○日野宮○ 火水の燃え盛る正午 5
わたしは二人をじっと見る。
本当かな?
自分の体の中をスキャンするみたいに観察する。
わたしの中の火水性質はどうなっている?
落ち着いている。
でも、あとほんの少し、何かが足りない。
何が足りないんだろう?
火水性質で今のわたしたちを補うもの。
今のわたしたちが激しく危機に陥ったきっかけはなんだったのか?
わたしと角吉の言い争い。
そうだね、これだ。苛烈な競争心で二人ともぎらぎらしていた。
で、太陽もぎらぎらしちゃった。そういうわけ。
わたしは深呼吸する。おちつけ、落ち着くのだ、日野宮コノミ。
角吉に向かい合う。
「ごめんね」
「なにが?」角吉が怪訝そうな顔をする。「いきなりなんすか」
「さっきはなんか偉そうだった。『なんか案ない?』みたいな。悪かったね。そんな質問するなら、おまえが案出してからだろって話だったね」
わたしは頭を下げる。
「ごめん」
すうっと涼しくなる。
見上げると太陽が手のひら大になっている。
謝って、怒りの火を治めてみたけれど、でも本気度が足りなかったのか。それとも3人が3人それぞれで感情の火を治めないといけないのかも。
「張り合うなんて愚かだったな」
わたしはつぶやいた。
本当にそうだ。
わたしはちょっと愚かすぎた。
空風体質の試験の解決の早さをみて、焦りすぎた。もっと現状を分析すべきだった。
急いてはことを損じる、は本当のことだ。
「まあ、ゆっくり解決しよう。時間はまだある」
わたしは笑顔でそういった。
角吉はあっけにとられ、ジーローはひよこ口で不適な笑顔になっている。
そうだ、まだ時間はあるのだ。あきらめたりなんかしない。それでも大丈夫だ。
わたしはわたしをあきらめない。
それだけ。
まあ、結果がでるまでゆっくり構えようじゃないか。
覚悟は決まった。イレギュラーはやらない。わたしの王道で勝負するのだ。
それが一番いい。
わたしは何をおびえていたのかな。
こんな場所で一番にならなきゃ、結果を出さなきゃ、どうにもならないと思い詰めていた。
でも違うだろう。
結果を出すなら、一番自分が認められていところ。認められたい人から攻略する。
順番を間違えて落ち込んでいたらば世話ない。
自分の一番認められたいところへいくためにも、いったんこの試験は終わりにしないとね。
ただ、それだけのことなんだよ。うん。それだけ。
これから2か月いそがしくなるので
いったんおしまい
読んでくださったみなさますべてに
ありがとうございます!
です。
余裕があれば
再開するかもしれないです




