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あのときの後悔を、どれだけ時間が経ったあとも、ふと思い出す。
自分が無くしてしまったものはなんだろう。
自分が失ったものはなんだろう。
若かったあのときに意味などもたず、捨てることばかりしてきた。そのときはそんなものが大切にこうして思い出すものになることなんて考えもしなかった。
たぶん若かったのだ。
十代だ。
恋をして、喧嘩をして、何か一つに打ちこんで。
それが青春だというなら、自分は確かにあのとき青春というものをしていた。ただあのときは愚かで、子供すぎて、必死すぎて、それらをただ傷つけるしかできなかった。不器用だったといえばいいのかもしれないし、そうする方法以外知らなかったのだと言えば言い訳として許されるのだろうか?
あのとき自分は確かに大切なものがあった。
それを自ら叩き壊した。
大切なもののために、大切なものを踏みつけた。そしてなにもかも無くしてしまって、はじめて自分が孤独で、馬鹿だということを悟った。
片桐祐の信念
クシナダの恋
ヤマトの友情
それらはすべて何かに狂わされたように失われた。誰のせいだったのか、誰かが悪かったのか。それとも元々は三人でいること事態が間違いだったのかもしれない。三人でいるから、互いに弱すぎて、過ちを犯してしまった。
片桐祐の失敗
クシナダの失恋
ヤマトの裏切り
あのとき、あの決意を、後悔している。それでも、血塗られたあの日々を今でも大切に思っている。
なにもかも失ったからこそ、確かにあの時、自分はとても幸せだったと言えるのだ。




