、それには金が要るでござる。金を稼ぐには働かなくてはいけないでござる。
はたらきたくないがために はたらかなくてはならないでござる。
圧倒的二律背反。
はたらきたくないでござる。