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歓迎会

あけましておめでとうございます。

だいぶ日が空いてしまって申し訳ないです。

リアル仕事が忙しく、決してドラクエビルダーズ2で遊んでた訳ではありません。

ここから又ちょろちょろ足していくので暇つぶし程度にお願いします。


(覚醒?何の事だ?今は兎に角この状況をどうにかしないとな。)


ガイは聞こえた見知らぬ単語に疑問を覚えながらも状況の改善を優先し辺りを見回す。

ナツキは苦悶の表情で蹲り、トリスはノールに劣勢、ウザンもニキータを庇ったのか相手のドレッドヘアーの獣人にやられてニキータが涙目でウザンの顔を抱きしめていた。

そのニキータとウザンを守るようにアリシアがウザンを倒した獣人にファイティングポーズを取っていた。

ガイはまず近くに居たナツキの前に立つ獣人女性へと一足飛びで近寄り、素早く背後を取ると脇から腕を入れ顔を掴み自分の腰を支点として地面に後頭部を叩きつけた。

ゆるふわ獣人女性は見えない相手から無抵抗のまま後頭部を地面に叩きつけられ昏倒する。


「すまんよ。」


獣人女性の耳元でそう呟いたガイは次の目標へと向けて飛ぶ。

自分の体が目的地まで飛べる事を教えてくれる。


「エレオラ!!何処に居やがる!クソッ!」


寸前まで目の前で対峙していた男獣人が倒されたゆるふわな女獣人を見て叫ぶ。

しかし既にガイは次の目標を捕らえ飛んでいた。

その相手は辺りを見回し警戒するウザンのアリシア達の前に立つドレッドヘアーの獣人だ。

音も無く相手の後ろへ降り立ち構える相手の軸足へ後ろから自分の尻尾を叩き込む。

今まで尻尾での攻撃なんてした事が無かったガイの体がそれを可能だと教えてくれガイは迷わず即座に行動した。

すると人間のローキックなど比にならないほどの衝撃が相手の体制を崩しその瞬間に投げ出された腕を掴み全体重を乗せ相手を倒し腕を極めそのまま折る。


「グゥウッ」


倒されくぐもった嫌な音が肩から聞こえた男はうめき声を上げる。

その光景を目の当たりにしノールが声を上げる。


「グラント!」


トリスと対峙していたノールが腕を折られ地に伏す男の名を呼びながらこちらへ駆けて来るのが見えたが、それよりも早く巨大な体が現れた。

男が現れたと同時にガイたちが降りてきた階段から轟音が響き、その音に皆が視線を向けると空中にはガイの姿があった。

それを見た1373期生達の大半が今起こった事を瞬時に理解した。『この現れた巨躯がガイを弾き飛ばした』のだと。

吹き飛ばされた瞬間にガイの着ていた光学迷彩は効力を失い、可視化が可能になった体は階段に背中を打ちつけ大きく跳ね上り、更に落下した際に地面に打ち付けられガイの意識は無くなっていた。


