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ト マンナヨ  作者: naomitiara-tica
6/13

編ぐるみ

この作品は、全て妄想であり、創作です。


6.

耳が半分取れかかった犬の編ぐるみ・・・・なんだかちょっと汚れてる?


その小汚い犬の編ぐるみがムギョルのロッカーからポロっと落ちたのは、私達が差し入れのシュークリームをあんぐりかぶりついているときだった。遅い午後の休憩時間。世の中には稀有のお客様がいらっしゃって、私達スタッフに甘味処のを差し入れして下さる方がたま~にいらっしゃる。ファン言う名目で。明子さんも定期的に珍しいドラ焼きとかちょっと高級なシュークリームとか下さるが、ムギョルが来てからはファンの叔母様たちのおかげで、甘いものに事欠かなくなった。立ちっぱなし、接客っぱなし、微笑みっぱなし、苦情のお客様へおわびしっぱなし・・・・の私達にとってこの甘いものの差し入れは本当に有難いのだ。それこそマジに疲れるている時のオヤツは太る心配は二の次だ。


『あれ?かわいぃ~。これどうしたの?』私が思わず注目したのは、ムギョルのようなイケメンが汚い編ぐるみとギャップが大きかったのもあるが、その犬の種類が2年前に亡くなった我が家の愛犬と同じだったからだ。


『あ~。良く出来てるでしょ。うちの姉が作ってくれたんだ。寂しくなったらこれ抱っこしなさいって』


『うち、15歳で死んじゃったんだ~。手作りで素敵だね・・・うちにいた子とそっくりだよぉ』


『そう?だいぶ汚れてるけど。そんなに気に入ったんなら僕が飽きたら、これ千佳にあげるよ!』


いや、随分失礼な言い方だなっと思ったが、その後私達はすぐに呼び出しがあって、その話はそれきりになってしまったが、私はまた内心ドキドキした。


あの微妙な雰囲気になった3人の飲み会から、私は妙にムギョルを意識するようになってしまった。それまでは彼の長い指を見て妄想するぐらいだったのだが、タンを好きになっちゃ駄目と言われたことが、自分を好きになれと言ってる様に取れなくも無く・・・私はシフトを組むのも任されているのだが、ムギョルもだいぶ仕事に慣れて来たから、みんなとそれぞれに組んでやってみましょうね?と言う名目で上手にムギョルから逃げていた。


今日、久しぶりにシフトが一緒だった。休憩中、ムギョルがさりげなく言ってきた。

『千佳、来月お誕生日でしょ?タンの東京のアトリエに遊びに行かない?そのあと3人で千佳のパーティしよう!あっ、千佳の彼に怒られなかったらだけど・・・』


私はまたタンに会えると思い、内心小躍りした。

自分の彼氏とは最近全然会ってないから、まあ誕生日の頃には食事ぐらい誘われるかもだけど、会ったらそのままお別れしちゃうのかな、今の私だと・・・


どうにも自分の気持ちが良く分析できなかった。

ムギョルに惹かれているのは間違い無い。ムギョルの事を考えると体の芯が痺れた。でもタンの優しい眼差しと私に向けた刺す様な視線そして、あの完璧な容姿を思い出すとまるでこの世の苦しみから全て解放されたような幸せな気持ちになるのだった。


絶対に2人と結ばれることは無いって、わかってるんだけどね?


2人を好きになって悩み出した千佳・・・本当に苦しいのはまだまだこれからだよ~。

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