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短編集

「作品」という名の子供の出産

作者: 逢坂巡
掲載日:2025/11/04

私たちは子供を生む。


苦しみながら、あれこれ考えて、

ああでもない、こうでもないと言いながら。


言葉を削り、文を重ね、

自分の中に眠る何かを、少しずつ形にしていく。


頭をひねり出して、子供を生む。

産みの苦しみとは、きっとこのことだ。


痛みと歓びがひとつになったとき、

ようやく、ひとつの「命」が息をする。


そして、生まれた子を前にして、私たちは戸惑う。

この子は本当に、私の中から生まれたのだろうか。


どこかで見たような顔をして、

それでいて、ほかの誰の作品でもない。


不器用で、弱々しくて、

それでも確かに、この手のひらで脈打っている。


愛しさと、恥ずかしさと、少しの後悔が胸に混ざる。


生まれてきた子供を見て、

「そうだ、これを書きたかったのだ」と思う。


いや、違う。

「これじゃまだ全然足りない」とも思う。


けれどその矛盾こそが、

生きることと創ることの、どちらにも通じている。

未完成なままでしか、私たちは子供を愛せない。


泣き声のように言葉を放ち、

笑い声のようにページをめくる。


誰かの手に渡り、誰かの心に棲みつき、

もう、私の手の届かない場所へ歩き出す。


それでも私は祈る。


この子が、誰かの夜を少しでも照らせますように。

この子が、私を知らない誰かの心を、

ほんの少しでも、やさしく撫でられますように。


たとえ忘れられても構わない。

けれど、どこかの誰かの胸の奥で、

ほんの一瞬でも灯のように輝いてくれたなら、

それだけで、生まれてきた意味がある。


暗い世にあって、星のように輝きますように。


そしてまた、いつか私の中に、

新しい命の鼓動が芽吹きますように。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

作品の感想を、★〜★★★★★で評価していただけると嬉しいです。

今後の創作の励みにさせていただきます。

どうぞよろしくお願いいたします。

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