再会
短めです。
馬車は、夜通し走り、小さな村に着いた。
そこで、待っていたのは、カミルだった。
「マリア、ユーリ、リリス!」
馬車から降りた三人に、泣きながら、勢いよく駆け寄って来た。
「カミル無事だったのね。よかった…」
マリアは、カミルを抱きしめた。
村で、アレクシオス達が、以前から宿を取っていた、建物の部屋へ、みんなで向かう。
部屋につくと、カミルが、マリアに話しだした。
緊張の糸が、切れたかのように、泣きながら、甘えたように、
「オレ、皆んなを連れて行った、馬車を追って、走ったんだ…
でも、でも転んで…
森で、道に迷って、食べ物も飲み物も無くて…
ふらふらで…
でも、通りかかった、アレクシオス様に、助けてもらったんだ。
それで、村まで、連れて帰って、もらったんだけど…
村は、真っ黒になってて…
焼け焦げだらけで…
行くところも、無くて…困って…
アレクシオス様が、奴隷として世話してくれて…
美味しい物も、食べさせてもらえるし、抱っこだってしてくれたんだ。
働くって言ったら、荷物持ちとか、荷物の番とか、お使いの仕事とか、話し相手の仕事をくれたんだ。
それから、それから、マリア達も助けてくれた。」
どうやら、アレクシオスには、カミルが、すごくお世話に、なったみたいだ。
泣いているのと、気持ちばかり焦って、幼い喋りのせいで、いまいち要領が、つかめない説明だが、何となく何が、あったかは、わかった。
カミルの言う、仕事って、見た感じ、荷物も軽い物ばかりだし、荷物番だって、危ないから、外に出さない為だろうし、話し相手なんて、逆に、遊び相手をしてくれていたんだろう…
そして、カミルの依頼で、私達を助けたのも、事実の様だ…。
しかし、治して欲しい方が居るのも、事実なのだろう…。あの窓から訪れた日の、会話を思い出しながら、そう思った。
「カミル、よく頑張ったね。えらかったよ。」
泣きながら、話していたカミルをギュッと抱きしめた。
ユーリやリリスも、カミルに抱きつく。
その2人も、まとめて抱きしめて、再開を喜んだ。
その後、そのまま泣き疲れたのと、安堵で、3人は寝てしまった。
小さな2人をベッドに、運び、ユーリを抱き上げようと、気合いを入れた。その時、
コンコンと、部屋に、遠慮がちにノックの音がした。
そして静かに、扉が開き、オーキッドが入って来た。
カミルが話している間に、男性3人は、別に部屋を取っていた。
オーキッドは、無言でユーリを抱き上げ、ベッドに寝かせた。布団をかけると、そのまま部屋を出て行こうとした。
「オーキッド様、あの…」
遠慮がちに、声をかければ、オーキッドは、そのまま立ち止まる。
「オーキッド様、ありがとうございました。」
「ベッドに運んだくらいだ、大した事はない。あと、様は、いらない。」
「いえ、あ。それもなのですが、私達を助ける為に自分を偽って、助けて下さった事です。」
「別に礼はいらない。私は、命令に、従い仕事をしただけだ。それに、私に、騙されたと落胆していただろう。だから、お互い様だから、それでいい。」
おやすみと、オーキッドは、無愛想に、部屋を出て行った。
部屋に、残されたゆみは、目が、点になっていた。
「え⁈
私が、裏切られた、気持ちになっていたのをなぜ知ってるの⁈」
『光魔法⁈
それとも、第六感的な感覚で⁈
人の気持ちがわかるの⁈
え⁈え⁈え⁈
えぇぇぇぇぇ〜⁈
じゃぁ、
じゃぁ、
じゃぁぁぁぁぁ、
思い起こしたらいけない気もするけど、私、レイに会った時何考えてた⁈
えっと、勉強嫌だなぁとか、苦手とか、昨日の事も忘れてて、悪いなぁとか、自分が情けないとか…
まあ、恥ずかしいけど、これは大丈夫。言わなくても、先生だったレイにはバレてる…
でも、嫌な気分も、レイに毎日会えて嬉しいとか、今日もかっこいい〜とか、で相殺されて、ウキウキ、ドキドキしていた。
いや!!!!!
そっちはが、バレてたのは、恥ずかし過ぎる!
ダメじゃん。ダメじゃん。
マリアなんだから、恋愛とか出来ないんだから、気持ちとか筒抜けとか、絶対ダメじゃーーーーん!』
『普通に、旦那が居た、ゆみの時ですら、なかなか、思ったことを恥ずかしくて、旦那に、言えなかったのに!!!!!どんな羞恥プレーだよ!!!!!』
顔面紅潮で、ジタバタなんとも、恥ずかしいこの状態をソファに、涙目な顔を埋めながら、バシバシソファーを叩いて、紛らわせるが、なかなか治ってはくれない。
『ソファーを叩きすぎて、手が痛い…』
そのままソファーに顔を埋めたまま、身悶えして、朝まで、声にならない声で、叫び、叩いていた…
扉の外で、警護の為に、椅子に座っていた、オーキッドは、扉の向こうから、漂う不思議な色の入り混じったオーラに、苦笑いし、自分が、ここで、警護しているのは、黙っておこうと思うのであった…
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