美女アプリ
朝の満員電車ほど嫌なものはない
運良く座席に座れてはいるが、この人と人の密着感が耐え難いと思うのは俺だけだろうか。
ましてや他人とこんな密着することなんてないだろう。
こんなにも近くにいるのに心の距離が果てしなく遠く感じるのが都会の不思議な所だ。
「次は○×駅。○×駅。」
いつもの聞き慣れた○×駅のアナウンス
この人ごみをかき分けこの駅で降りねばならない。
いつもならこのまま改札を目指す所だが、一つ早い電車できた俺には珈琲を買ってブレイクタイムする余裕がある
「はぁ....」
自動販売機で珈琲を買い、近くのホームのベンチに力なく座った
最初の一口を皮切りに珈琲を全部飲み干した
「よし、いくか」
誰も聞いていないだろう独り言を言い、駅の改札に向かった
改札を通るとあるものがないのに気づいた
「あれ?携帯がない!」
確実に落としたであろうと思うほど、スーツの右ポケットは軽かった。
「すいません。携帯落としてしまったのですが...」
思わず駅の受付の駅員さんに問いかけた
「どこで落としたか心あたりありますか?」
心あたりと言われたら、ホームでのブレイクタイム。あの時ベンチに腰掛けたあの瞬間だろう。
「駅のホームで落としたとおもうのですが...」
「少々お待ちください」
駅員は機器でやり取りをし始めた頃、改札の受付に向かって歩いてくる眼鏡をかけたスーツの男が近づいてきた
「すいません。これホームに落ちてましたよ」
「それ俺の携帯!」
駅員に向かってしゃべる男の手には見覚えのあるスマートフォン、確実に自分のものと認識すると声を荒げた
「あなたのですか。次は落とさないように気をつけてくださいね」
そう言って改札を通るとスーツの男は立ち去っていった
この都会にも心優しい人がいるものだ
「もう大丈夫ですか」
「あ。はい、ありがとうございました」
そう言って駅を立ち去り会社に向かった
その日の昼休み。いつも通りコンビニで買った惣菜パンにお茶。「ハジメ!一緒に飯でもどうだ」と言ってくれるような先輩もいない。
1人さみしく休憩室で昼食を食べるしかない
「はぁ...」
思わずこぼれるため息。ハジメは何気なく携帯を取り出した。
「ん??こんなのダウンロードしたか?」
美女アプリ
明らかに見覚えのないアイコン
「消すか....」
不信に思い削除しようとしたが、間違えてそのアイコンをタップしてしまった。
アプリが起動すると文字が表示された。
このアプリは美女との出会いとプランニングをサポートする優良アプリです。このアプリで知り合った女性とのトラブルは個人の自己責任でお願いいたします。
それに続き何行にも続く利用規約が羅列されていた。
そして最後に同意のボタンがあった。
「詐欺アプリか?まぁ怪しくなったら消せばいいか」
ハジメは不用意に利用規約も読まずに同意をタップした
美女アプリ
そのタイトルから始まり画面をタップの表示が出ていた。それをタップするとダウンロード画面に進んだ。
美女をダウンロードしますか?
はい。 いいえ。
「ダウンロード?どういう意味だ?」
画面に表示が出るとハジメは はい。をタップした。
Now loading
画面が切り替わると携帯の時計で昼休みが終わるのに気づいた
「マズイ。もうこんな時間だ」
ハジメは携帯をしまうと仕事に戻った。
仕事も終わり自宅につくと、ハジメは携帯を取り出した。
「さっきのアプリどうなったかな」
美女アプリを開くとダウンロード完了と表示されていた。
ハジメは画面をタップした。
アリサ 22歳
「アリサ 22歳。同い年か...なんか出会い系臭いな」
疑いながらもアリサのアイコンをタップした。
○月▷日(日)××図書館 1:00
すると画面に日時と場所が表示された