表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
旧魔王坂高校 魔術研究部!  作者: 四月一日ワタヌキ
3 まじゅけん部のオリエンテーション!
23/36

○日野宮○ 新入生顔合わせ! 4

「なにやってんだよ、角吉」

 林田君が駆け寄り、角吉の右手をとる。


 青い煙をくすぶらせる右手は赤く腫れ上がっていた。

「メイちゃん、塗り薬」

 メイちゃんはレースのエプロンポケットからいくつかの小瓶を出すと乳鉢で混ぜ合わせる。

「はい! 電撃系火傷特効薬なのです」

 乳鉢を掲げて決め台詞を叫んだ後、素早く角吉の右手に塗り包帯を巻いた。


 口にえびせんを詰め込みながら月野くんが振り向く。

「ん? どうしたのあの子」

 わたしは腕を組む。

「いやあ、自業自得ってやつ?」

「ふーん。でも痛そうだね。かわいそー」

 可哀想と言いながらもえびせんを食べる手を止めない。


「角吉、おまえバカなんじゃないのか」

 林田君が言う。

「儂が思うにバカじゃなかったらこんな失敗しない。惨め」

 和服黒子のジーローが懐手をしながら笑いをかみ殺す。「惨め惨め」


 角吉は包帯を巻かれた自分の手を見る。

「ちゃんとスイッチを押したのに、あいつ反応しなかった。二回目もそうだよ。三回目押そうとしたところでこのざまよ」

「ざまあない。くっくっくっく」

 ジーローが笑う。

「ねえ、メイちゃん。儂が今、このざまとざまあないを・・・」

「ちょっと黙ってろジーロー」


 メイちゃんは縞々ニーソックスのひざを突いて角吉の手を握りしめる。ふりふりのエプロンがふわっと広がる。

「早く良くなりますように祈りますです。でもね」

 メイちゃんの目つきが厳しくなる。

「こんなイタズラは今回限りにしてくださいですよ」

 角吉は頬を膨らませてふてくされようとしたけれど、メイちゃんのこめかみに青筋が立っているのを見て「わかったわかった」と言う。


「返事は一回」 

 拳を握りしめたジーローが言う。


「ジーローは黙ってろ」

 メイちゃんは素早く裏拳をかます。ジーローは鼻を押さえて悶絶する。

「みんな、仲間だよ? ね?」

「はいはい、仲間ですー」

 角吉は唇をとがらせ横を向く。

「心配かけてごめん」

 メイちゃんが声をあげて角吉に飛びついた。メイドさんとゴスっこの抱擁は、面白い絵面だ。


「一年の新入生たち、仲がいいんですね」

 キノコがキノコの山を両手の指の間に挟んで一個づつ平らげていく。

「実に麗しい光景ですよ」

 ポッキーをトドの口ひげみたいに口から生やしながら丸様がうなずく。

「うん。ちょっとバカみたいだったけどね!」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