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第64話「勇聖教会・七星」

 アドナロ王城。この時、王座の間にアドナロ国王は座っていなかった。王座の前に置かれた円卓に座る5人に首を垂れていた。

「どうか、我がアドナロ王国を御守りください。勇聖教会『七星』の皆々様…。」

国王アドナロ・オーギュスタンが願いを口にする。王という立場だが、戦争において『七星』に頼らざるを得なかった。アドナロ王国は芸術・美術に秀でた国。戦闘に関しては専門外だった。


「ハッ。もう5人だけどなァ、ハッハッハ。」

鼻で笑い飛ばすのは、七星五番『神風のセザール・シュロン』。

「この前死にかけた人が何笑ってるんですか。」

呆れながら言う白髪の少年。七星三番『法剣のマリユス・リコール』。彼は齢12にして、七星となった麒麟児。彼の剣術は人族の中でも勇者を除けば最高。白色のコートに身を包み、模範的な剣士の姿をしている。


「うるせェ、クソガキ。」

「はぁー。ぼく、セザールさん嫌いです。」

「気が合うなァ、俺様もテメエが大嫌いだぜェ。」

マリユスに七星序列を落とされたセザールは彼を嫌っていた。対してマリユスは、逆恨みをして悪態をつくセザールが嫌いだった。2人がいがみ合い、睨み合う。


「カッカッカ。若いモンらは元気でいいなあ!」

快活な低い声で笑う老人。七星四番、『鳴動のドミニク・オハナ』。年齢から想像できない筋骨隆々とした肉体の上に、土色のコートをそのまま着て前を大きく開けている。彼の黄色魔法は大地の形を変えると言われている。


「…。」

騒ぐ3人を黙視する赤髪の女。七星二番『炎天のクロエ・クローズ』。兜こそ被っていないが、戦闘時ではない今でも鋼鉄の甲冑を着込んでいる。彼女の赤色魔法は夜明けを訪れさせると言われている。


「我ら『七星』、必ずこの国も魔族の手から御守りしよう。キリア神の御加護が我らを勝利に導く。」

アドナロ国王の言葉に最大の自信を持って答える金髪の男。七星一番『神力のラファエル・ラファン』。聖父である彼の魔法は説明がつかない。世に存在するモノを自在に操り、全てを矛と盾として扱う。勇者と聖女を除き、人族で最も強いのは彼だった。


「頼もしい限りでございます。」

国王が再度頭を下げる。

「…しちせいのきし様たち、わたしのお守りを持って行ってください。」

王座の間の外から覗いていたアドナロ王国の姫、『アドナロ・リュシエンヌ』が手にお守りを抱えてやってきた。

「おじいちゃん、頑張ってね!」

「カッカッカ。ありがとうなあ、姫さん。」

ドミニクはシワを大きくして笑い、お守りを受け取る。

「ありがとう、リュシちゃん。帰ってきたら、また一緒に遊ぼう。」

「うん!」

マリユスとリシュエンヌは同い年。微笑み合う2人。

「あんがとなァ、嬢ちゃん。へっ。」

「は、はい。」

セザールの下手くそな笑顔にリシュエンヌは少し怯えた。

「お姉さんも。」

「…ありがとうございます。」

仏頂面のまま、クロエはリシュエンヌと目線を合わせてお守りを受け取った。

「どうぞ、聖父様。」

「感謝する。」

丁寧にお守りを受け取るラファエル。

「嗚呼、どうかキリア神様の御加護があらんことを…!!」

娘であるリシュエンヌを抱きしめながら、アドナロ国王は願いを口にするのだった。

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