表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】たしかにわたしは婚約破棄をされて隣国に嫁がされたけれど、だからって魔王を呼び出しちゃダメよ妹ちゃん!  作者: Nadi
エリザベス編3

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

27/75

もっと自由に

 「いらっしゃい、いらっしゃい! お嬢さん、可愛い装飾品があるよ」

 「いらっしゃい! 美味しい串焼きはいかが?」


 大通りに出ると、たくさんの露店(ろてん)がでていて、多くの人でにぎわっていた。

ルクスが手をしっかり(にぎ)ってれるので、エリザベスは人に流されずにいられる。


 「人がたくさん……お祭りが近いのですか?」

 「はは、皆は俺たちの婚礼を祝いに集まっているのだぞ? まぁ、皆にとっては祭りみたいなものなのかもな」

 「あ……そうですね。結婚するのですよね、わたしたち……はい」


 見当違いの質問をしてしまったことに恥ずかしくなってエリザベスは(うつむ)いたのだが、ルクスはエリザベスが婚前不安症(マリッジブルー)になっているのに結婚を意識させてしまったと気づき、しまったと顔をしかめた。


 (あぁ……せっかくの気晴らしが彼女に意識させてしまった。何か……何かないか)


 くぅ~


 「ん?」


 ルクスの耳に可愛らしい、本当に小さな音が聞こえ、振り返った。

すると、(うつむ)いているエリザベスが耳まで真っ赤にしていた。


 「そこの串焼きがいい匂いがするから、おなかがすいたのか? 何本欲しい?」

 「ぃ、ぃぇ、大丈夫です……」


 エリザベスはか細く返事をして、首を振った。


 (そういえばエリザベスは食事の量が極端に少ないと聞いていたな。そして野菜中心だとも)

 (思えば、歩く時も俺の前を歩かない……食事の制限までしている。そう、教育されてきたのか……)


 ルクスは、エリザベスの手を引いて串焼きを売っている露店(ろてん)の前まで来た。

肉が炭火で焼かれ、じゅうじゅうと音をたてている。


肉汁が滴っているのは、見るだけでよだれがでてしまいそうだ。


 エリザベスは串焼きを見て、ごくりと生唾(なまつば)を飲み込んだ。


 「食べたそうな顔をしているぞ。安全かどうかは俺が匂いでかぎ分けるから、遠慮することはない。それと、肉を食べてエリザベスを(とが)めるものなどこの国にはいないからな」

 「万一いたとしたらその者が罰を受けるだけだ」


 さらっと言い放つルクスをぎょっとしてエリザベスが振り返った。


 「そういっていただけるのは嬉しいのですが、罰までは重いのでは……」

 「そなたはそれほどの地位に着くのだから、もう少し()(まま)になったってかまわないのだぞ。そなたは自分を卑下しすぎる」


 ルクスはぎゅっと眉を寄せて、エリザベスの手を優しく包んだ。

その表情が切なそうに見えて、エリザベスまで心が切なくなってきた。


 「そなたはもう少し、自由になってもいいんだ」

 「………じゆう、に?」


 エリザベスは、不安そうにしながら視線が串焼きに向いた。

しばらく考え込んで、ゆっくりと口を開いた。


 「では……一本だけ………」

 「あぁ、そうしよう!」


 ルクスが嬉しそうに笑って、串焼きを二本頼んで、内の一本をエリザベスに渡した。


エリザベスはまじまじと串焼きを見つめてから、ルクスをちらりと見るとルクスはにこにことしながらこちらを見つめていた。


少し恥ずかしいと感じたエリザベスはルクスに背中をみせて、串焼きの肉を少しだけかじった。


 肉は柔らかく、じんわりと肉汁が口に広がって、美味しくて思わず笑顔になるほどだ。

ついつい、一口で足らずに、二口、三口と進んでしまった。


 「どうだ?」

 「美味しいです! とっても柔らかくて、香料も王国では使われていないようなので初めての味です!」


 目を輝かせて感想を述べるエリザベスをルクスが微笑ましく見つめる。


 「もう一本食べるか?」

 「い、いえ、一本でお腹がいっぱいになりそうです」


 「そうか、小食だったからたくさん食べるのに慣れていないのか……少しずつ慣れさせるか……」


 ルクスがぼそりと呟いたがエリザベスは何のことかわからず、首を傾げた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