「「「ガイ!」」」


今起きた一瞬の出来事に動けないで居た敵味方の獣人達の時が動き出し、弾き飛ばされたガイを見て1373期生が叫びを上げる。

ニキータに顔を抱えられていたウザンも目を見開き叫びニキータを振り解いてガイを弾き飛ばした獣人へと殴りかかる。

だが、ウザンは横から抱え込まれるようにタックルを食らい倒れ伏した。


「何故止める!トリス!」


ウザンは止めた仲間へ非難の言葉を投げかける。

トリスはウザンに答える事無く立ち上がるとガイを倒した相手へ向いた。

ウザンが(いぶか)しげによく周りを見るとジャンと相手の獣人の間には壕斬が、ケイ達の間には疾駆がそれぞれ間に割り込んでいた。


「立会人って話じゃないんですか?クライツさん。」

「もう、いいだろう。」

「何がも・・・う?」


トリスが疑問を投げかけようとしたが、一気に周りの殺気が霧散して行くのを感じ辺りを伺う。

するとノールが頭を掻きながら溜息を吐いた。


「もう少し早く止めてくださいよクライツさん。本気を出しそうになりましたよ。」


ノールに苦言を呈されたクライツは聞いているのか聞いていないのか何も言わず立ったままだ。

そんなクライツを横目にノールが盛大に溜息を吐きトリスへと向き直る。


「さて、頭の良いお前達だ。既にある程度は判ってるだろう?」

「まさかとは思いますが、今までのは余興だった・・・という事ですか?」

「正解。それに付け足すとすれば毎年恒例の洗礼って意味でもあるんだがな。」

「そういう事・・・だったんですか・・・弱肉強食を肌で感じさせるって事ですか。」


鷹揚に頷くノールを見てトリスは全身を脱力させてその場に座り込んだ。

隣で聞いていたウザンもそのまま大の字に寝転がり空を見上げた。

緊迫した空気から解放された面々がその場で思い思いに休憩する中、クライツがその重い口を開いた。


「それにだ、あのままにしておく訳にはいかなかった。」


その言葉を聴き座り込んでいたトリスが首を傾げた。


「それはどういう意味ですか?」


クライツはそれ以上答えようとせず仁王立ちのままガイの方向を向いている。

それを見かねたノールが代わりに答える。


「あれは覚醒と言ってな、さっきの場合は消えて見えてなかっただろうから判らないと思うが、獣人がリミッターを外して完全な獣化している状態を指す言葉で、長時間その状態を続けると戻って来れなくなると言われている。

