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ト マンナヨ  作者: naomitiara-tica
2/13

ムギョルさんがやって来た

この作品は、全て妄想であり、創作です。

2.

鳴り物入りでやって来たソウル支社の研修生、ムギョルさん、28歳は、果たして噂通り大変優秀だった。


危惧していた日本語も、日本の今時の中高生より、もしかしたら彼の方が正解に話せるのではないか?と言うぐらいきちんとしていた。

まぁ、ありがとごじゃいます、ぽくは韓国から研修に来てます、ぐらいはお愛嬌と言うものだろう。


身長180センチ以上、小顔に涼しげな目元、学生のような黒縁のメガネ、ブランドスーツをシャなりと着こなした彼は当然、とんでも無く目立った。

私たちのいるフロアは大部分があらゆるブランドの化粧品が入っており、スタッフ、お客様ともに女性がほとんどではあるが、彼を一目見たさにフロアは常にざわめいていた。


さて私たち美容部員は、お笑いタレントさんに良く揶揄されるように満面の笑顔を振りまいて化粧品を売っているだけでは無い。新規のお客様を百貨店内で広げると言う、なかなかしんどい仕事がある。エスカレーターなどの前でサンプルをお配りしたりして、肌やメイクのお悩みをお聞きして、自社製品をお試し頂くのだ。


優雅にお買い物に来たブランド慣れしたマダム達の関心を引くのは至難の技、時には他社のスタッフさん達とデットヒートを繰り広げる時もある。もちろん私達もこれまた軽やかにお客様に笑いかけながら。当然これは必ず新人が、やることであり、ムギョルさんもやって見る事になった。が、結果は杞憂だった。彼がすみません、と優しげに話しかけただけで、足を止めない女性客はほぼ皆無だった。なんかのセールスだろうと、おっかなびっくりな反面、彼にとにかく話かけられたいのが、脇で監修していた私にも見て取れた。特に一見勝気そうな年配の女性は必ず立ち止まった。


ムギョルさん成果で、うちの化粧品売り場は大混雑となり、嬉しい悲鳴が上がった。私はその日お昼をとったのは夕方5時。ムギョルさんも懸命に慣れない日本語で接客している姿は微笑ましかった。


ムギョルさんが、一度ハンカチを出して、全く汗をかいたようには見えない小さな顔を拭いた事があった。ハンカチはある有名ブランドの犬の縁どりがある珍しいデザインだった。ふーん?犬好きなのか?と一瞬思ったがそれより彼のハンカチを押さえた時の長い指に私はドギマギした。昔ハンカチ王子なんて言葉あったよな?なんて思いながらとにかく、目の前でこんなに美しくハンカチを操る男性を見たのは初めての事だった。


さて、そんなこんなでひと月が過ぎ、秋も本番、私はムギョルさんと2人でメークコンテストをやる事になった。しかも百貨店入り口で。つまり冬のボーナス前の秋のキャンペーンの客寄せパンダだ。

ムギョルに惹かれ始めた私、千佳。

そろそろもう1人のイケメンを登場させないとね?

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