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ト マンナヨ  作者: naomitiara-tica
7/13

私の涙

この作品は、全て妄想であり、創作です。


7.

こぼれおちるような大きな目、テーブルに向かって後ろ足二本でたって、何かもらえると期待いっぱいの表情

ふさふさの茶色の長い耳・・・小さなピンクのリボンをちょこんと付けている・・・・

私のお気に入りのひとつだった愛犬のポーズ。

2年前に突然亡くなったその子は絵の中から今にも私にクーンクーンとおねだりしそうに見えた。


『千佳、気に入ってくれたかな?千佳の誕生日に間に合うようにけっこう頑張って描いたよ?』

そっか、この前の飲み会の時に私は酔って、愛犬との思い出をセンチになって語り画像を2人に見せた。たぶん、ムギョルがタンに画像でも送ったのだろう。


タンの東京のアトリエは、なかなか素敵だった。つまり画廊?いくつかの絵画が置いてあって隣はなんともいえず趣のあるティールームになっていた。

基本、お父さんがソウルと日本を行き来しているようだが海外での買いつけの仕事も多く、長く空けるような時はタンに任せているとの事だった。


『じゃ、タンは将来ソウルと日本どっちに住むの?』


『う~ん。父の会社を継ぐようだから、今まで通りソウルと日本行ったり来たり?あっ、スイスにもアトリエ出すかもなんだ。あとはバイヤーもやるから、語学勉強?見た目より忙しいんだよ、これでも』


並んだら美女も真っ青のイケメン、予想してたけど実家もお金持ち、そのうえ英語、日本語、韓国語、(フランス語は勉強中だそうだ)を操るバイリンガー。

おまけにあんなムギョルみたいな素敵な友達、そして1回しか会ったことのない私に絵まで描いてくれる優しい人。

こ~んなに完璧な人、いるんだろうか?私は内心、ちょっと嫉妬してしまった。


ムギョルは買い物をしてから来るとかで、まだ現れてなかった。


『ねえ、この前飲んだときさ、ムギョルに僕のことで何か言われたでしょ?』


私はドギマギしながらとぼけた。

『え?なんだっけ?』


『いいんだ、ムギョルっていつもそうなんだ。僕が好みそうな美人に出会うと必ず僕に紹介して、僕の反応見るんだ。いつまでも僕の事、子供扱いなんだ』


私はさすがに、タンを好きになるなと言われたことは言えなかったが、タンの言った僕の好きそうな~という言葉にのみ反応してまたドキドキしてしまった。

気まずくなりそうで私はアトリエにおいてあったギターを見つけて、何か弾いて欲しいと頼んだ。


『自己流だよ・・あっ、そうだ、千佳、もしかしてこの曲知ってるんじゃない?』


タンが弾いて韓国語で歌ってくれたのは、何年か前に韓国で大人気になったラブコメディーの主題曲の何曲かで、日本でもそのドラマはリメイクされていた。

私はあんまり韓国ドラマに詳しくないのだが、そのドラマは友達に勧められてけっこう気に入っていたので曲も良く覚えていた。

決して、しっとりした曲ではなく、どちらかと言うと楽しい気分になる曲のメドレーだった。


しかし私は聞きながら、一緒にリズムを取りながらいつのまにかはらはらと泣いていた。

涙の正体は自分でもさっぱりわからなかった。


超絶美男子が自分に絵を描いてくれたり歌ってくれたから?毎日の仕事で異常にストレスがたまっていて彼氏ともうまくいかなくなってしまったから?出会ったばかりのこの2人が優しいから?2人が外国人だから?そしてそして、2人のどっちにも叶わぬ恋をしてしまったから?


そこにムギョルが入って来た。


あれあれ、タンの前で泣いてしまった千佳・・・忙しいですね?

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