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旧魔王坂高校 魔術研究部!  作者: 四月一日ワタヌキ
3 まじゅけん部のオリエンテーション!
20/36

○日野宮○ 新入生顔合わせ! 1

とうとう一年生たちも登場です。

 二年梅組の教室はグラウンドに面している。で、西日が入る。


 緑のジャージを着たちいさい女の子が薄黄緑のカーテンを引いていた。

「あのー、ここで魔術研究部の活動をやるんですよね?」

 わたしは頭だけ突っ込んで尋ねた。


 小さい女の子は満面の笑みになってうなづいた。二つに結わえた髪がぴこぴこ揺れる。


「おう! そうだぜ。遠慮せず入れよ」

 と言いながらわたしの手を掴んでぐいぐい引っ張る。

「あ、はい」


 ジャージが緑ってことは、この小さな子は同学年なのか? 一四〇センチあるの? ってくらい小さいし声も高い。


「今朝会ったよな。転入生で新入部員か。かー、嬉しいねえ」


 わたしは?で頭がいっぱいになる。

 今朝会った? こんなちびっ子高校生なんて目立つ子、忘れるはずないと思うんだけど。


「電柱に激突しても考えごと継続中だったけど。なんだ、昨日の新歓のことで悩んでいたか?」

「いや、考えていたのは新歓のことじゃないんですけど」


 教室のドアが大きな音を立てて開く。雪男が両手に巨大なビニール袋をぶら下げている。

「あー。なんだよ井澤屋遠いよ。二リットルジュース五本は重いんだよなあ」

「きゃーん。おっかえりなさーい」

 袖の長い白いセーターをきた舌足らずな女子が駆け寄る。


 雪男の荷物を持ってあげるのかと思ったけれど、別にそんなことはせず頼んだお菓子があったかどうか確かめている。

「イエティ、ふんわりキッスなかったのぅ?」

 グロスでてらてらの唇をとがらせつつ、ビニール袋をかき回す。

「リンリンないんだってさ。井澤屋には置いてないって」

 リンリンはえーっと声をあげる。


 小さい女の子は二人に駆け寄る。

「おい、リンリン、イエティ。新入部員サマが来てるんだぜ」

 二人共、今更わたしに気づいたのか、驚いたみたいに肩を跳ね上げる。


 雪男イエティはのっそり頭を下げ、リンリンは可愛らしく首を傾げる。

「こんにちは! お菓子とか用意するまで、そこの席に座っておいてね」

 リンリンはイチゴのシャンプーの匂いがした。

 雪男はおおざっぱな顔の作りのせいか、頭の回転までおおざっぱに見える。今ももくもくと机を並べなおしている。


 わたしは勧められるままにはじっこに並べられた椅子に座わろうとした。

「ぅわあ! びっくりした!」


 先客がだれもいないと思っていたのにツノみたいなお団子頭が座っていた。奥には眼鏡の男の子も本から顔も上げずに座っていた。


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