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化学で作る血

作者: 雨猫紗

タイトルはあまり関係ないです。

ある休日の日。



私は忘れ物をしたため、学校に来ていた。

いつもと様子の違う学校になんだかワクワクしてしまい、人のいない校舎を散策した。




しばらく散策していると、明かりの付いている部屋を見つけた。化学室だ。



扉が空いていたので、興味本位で中を覗いてみると〈赤い液体〉が入ったビーカーがたくさんあった。



私は恐ろしくなって、「早くここから離れよう」と思い、後ろに下がると誰かにぶつかった。



恐る恐る後ろを振り向くと、化学の先生だ。この先生は、若くて優しい、おまけにイケメンだから、女生徒に人気だ。



「こんなところでどうかしましたか?」



私は怖い先生じゃないことに少し安心して、忘れ物を取りに来て、少し校舎内を散策していたら、明かりの付いている部屋を見つけて、覗いてしまった、ということを話した。

赤い液体の入ったビーカーのことには触れずに。



「ああ、なるほど。人がいない学校はなんだか不思議な感じでワクワクしますよね。」



勝手に学校を散策していたことを怒られなかったことにさらに安心した。

先生が「暑いだろうから化学室で休憩していきな。」と言うので、お言葉に甘えて、化学室に入った。




先生が書類を書いている間、チラチラとビーカーを見ていると、先生が気づき「気になりますか?」と聞いてきた。

私は聞いても大丈夫なのか怖かったが、〈赤い液体〉の正体を知りたいという思いが勝ったため、無言でこくりと頷いた。



「これね、本物の血のように見えるでしょう?でも、これは化学反応で作られた、偽物の血なんだ。酸化鉄Ⅲとチオシアン酸カリウムを混ぜるとできるんだよ。」



そういうと先生は近くの別の液体が入ったビーカーを取り、私の前で実演してくれた。

私が「すごい…」とつぶやくと、先生は嬉しそうに頷いた。



「本物そっくりだよね。でも、見比べると違うかもしれないよ。」



「ねえ、ちょっと新鮮な血をわけてよ。」




私が恐怖で何も言えないのを見た先生は、ふふふと笑い、「冗談だよ。そろそろお昼の時間だし、家に帰りな。」と言った。

私はこくりと頷き、挨拶をしたあと、少し早足で化学室を出た。



私は学校を出てからも恐怖でいっぱいだった。

だって、あそこにあったビーカーに入った〈赤い液体〉のうち、ひとつ 本物 があったから。


先生は冗談だと言ったが、その顔は笑っていなかったという。






そして、少女はなぜ血が本物か偽物か判別できたのだろうか。もしかして、普段から血を見慣れているのではないだろうか。

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