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旧魔王坂高校 魔術研究部!  作者: 四月一日ワタヌキ
2 だから、一体ここはどこなんだ?
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●月野● ぼくはヒーローかもしれない。4

「早く言ってよー」

 ぼくは言う。

「今、注意してあげました。身を守ることも覚えてください」

「はい」

 腰に手を当て堂々と宣言するキノコちゃんには逆らえない。


「しっかしよー、キノコがまじゅけん部とはな、一年の頃には考えられなかったぜ」

  玄葉ちゃんはほっぺたを膨らませてみせる。

 キノコちゃんは真顔のままうなずいた。

「そうですが、人は変わるんですよくーちゃん。今年の私は部活動熱心な女子です」

 鳳凰のユムユムを撫でる。ユムユムはキノコちゃんに頭をこすり付け、気持ちよさそうな声を出す。

 ちらっとキノコちゃんのスカートがずれる。

 ぼくは鷹のような目になった。シンプルなストライプ。そっかー。


「だって変ですよ。高校生でも魔法事故を起こして怪我をしたり、呪で病になるのに、全部『きのせい』とか『免疫弱い』せいにされるんですよ」


「まーな」

 玄葉ちゃんはうなずいた。

「大戦からこっち、民間の魔術がどんなにバカにされても廃れないのは『ある』からだよな」

「そうですね。私はやることがあるんです」


 キノコちゃんはそういうとパ-キングスペースの鳳凰の首をひとなでして、校舎へ向かって歩いて行った。


「じゃ、アタシそろそろ行かないとまじで遅刻しちゃうな」

 マイクロミニスカートをひらひらさせ、ツインテールをふさふさせながら玄葉ちゃんも歩いていく。


「え? ちょぼく置いてきぼり?」

 玄葉キックのダメージで起き上がれないぼくは1時限目遅刻決定みたいだ。

 心配した魚頭馬フィッシュヘッドが磯臭い顔を近づける。

 ありがとう、でもすこし迷惑だよ。



「そうじゃな、坊主。置いてきぼりだ。あちらの世界でもこちらの世界でも」

 年老いた賢者みたいな声がした。

 首だけを巡らせて、声の主を探す。


 でも、人間はだれもいないよ。


「あれ? だれもいないけど声がする・・・」

 鳥肌が立ってきた。

 早く起き上がらなきゃ。


「わしじゃ。目の前にいるであろうが」

 鳳凰のユムユムが喋っていた。

 キノコちゃん、やっぱ名前は不釣り合いだよ。


「世界に属さず、約束破りの者よ、お前はなにとして覚えられたい?」


 

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