 実際、覚醒状態を続けると体の獣化している範囲が広がって行く事は確認されている。」

「なっ・・・!そんな事は大臣から聞かされ居ませんよ!?」

「そりゃそうだ、それを伝えるのもオレ達の役目だからな。」

「役目?」

「そうだ、所謂『教育係』というやつだ。お前達1373期生は俺達1363期生が相談役に入る。このニライカナイで生きる術を教える為にな。」


ノールはトリスとのやり取りを全員が聞こえるように話す。

そして、ガイの方を向き続ける。


「そういう事だからお前も死んだ振りはもうしなくてもいいぞ?」


その言葉に1373期生は一斉にガイの方へと視線を向ける。


「やっぱりバレてたか。爆王がちっとも油断してくれないからそうじゃないかと思ってたけどさ・・・」

「バッカ、その位は俺らにもバレバレだっつーの。最初ギフトを使われた時はちょいと焦ったけどな。」

「チッ・・・」


ガイはそのまま大の字に寝転がると息を吸い込み叫んだ。


「クソッ!」


その行動を見て1373期生の面々が苦笑する。

そんなガイの元へ脇腹を押さえながらナツキが近づいていった。


「ガイ、相手は爆王よ?今の貴方じゃどうにもならないわ。そうやって油断を誘って居てもね。」


その言葉に1363期生の面々が目を丸くして、ガイに腕を折られたグラントがどうやって治したのか腕を回しながら大笑いを始めた。


「グッハッハハ!そいつは俺達ではなくクライツさんを狙っていたのか!ノールよ、俺達では食い甲斐が無いらしいぞ?」


その言葉にノールは更に溜息をつき、1373期生も呆れた表情を浮かべている。


「お前ねえ、爆王は宇宙(ソラ)に最も近い男なんだぞ?俺らみたいなペーペーがどうやったって現段階では勝てないんだよ。」

「ソラ?」


その言葉に一番最初に反応したのはいつもキョドっているベッツだ。

興味深そうに目を輝かせながらノールに詰め寄った。


「ん?ああ、その辺も教えなきゃならないな。とりあえず、こんな所じゃアレだし、お前達の拠点へ案内するか。」


ノールはそう言って1363期生の面々を集める。

それに習いトリスも1373期生の面々を集め整列させる。

そして、爆王、疾駆、壕斬の3人と共に歩き出した。


戦闘時は気に出来なかった周りの景色を1373期生はキョロキョロと見回す。

周りの木々より少し上に有った舞台から地面までの数十(メートル)は自動のエスカレーターになっており

ドーム内との文明差に1373期生が驚き、更に下に降りると完全舗装された道路が木々の間を走っていた。

そこには無人の自動車が等間隔で幾台も走っており、これまた1373期生を驚かせた。

エスカレーターを降りきったその場所で立ち尽くす1373期生を他所に爆王、疾駆、壕斬の3人とは別れる事になっており、慌てて1373期生は並び3人にお礼を述べる。


「「「ありがとうございました!」」」


3人はそれぞれ鷹揚に頷き別々の車に乗り込み去っていった。

3人の車を見送るとその後に少し大きめの車が2台同じ場所へ入って来た。

6人乗り位のその車は着くと同時に変形し始める。

更に2台がくっ付き、あっという間に24人全員が乗り込める物へと変形合体した。


「うぉぉおお!」

「変形合体!?」

「アニメでしか見た事ないよ!」

「!!!」


1373期生の男共がそれぞれ声を上げる。武人であるジャンですら片方の眉毛が上がってかなり興奮している。

男共の興奮を受け1363期生のノールが得意げに話す。


「そうだろそうだろ。俺達も最初見た時はかなり興奮したぞ。これはロマンだからな!」


ちなみに両方の女性陣は後ろから冷たい視線を送っていた。

熱く語るノールたち男共を他所にそそくさと乗り込んで行く。

そして女性陣が全員乗り込んでも乗って来ない男共の元へナツキが冷たい目を向け一言。


「乗れ。」

「「「あ、はい。」」」


ノール達1363期生の男共も合わせて直立不動の姿勢で返事をし乗り込んだ。

そしてノールが小声でガイへ耳打ちをする。


「お前の女コエーな!尻に敷かれるんじゃね?」

「え?勿論、絶対服従っすよ?」

「・・・あっそ。」


2台が合体しバスの様になった車の内装はリビングのように中央にテーブルが有り周りを椅子が並べられているものだった。

男共が乗り込み皆が座ったと同時にバスは扉が閉まり静かに動き出した。

エンジン音やら駆動音が一切せず室内は隣合う者達の会話の音だけが支配していた。

その小波のような会話の音を破るかのように一番前のお誕生日席に座るノールが手を叩く。


「さて、1373期生諸君、改めてニライカナイへようこそ。

 これから獣人社会の生活をしていく訳だが、大臣からある程度話を聞いてるとは思うが2,3教えられていない事を言っておく。

 まず1つ、獣人同士の私闘は手順を踏んだ上以外で行えない。

 2つ、獣人ランクが10以上離れている相手へとの私闘は出来ない。

 3つ、基本的に獣人ランクが上の者の意見が強い。と、この3つだ。」

「ん?さっきの喧嘩は1つ目に違反してんじゃねーのか?」


ノールが言い終わると同時にウザンが食いつくがノールは小さく笑い答える。


「さっきの歓迎会(・・・)は喧嘩ですらない。さっきも少し言ったが俺達は本気を出せない設定なんだ。」

「本気だとどうなってたんだ?」

「あの半分の時間で終わってたよ。あの時の俺達の力は50%までと決められていたからな。」

「・・・そんなに差があるのかよ。」


ウザンは悔しそうに天を仰ぐ。

他の者達も真剣にその話を聞き入るが、フォルが口を挟む。


「さっきの事に関しては判ったけど、それじゃあ先輩さん達が最初に言っていた遺伝子の取得する為には一々手順を踏んで私闘しないといけないんさね?」

「それもあるが、そんな事じゃん何千という情報量を得る為には膨大な時間が掛かる。

 これは後で言おうと思っていた事だが、10年に1度戦争がある。国家間の大戦争だ。そこで活躍できれば一度に何百という情報量を手に入れる事が出来る。というわけだ。」


戦争という言葉に1373期生の面々は理解が追いつかない。

ドーム内は喧嘩や暴動とは無縁になるよう管理されており、戦争なんて御伽噺でしか知らないものだ。

そんな彼らに戦争とはをノールは語った。

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